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ガソリンエンジンのスポーツカーは最後か

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【クルマが好き】ホンダが新型シビックタイプR、トヨタが86の10周年記念車を相次ぎ発表

公開日: 2022/08/05 (ビジネス)

ホンダ シビックタイプR ホンダ シビックタイプR

 ホンダが2022年7月21日、新型「シビックタイプR」をオンラインで初公開し、日本で9月に発売すると発表した。トヨタ自動車は24日、「GR86」の10周年記念の特別仕様車を発売すると発表した。高性能ガソリンエンジンスポーツカーの新型や特別仕様車の相次ぐリリースは、クルマ好きにとっては朗報だろう。

 しかし、世界的に脱炭素化が進む現状では、ガソリンエンジンだけの従来型スポーツカーは肩身が狭い。今回の新型シビックタイプRや現行のGR86などが最終モデルになるかもしれない。

 日本国内でもガソリンエンジンだけの従来型のスポーツカーは、次第にラインアップが縮小している。ホンダと同様にスポーツカーに積極的なメーカーのひとつ、SUBARU(スバル)はフラッグシップだった「WRX-STI」の次期モデルの開発を中止したようだ。

 スバルはWRX-STIより格下で万人向けの「WRX S4」の発売は継続しているが、最も硬派で玄人向けだったWRX-STIは恐らくもう登場しない。WRX-STIは歴代のシビックタイプRと肩を並べる本格的なスポーツカーだった。

 世界的な排ガス・燃費規制の強化で、自動車メーカーは企業ごとに「CAFE方式」と呼ばれる企業別平均燃費基準が課されるようになった。欧州連合(EU)などは基準を満たせないメーカーに罰金を課している。燃費効率が悪い車種はそのメーカーの平均燃費を悪化させてしまう。このためガソリンエンジンだけのスポーツカーは世界的に開発縮小の方向に向かっている。

 このような逆風下で、ホンダが6代目となるシビックタイプRを発表したことは大きなニュースだ。ホンダは高級スポーツカー「NSX」や軽スポーツカー「S660」などの発売を中止する一方で、コアなファンの多いシビックタイプRの開発は続けてきた。

 6代目となる今回のタイプRは、これまで同様「FF最速」が開発目標だ。これはホンダのホームグラウンドである鈴鹿サーキットや、世界のスポーツカーがタイムを競うドイツのニュルブルクリンク北コースのラップタイムで、FF車最速であることを意味する。

 シビックタイプRがFF最速を競うライバルは仏ルノーのメガーヌR.S.トロフィーと独フォルクスワーゲン(VW)のゴルフGTIクラブスポーツだ。日仏独を代表するFFの本格スポーツモデルだ。今回、シビックタイプRの最高出力や車両重量など具体的なスペックは未発表だが、ライバルを引き離すべく強化されているのは間違いない。

 ホンダは「スポーツモデルの本質的価値である『速さ』と官能に響く『ドライビングプレジャー』の両立をタイプRの提供価値としています」と強調している。

 そんな「速さ」をアピールするスポーツカーは、世界的にも少なくなった。ホンダはシビックタイプRの鈴鹿サーキットやニュルブルクリンクでのタイムアタックや走行テストの動画をホームページで公開している。これはライバルに対するホンダの自信の表れであり、ファンにはたまらない。今どき、こんな売り方をするクルマも少なくなった。

 一方、トヨタGR86は2012年に初代トヨタ86が姉妹車のスバルBRZとともに誕生し、10年が経過した。2代目となった現行GR86の販売は好調で、スポーツカーを愛するファンが世界に一定数いることがわかる。

 しかし、数年後にGR86が次期モデルに世代交代する場合、ガソリンエンジンだけで生き残れるとは考えにくい。10年後にGR86の20周年記念モデルが誕生するとすれば、電気自動車(EV)となっている可能性が高い。内燃機関で生き残るとすれば、トヨタが開発を進める水素エンジンやeフューエルなどが考えられるが、果たしてそれまでに実用化できるのか。

 ホンダは「2030年をめどに四輪車販売の3分の2を、電動化技術を搭載した機種に置き換える」との目標を掲げている。ガソリンエンジンのシビックタイプRも、いつまで存続するかわからない。

 世界でFF最速を競うシビックタイプR、ルノーメガーヌR.S.トロフィー、VWゴルフGTIクラブスポーツは、1周約20キロのニュルブルクリンク北コースを7分40秒台で走る実力を備える。このタイムは市販乗用車、しかもFFとしては格段に速い。しかも、長いうえに幾多の高速コーナーと高低差があるなど過酷な北コースを何周も周回したうえで、この最速タイムを出している。このタイムアタックはガソリン車なら当たり前の光景だ。

 仮にこれがEVとなった場合、一発勝負のタイムはガソリン車を上回るかもしれないが、ガソリン車のように北コースを何周も走り続けることは困難だろう。現行の市販EVは過酷条件下で電池の消費が激しく、北コースのタイムアタックは1周限りの一発勝負となる可能性が高い。これではスポーツカーとしての醍醐味が薄れてしまう。

 レース専用の特殊なEVはともかく、現行の市販EVはサーキットと相性が悪い。サーキットで周回数を稼ぐため、リチウムイオン電池をたくさん積んだのでは重量がかさみ、肝心のタイムは出なくなる。ニュルブルクリンクや鈴鹿サーキットのタイムアタックなど、市販車の実用性には関係ないが、クルマ好きにとっては捨てられない魅力のひとつだろう。

 世の市販車がEVに向かうのは正常進化かもしれない。しかし、トヨタなどが研究開発を進める全固体電池などブレークスルーが起きない限り、シビックタイプRやGR86のようなスポーツカーをEVに移行するのは課題が多いのも現実だ。

 7代目タイプRとGR86の20周年記念車はどうなるか。市販車のサーキットのタイムアタックなど今後も存続するのか。近未来を予測するのは難しい。

岩城 諒 (経済ジャーナリスト)

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