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「好奇心みたす面白いことをやりたい」

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「わが経営」を語る 松本晃ラディクールジャパン代表取締役会長兼CEO ①

公開日: 2019/10/10 (ビジネス)

撮影・中村豊 撮影・中村豊

 カルビーを優良企業に生まれ変わらせてRIZAPグループの経営立て直しにらつ腕を振るった松本晃氏(72)は、今年半ばから環境ビジネスに取り組むとともに10月にはパイオニアの社外取締役に就任した。カルビー時代からスシローグローバルホールディングスなどの社外取締役に就いており、「まだ2社くらい増えそうだ」と言う。「いろんな会社をよくするのは面白い」と語り、原動力の「好奇心」は依然として旺盛だ。(聞き手は森一夫)

 ――RIZAPグループの仕事が済むと、ラディクールジャパン(東京)の代表取締役会長兼最高経営責任者(CEO)になって、環境ビジネスに乗り出しましたね。

 RIZAPが終わったから、次にラディクールをやるというのではないんです。何の関係もありません。前からいろいろな仕事をしていますからね。社外取締役、企業の顧問、団体職など、数えたことはないですが、40くらいになると思います。

 パイオニアの社外取締役が1つ増えてもどうということはない。同時並行でたくさんの仕事をするのは私には何でもない。むしろ楽しいですよ。

 ――ラディクールジャパンについては、松本さんが「ベンチャービジネスを起業した」と新聞や雑誌が報じていますが。

 私は面白そうだと思って加わったので、私が起業したというのは正確ではありません。私のリスクは出資した1500万円のみです。別に投資しなくてもいいのですが、みんなでやろうというので、一口乗っただけです。

 一攫千金を夢見て会社をつくり上場して儲けようというのも悪くないですよ。しかし私にはそういう趣味はありません。私は好奇心を満たせる新しいことがやりたいのです。

 ――社名になっている「ラディクール」は、熱を赤外線に変えて放出して物を冷やす新素材だそうですね。

 「ラディ」は放射のラディエーションから取り、それに「クール」を付けて、「放射冷却」という意味です。太陽は表面温度が摂氏5500度くらいで、太陽光によって地球は絶えず温められていますが、温度は安定しています。なぜなら熱が宇宙空間に放射されているからです。

 これが放射冷却でもともと自然界にある現象なのです。その原理を応用して米国コロラド大学の教授の楊栄貴さんが素材として開発したのがラディクールで、2年前に米国の科学誌「サイエンス」で発表しています。

 薄いプラスチックのフィルムにナノサイズのガラス球を特定の密度で混ぜたものです。太陽光が当たると、その微小のガラス玉同士が作用しあって熱を特定の波長の赤外線にして宇宙空間に放射します。エネルギーを使わずに冷やせるのがみそで、格好良く言えば地球温暖化の解決に資する技術の1つです。

 ――実際の性能はどうですか。

 例えば、今年3月の東京ビッグサイトでの環境展で自動車のパネルで試したら、午前11時半で貼らない部分は表面温度が摂氏44度になりましたが、貼ったところは17.6度でした。住宅など、使えそうなところは一杯ありますけど、具体的にどこにどのような形で使えば、コストや耐久性も含めて有効かは、これから詰めていかなければなりません。

 2、3年すれば用途がはっきりして、5年で目処がつき年間売上高が100億円になれば事業として成功と言えるでしょう。その時点で上場するか売却するか、そんな感じではないですか。

 販売できるまでの資金は増資で賄うしかないですね。出資したい人は一杯いて、特に中国には多いようです。本社と工場は中国の寧波にあって、中国のほかアジア、日本で展開する方針で、ラディクールジャパンができたのです。

 ――会社の設立は今年2月で、何軍氏という方が代表取締役社長兼最高執行責任者(COO)になっていますね。

 何軍さんから昨年話を聞いて、面白いのでよしやろうと決めたのは今年の初めでした。何さんがまず会社をつくって、「松本さん、増資するから、いくらか出資してよ」と言うので、1500万円を出したのです。資本金1億円のうちわずか15%です。残りは何さんや中国人の投資家など3人です。

 何さんは日本に長く住み、ホテル向けにカーペットやスリッパ、入浴用品などを中国から手広く輸入販売している事業家です。好奇心があって常に新しい事業をやりたいと考えている方です。カルビーのシリアル「フルグラ」が日本でヒットしているのに目をつけて中国に輸出したのも何さんで、私はそれ以来付き合ってきました。

 何さんは北京大学を卒業していて、その仲間にビジネスで成功した人たちが一杯います。そういう人たちから刺激を受けて、何か新しいことをしたいと思っているんです。

 日ごろから仲間の人脈を生かして、みんなで新規に事業をしたり投資をしたりしています。ラディクールはその1つです。日本は成功した人が少ないので、そのような刺激があまりないですね。

 ――松本さんが特に環境ビジネスの分野に進出したのは、なぜですか。

 私は伊藤忠商事から1986年にヘルスケアの子会社に出向して、引き続きジョンソン・エンド・ジョンソンでも医療の事業をやりました。カルビーでは食品を経験して、あと世のため人のためになる事業は私にとって環境しかないんです。

――RIZAPグループもヘルスケアでは。

 いや、RIZAPは寄り道ですよ。

(続く、この連載は原則として毎週木曜日に掲載します。次回は来週17日の予定です)

森 一夫:「わが経営」を語る (経済ジャーナリスト、元日経新聞論説副主幹)

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森 一夫:「わが経営」を語る(経済ジャーナリスト、元日経新聞論説副主幹)
1950年東京都生まれ。72年早稲田大学政経学部卒。日本経済新聞社入社、産業部、日経BP社日経ビジネス副編集長、編集委員兼論説委員、コロンビア大学東アジア研究所、日本経済経営研究所客員研究員、特別編集委員兼論説委員を歴任。著書に「日本の経営」(日経文庫)、「中村邦夫『幸之助神話』を壊した男」(日経ビジネス人文庫)など。
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