SUBARU(スバル)が2代目となる新型「レヴォーグ」を10月15日に発表した。最大の注目ポイントは、高速道路でドライバーがステアリングホイールから手を離して走行できる「ハンズオフ」機能を搭載したことだ。
ハンズオフ機能は、日産自動車が2019年9月発売のスカイラインで、世界で初めて実用化した。スバルは日産に次ぎ、日本メーカーでは2番目となる。
スバルは運転支援システム「アイサイト」の最新バージョン「アイサイトX(エックス)」でハンズオフを実用化した。アイサイトXは3D高精度地図データとGPS、準天頂衛星「みちびき」などの情報を活用し、「360度センシングを実現した」という。
新型レヴォーグでハンズオフができるのは高速道路など自動車専用道路の渋滞時(時速50キロ以下)に限られる。スカイラインも同じく高速道路に限られるが、渋滞時だけでなく、制限速度内であれば走行中もハンズオフが可能だ。
スバルも渋滞時に限らずハンズオフとすることは技術的には可能だが、さらなる制御はコストアップにつながるため、時速50キロ以下の渋滞時に抑えたとみられる。
それはスカイラインが排気量3リッター台で400万~600万円台の高級車であるのに対し、レヴォークは1.8リッターで300万~400万円台と、両者の車格が異なるためだろう。
海外でもBMWやアウディなどにハンズオフ機能搭載車が登場しているが、いずれも高価格の高級車で、普及は限られる。これに対してレヴォーグは国内の月販目標が2200台の人気車で、ハンズオフが一般のドライバーに普及する可能性がある。
事実、スバルが新型レヴォーグの先行予約を8月20日から受け付けたところ、10月14日までに受注した8290台のうち、アイサイトX搭載車を選んだのは全体の93%を占めたという。
アイサイトX搭載のレヴォーグは、高速道路で時速50キロ以下の渋滞時であれば、ステアリングから手を離しても、ドライバーが前を向いているなど一定の条件がそろえば、停止と発進をクルマが行い、事実上の自動運転ができる。
このほかアイサイトXは、高速道路を時速70~120キロで走行中、ドライバーが車線変更のためウインカーを操作すると、システムが周囲の状況を判断し、ステアリング操作をアシストする機能も搭載している。この場合はハンズオフではなく、ステアリングに手を添えておく必要がある。
この自動運転に近い車線変更の制御システムは、スカイラインが搭載する日産の運転支援システム「プロパイロット2・0」も実用化している。スカイラインの場合、ドライバーがウインカーを操作すると、システムが車線変更可能なタイミングを知らせ、ドライバーがボタンを押して承認するとステアリングが動き、操作を支援するというものだ。
自動運転に一歩近づいたハンズオフ機能は、日産、スバルに次ぎ、トヨタ、ホンダも近く採用する方針だ。トヨタは「レクサスLS」、ホンダは「レジェンド」と、いずれも高価格帯の高級車となる。
その点、300万円台から購入できるレヴォーグは「世界初のハンズオフ普及モデル」と言っても過言ではない。しかも、スバルを購入するユーザーの多くは「スバリスト」と呼ばれ、メカニズムに詳しく、クルマに一家言持つ愛好家が多い。そんなスバリストにハンズオフ搭載の新型レヴォーグがどう評価されるか注目される。