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ソフトバンク、泥沼スプリントから脱出できるか

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増え続ける「スプリントの有利子負債」

公開日: 2016/06/14 (ビジネス)

孫氏(左)とアローラ氏=Reuters 孫氏(左)とアローラ氏=Reuters

池原 冨貴夫 (フリージャーナリスト)

 6月3日ソフトバンク・グループ(以下、SBG)は、同社保有の中国の電子商取引大手アリババ・グループ・ホールディング(以下、アリババ)の株式100億ドル(1兆900億円)を売却すると発表。売却で持株比率は32%から28%に下がる見込み。

 アリババ株保有時価6兆7000億円の取得コストは105億円なので、ほぼ全てが売却益となるため、税金対策として時期の分散や有形固定資産減損などの工夫が想定される。

 アリババ株の売却は初めてだがSBGでは毎年1兆円を超える資金調達が常態化している。昨年度は15年6月に個人向け社債1000億円(期間5年、金利1.36%)、7月に外貨建て社債5500億円(金利4%~6%、期間7年~)、12月に個人向け社債3700億円(期間7年、金利2.13%)と続き、合計で1兆200億円。15年度も1兆5000億円だった。

 大型投資を予想するアナリストもいるが、後継者と目されるニケシュ・アローラ副社長は(前グーグル副社長)、「アリババ売却で得た資金は財務の改善に充てる」方針だ。

 SBGの有利子負債残高12兆円(16年3月末)はトヨタに次いで第2位の巨額残高だ。平均期間7年とすると毎年1兆7000億円の償還資金が必要となり、ドコモ、AUに比べ財務体質は脆弱だ。

 SBGの最大課題は資金回収である。回収の苦手な孫正義社長に対してアローラ副社長は、孫氏の投資法を「趣味的」と表現し今後「継続的回収」が重要と主張。アローラ氏は昨年度も80億円の高額役員報酬を得ているが、孫氏にものを云える唯一の存在にみえる。

 お荷物の米国の通信子会社スプリントに改善の兆しは見えない。孫氏は5月に営業損益が黒字に転じたと強調したが、実態は好転とはいいがたい。直近の売上げは322億ドル(3兆5000億円)で前期比7%減少しているし、重い利息負担で最終損益の黒字化はまったくみえない。5ドル以下は「ボロ株」と称される米国で同社株は3ドル前後に下落している。

 13年に2兆円で買収したスプリント(株式8割を保有)の有利子負債は膨らみ続けている。赤字が負債に転じてきた形だ。米国の国土は広くカバーすべきエリアも広大で周波数獲得や設備投資負担も巨額で、SBグループの日本での利益が吸い取られている。

 孫氏は、9年間続くスプリントの赤字体質を黒転したいと人件費の圧縮等コストカットに注力、その成果も出て「著しく改善」と云っている。だが、米国内評価とは大きな乖離が発生。今年4月、米国アナリストが指摘した「子会社との取引で負債を2兆円少なく、利益は大きく見せかけていた」、「スプリントの負債は決算書にある340億ドル(3兆7000億円)ではなく509億ドル(5兆6000億円)だ」との報道が続いた。

 その事由は、通信資産を外部リース会社に売却してリースバックを受けている点だ。この「外部」リース会社が、実はソフトバンク系列企業と匿名の投資家によって設立されており、合法的であっても人為的会計操作で投資家を欺いているとの指摘だ。

 孫氏の「スプリント解決策」はTモバイルとの合併だった。14年に孫氏はケネディ駐日大使に会談を求め、オバマ大統領宛メッセージ「私は米国を愛しています」を託した。しかし、米連邦通信委員会(FCC)は合併を認めなかった。

 スプリントは昨年、Tモバイルに抜かれ4位に転落。4社寡占業界の最下位。5兆円を超える累積赤字と有利子負債が巨額過ぎて買い手も現れない。孫氏は米国規制当局の本質を見誤った。「消費者保護」が原点の米国では、SBGが日本でソフトバンクとYモバイル2社を保有することなど考えられない。

 3月に新設した海外事業統括「中間持株会社」の最高責任者に就任したアローラ氏の最大課題は、赤字垂れ流し「底なし沼」のスプリントからの脱却だ。

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池原 冨貴夫(フリージャーナリスト)
1969年東大社会学卒、元信託銀行役員
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