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グリーンピース トヨタの新型5代目プリウスを異例の批判

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【クルマが好き】プリウスはあくまでエンジン車だ、というが

公開日: 2022/11/25 (ビジネス, 気象/科学)

新型プリウス=トヨタHPから 新型プリウス=トヨタHPから

岩城 諒 (経済ジャーナリスト)

 トヨタ自動車が2022年11月16日、5代目となる新型プリウスを発表した。ハイブリッドカー(HEV)は2022年冬、プラグインハイブリッドカー(PHEV)は23年春に発売するという。世界のHEVの先駆けとして1997年に誕生したプリウスは、トヨタの先進技術の象徴で、5代目は7年ぶりのフルモデルチェンジとなった。

 ところが発表の当日、環境保護団体のグリーンピースが新型プリウスを名指しで批判する異例のコメントを発表した。どういうことなのか。

 グリーンピース・ジャパンで気候変動とエネルギーを担当するダニエル・リード氏は「プリウスなどHEVの販売が増えることで、世界の気候危機はさらに進むことにつながる。電気自動車(BEV)や燃料電池車(FCEV)と異なり、HEVは内燃機関(ICE)車だ。多くの研究により、地球温暖化を1.5度までに抑えるためには、自動車メーカーは2030年までにHEVを含むICE車の販売を終了する必要がある」と主張する。

 同氏によれば、「初代プリウスが発売された1997年当時、プリウスは低炭素交通の最先端を行く車だった。しかし、それから25年が経った今、HEVはもはや環境に優しい技術ではない。エネルギーグリッド(電力送電網)の構成に関わらず、BEVはすべての車種の中で最もライフサイクルアセスメント(LCA)におけるCO2排出量が低くなっている」という。

 LCAとはクルマの生産から走行段階を経て廃車となるまでのトータルの二酸化炭素(C02)排出量で、そのクルマの環境負荷を測る考え方だ。

 これまでトヨタの豊田章男社長は日本自動車工業会の会長として「従来(の考え方で)はEVで走る時はCO2を出さないので、すべてEVにすればいいことになるが、材料から部品や車両を製造し、廃棄するまで、すべての過程でCO2をカウントすると、同じクルマでも作る国のエネルギーのあり方で値が変わってくる。LCAの考え方を正しく知ることで、単にEV化で済む問題ではないことがわかる」と主張している。

 今回、5代目となるプリウスPHEVはエンジンを停止し、EVとして走行できる距離が4代目の60キロから「50%以上向上した」という。トヨタは具体的な数字をまだ公表していないが、PHEVであれば満充電の電力だけでガソリンを使わずにEVとして90キロ以上走行できる計算だ。トヨタは「日常生活の大部分をEV走行だけでカバーできるよう、バッテリー性能を向上させた」と説明している。

 さらに5代目の新型プリウスPHEVはルーフ(屋根)に「ソーラー充電システム」を設定。「駐車中は太陽光で発電した電力を駆動用バッテリーに充電。走行だけでなく、エアコンなどに電力を供給する。走行中は発電した電力で補機バッテリー系統の電力消費を補う。1年間で走行距離約1250キロに相当する電力を生み出す」という。

 クルマの屋根で太陽光発電を行うのは、トヨタが2009年に発売した3代目プリウスで実用化したが、当初は走行用ではなく、炎天下で車内の室温が上がるのを防ぐ換気の電力として使っていた。

 その後、トヨタは2017年、ソーラーパネルで発電した電力を駆動用バッテリーに充電する仕組みを4代目のプリウスPHVに導入。「年間で走行距離1000キロに相当する電力を生み出す」と説明していた。クルマの屋根で太陽光発電を行い、駆動用に用いるのは量産車では世界初だった。

 さらにトヨタは2021年発表の同社初の本格的BEV「bZ4X」にもソーラーパネルを設置し、「1年間で走行距離1800キロに相当する電力を発電する」と説明している。5代目プリウスPHEVはbZ4Xには及ばないが、太陽光発電で走れる距離を4代目よりも2割以上伸ばした。

 グリーンピースは「トヨタはHEVからの脱却を怠ることで、気候危機を大幅に悪化させ、財務的損失や座礁資産を生み出すリスクを負っている」と批判するが、5代目の新型プリウスのHEVはともかく、PHEVは限りなくEVに近づいている。屋根のソーラーパネルで太陽光発電を行い、電力を自給自足する技術は米テスラでも実用化していない。

 トヨタとグリーンピースの見解は異なるようだが、仮にエンジンを使用するのがそんなに「悪」なのであれば、PHEVのプリウスを購入し、エンジンを使わずに充電と太陽光発電で実質的にBEVとして使用することもできる。この点をグリーンピースは理解しているのだろうか。

 ともあれ、5代目となった新型プリウスは環境保護団体が異例のコメントを出すほど注目されるモデルチェンジとなった。プリウスPHEVがユーザーに支持され、一戸建て住宅やマンションに充電施設が増えれば、プリウスPHEVが呼び水となり、海外はもちろん、日本でもBEVの普及が進むかもしれない。
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