トヨタ自動車は3月15日、SUVタイプの新型EV(電気自動車)を2021年4月開催の「上海モーターショー」で公開すると、欧州の公式サイトで発表した。
新型EVはトヨタがSUBARU(スバル)と共同開発している「e-TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」と呼ばれるプラットフォーム(車台)を初めて採用するため、登場が注目されている。
トヨタによると、e-TNGAは汎用性が高く、様々なサイズのEVに搭載可能という。車幅、全長、ホイールベースはもちろん、FF(前輪駆動)、RWD(後輪駆動)、AWD(全輪駆動)を自由に選択することができる。バッテリーや駆動モーターの容量もEVの車種や使用目的に応じてアレンジできるという。
上海モーターショーは4月19、20日がプレス公開日で、一般公開は21~28日となる。
トヨタはe-TNGA搭載の新型EVについて「多様性と柔軟性があるe-TNGAテクノロジーによって、トヨタは単にEVというだけでなく、感動的なドライビングと見た目にも美しいクルマを開発し、商品として高めていくことができる」とコメントしている。
トヨタは2019年6月、中・大型乗用車向けのEV専用のプラットフォームとミディアムクラスのEVのSUVをスバルと共同開発すると発表している。今回、トヨタが上海で発表するのは、まさにこの共同開発車だろう。
トヨタとスバルは「両社の持つ技術の強みを持ち寄ることで、EVならではの魅力ある商品づくりにチャレンジしていく」とコメントしている。共同開発したEVのSUVは両ブランドで販売する予定という。
「両社の持つ技術の強み」とは、トヨタがプリウスなどハイブリッドカーで培った電動化の技術であり、スバルがレガシィアウトバックやフォレスターなどで定評のあるAWD(全輪駆動)の技術だろう。SUVに関しては、両社とも経験豊富で、「トヨタRAV4」や「スバルフォレスター」のようなスポーティーなSUVが予想される。
トヨタは2020年4月に中国、9月に欧州でレクサスブランドのEV「UX300e」を発売し、日本でも2020年度に135台限定販売した。
UX300eのリチウムイオンバッテリーの容量は54.4kWhで、1回の満充電で走ることができる航続距離は367キロ (WLTC モード)。価格は標準仕様が580万円、上級仕様が635万円だった。
上海で発表する新型EVは、トヨタとスバル初の共同開発EVとなるため、UX300eを上回る先進性や性能が期待される。恐らく中国はもちろん、北米や欧州、日本でも発売する両社のEV世界戦略車となるのは間違いない。
トヨタが主張するようにe-TNGAの柔軟性や汎用性を考えれば、共同開発の新型EVはトヨタがオーソドックスなFF、スバルがAWDなどとパワートレーンの棲み分けを図るかもしれない。いずれにせよ、上海モーターショーのプレス発表が楽しみだ。