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PAC-3では、日本を守れない

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北朝鮮の弾道ミサイル発射を捕捉できない

公開日: 2016/02/02 (政治, ワールド)

 『 平 成 2 7年 版 防 衛 白書 』 BMD整備構想 ・運用構想のイメー ジ図 『 平 成 2 7年 版 防 衛 白書 』 BMD整備構想 ・運用構想のイメー ジ図

桜井  宏之 (軍事問題研究会 代表 )

 北 朝 鮮 が 弾 道 ミ サ イ ル 発 射 の 準 備 を 進 め て い る模様だ 。 中 谷 防 衛 大 臣 は 記 者 会 見で 、 「 防 衛 省 ・ 自 衛 隊 と し て は い か な る 事 態 が 発 生 し よ う と も 、 国 民 の 生 命 ・ 財 産 を 守 る 」 と 大見得 を切 っ た 。

 し か し 、 現 状 の 我 が 国 の 弾 道 ミ サ イ ル 防 衛 シ ス テ ム ( 「 BMDシ ス テ ム 」 )に は 国民 の生命 ・財 産 の万 全 を期 す に は能 力的 に無理 が あ り 、 国民 は こ の シ ス テ ム に 過 大 な 期 待 を 持 つ べ き で な い 。

 その理由 を説明 し よ う 。

 弾 道 ミ サ イ ル に つ い て 世 間 に 理 解 さ れ て い な い の が 、 ブ ー ス ト 段 階 ( ロ ケ ッ ト エ ン ジ ン で 上昇 ・ 加 速 す る 段 階 ) 終 了 後 は ミ サ イ ル 弾 頭 は 慣 性 の 法 則 に 従 っ て 放 物 線 上 に 落 下 す る と い う 事 実 だ 。

 要 す る に ボ ー ル を 遠 投 す る 場 合 と 全 く 同 じだ 。 手 か ら ボ ー ル が 離 れ た 時 点 が ブ ー ス ト 段 階 終 了 で ある。

 離 れ た 時 点 で の ボ ー ル の 速 度 と 方 向 で そ の 落 下 点 が 決 ま る ( 言 い 換 え る と 手 か ら 離 れ た 後 で は 投 げ 手 は ボ ー ル の 方 向 を 変 え る こ と が で き な い )。

 これ と 同 様、 ブ ー ス ト 段 階 終 了 時 点 で ミ サ イ ル 本 体 か ら 切 り 離 さ れ た 弾 頭 の ス ピ ー ド と 方 向 で そ の 落 下 点 は 慣 性 の 法 則 通 り に 決 ま る 。

 BMDシ ス テ ム で は 、 ミ サ イ ル 発 射 時 点 で 警 戒 管 制 レ ー ダ ーが そ の 軌 道 を 捕 捉 し 、 ブ ー ス ト 段 階 終 了 時 点 以 降 の 軌 道 を 計 算 上 か ら 予 測 す る こ と で 、 ミ ッ ド コ ー ス(エンジンが切り離されて弾頭だけが飛んでいる状態) 及 び タ ー ミ ナ ル(着弾まで数十キロ) 段 階 で 迎 撃 す る 態 勢 を 取 っ て い る 。

 ところが、レーダーの基本原理は、自ら電波を発射し、物体に反射して返ってきた電波を受信することで目標を捉える。

 漫然とレーダー波を照射していては、高速で比較的小さな目標である弾道ミサイルを 探知することができない。

 そのため、レーダー波を指向させる必要があり、ミサイル発射地点の目当てを付けるこ とが求められる。従って、 ノドン・ミサイルのような移動式のミサイルは、どこで発射さ れるのか事前に分からないため、警戒管制レ ー ダ ーに よ る ミ サ イ ル 発 射 の 探 知 は困難 と な る 。

 事 実 、 北 朝 鮮 は 2 0 14年 3月 2 6日 に ノ ド ン ・ ミ サ イ ル 2発 を 日 本 海 に 発 射 し た。だ が 、 報 道 を 見 る 限 り 、 自 衛 隊 は 発 射 の 瞬 間 を 捕 捉 し て い な い 。

 発 射 を 捕 捉 で き な け れ ば そ の 後 の 弾 道 ミ サ イ ル の 軌 道 を 予 測 で き な い の で 、 そ の 迎 撃 は 不 可 能 と な る 。

 ち な み に 同 ミ サ イ ル の 射 程 は 推 定 約 1 ,3 0 0km で 、 日 本 の ほ ぼ 全 域 が そ の 射 程 内 に 入 る 。 こ の 時 北 朝 鮮 が ミ サ イ ル を 日 本 海 で な く 、 日 本 本 土 に落 下 させ るつ も り だ っ た ら 、 我 国 に直 撃 し て い たので あ る 。

 弾道ミサイルに対する理解不足に加えて 、 BMDシステムに関しては政府のミスリードもあって誤解されている事実がある 。

 そ れ が 、 先 に 紹 介 し た 防 衛 白 書 の イ メ ー ジ 図 が 示 す 、 イ ー ジ ス 艦 が 撃 ち 漏 ら し た ミ サ イ ル を P AC-3が迎撃する二段構 え とい う誤解で あ る 。確かに、2段階ではあるのだが、日本全土をカバーしてる防衛システムはイージス艦による迎撃体制だけで、P AC-3でカバーできるのは配備した地域のせいぜい数十キロ圏内だけだ。

 PAC-3のランチャー(発射機)1機が防護できる範囲は、日本地図で示せば点に過ぎない。現有のPAC-3では、防護できない場所がほとんどなのだ 。

 筆 者 の 情 報 公 開 請 求 で 開 示 さ れ た 1 9 9 7年 7 月付の防衛省の部内資料 =ミサイル防衛システムの構想段階の部内説明資料がその事情をよく示す。

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                (図をクリックすると拡大)

 図では、小さな円がPAC-3で防衛できる区域を示し、防衛省は BMDシ ス テ ム導入を検討していた段階から PAC- 3で 日 本 全 土 を カバ ー す る つ も り は 毛 頭 無 か っ たことがわかる 。ちなみにほぼ日本全土をカバーする3つの線は、イージス艦から発射される3つのミサイルでのカバー範囲である。

 部 内 資 料 で 示 さ れ て い る PAC - 3の 防 護 範 囲 は 、 そ の 射 程 か ら す る と 歪 曲 に 近 い ほ ど 過 大 な の だ が 、 そ れ で も 日 本 全 土 を カ バ ー す る に は 遠 く及ば ない 。

 また、図 が 示 す PAC - 3の カ バ ー 範 囲 は 主 要 都 市 を 除 く と 、 在日 米 軍 基地  と 重 な っ て い る 。 国 民 の 生 命 ・ 財 産 で は な く 、 国 家 の 中 枢 機 能 を よ り 手 厚 く 守 るのが その働 き なので あ る 。
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