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「目のつけどころがシャープ」を取り戻す時

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【企業探索⑥】シャープは、もともと液晶ではなく「ガジェット」メーカーである 森一夫

公開日: 2015/03/13 (ビジネス)

シャープの高橋社長=共同通信社 シャープの高橋社長=共同通信社

森 一夫 (経済ジャーナリスト、元日経新聞論説副主幹)

 今3月期に再び連結最終赤字に転落するシャープは今、銀行と協議しながら経営再建計画を練り直している。構造問題を解決するために“外科手術”を迫られている点は前に書いた。何が同社の失敗の本質なのか、さらに突っ込んで考えてみたい。

 問題事業は、液晶、太陽電池、液晶テレビの3つで、特に厄介なのは市況の変動が激しい液晶、太陽電池である。実はこれらは、シャープ本来のDNAに照らして見ると異質である。同社のお家芸は液晶のような装置産業ではない。もともと「ガジェット」(gadget)のメーカーなのである。

 テレビのヒストリーチャンネルが放送した「世界を変えた101のガジェット」という番組をご覧になったことがあるだろうか。第1位の商品は、アップルのスマートフォンである。ソニーのウォークマンが45位で、ほかに日本発では任天堂の携帯型ゲーム機が選ばれている。

 評論家の赤塚行雄氏が1980年に上梓した「面白探し20世紀末論序説」で、「ガジェット志向」を書いている。「生活に直接必要ではないが、ちょっと面白い装置、仕組み、ひとひねりした変わった発明などの意味」だという。ウォークマンの発売は79年である。テープレコーダー、トランジスターラジオから飛躍したソニーもガジェット・メーカーである。

 シャープはかつて「目の付けどころがシャープでしょ」をうたい文句に、面白商品で伸びてきた。電卓、パソコンテレビ、電子手帳、ハンディー・ビデオカメラ「液晶ビューカム」など、いろいろある。2001年に液晶テレビを先頭切って発売し、「液晶のシャープ」を強く押し出してから変質した。04年の水蒸気で調理するオーブン「ヘルシオ」の後、目ぼしいものはさっぱり出なくなった。

 ガジェット・メーカーに徹しきれなかったのには理由がある。アイデア勝負の面白商品が中心では、水道哲学で家庭電化を推進したパナソニックや重電メーカーの日立製作所や東芝と比べて格下に見られた。辻晴雄元社長には、国産第一号のテレビを発売したにもかかわらず、ブラウン管を内製していないために、販売店からも軽く見られた悔しい思い出がある。

 液晶テレビがヒットし、基幹部品の液晶パネル事業が急成長して、シャープは「一流電機メーカー」の仲間入りをした。ところが約4300億円を投じて大阪府堺市に建設した液晶パネルと太陽電池の巨大な工場が、液晶市場の大変動にあって裏目となり経営危機に陥った。小兵の力士が体力も無いのに、受けて立つ横綱相撲をして失敗したようなものだ。

 液晶担当の方志教和代表取締役専務執行役員は依然、事業の継続に自信を見せる。大阪に続き、10日に東京で記者会見して、他社との協業化などの可能性を問われて、「私どもは小型液晶だけではない。中型、大型も含めてディスプレー事業を単独でやって行く」と言い切った。今期も下方修正したものの、液晶事業は営業黒字を維持できると見込んでの発言である。  

 ものは考えようで、とことん傷んでいないうちの方が手術は可能だ。同社には、ものづくりにこだわるメーカーらしい真面目さがあるが、アップルは工場を持たずに面白グッズで大をなした。今こそ思い切って、目の付けどころがシャープなガジェット・メーカーに返るべきときではないか。
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森 一夫(経済ジャーナリスト、元日経新聞論説副主幹)
1950年東京都生まれ。72年早稲田大学政経学部卒。日本経済新聞社入社、産業部、日経BP社日経ビジネス副編集長、編集委員兼論説委員、コロンビア大学東アジア研究所、日本経済経営研究所客員研究員、特別編集委員兼論説委員を歴任。著書に「日本の経営」(日経文庫)、「中村邦夫『幸之助神話』を壊した男」(日経ビジネス人文庫)など。
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