ヤマハ発動機は2021年1月21日、日本を代表する単気筒エンジンの中型バイク「ヤマハSR400」の生産を終了すると発表した。SR400は1978年の発売以来、基本設計を変えることなく人気を誇った稀有なバイクだ。日本では2輪と4輪を合わせても、これほどのロングセラーモデルはSR400以外に存在しない。
ヤマハ発は2021年3月15日から「SR400 Final Edition」を年間5000台販売するとともに、特別仕様の「SR400 Final Edition Limited」を1000台限定発売し、ひとまず生産を終えるという。
『日本経済新聞』は、1月22日付朝刊で「ヤマハ発の名車、43年の歴史に幕」との見出しで伝えた。同紙は「1978年の初代発売以来、変わらぬレトロなデザインから人気を集めてきた名車だが、今後の排ガス規制への対応が難しいと判断。最終モデルをもって国内向けの生産を終え、43年の歴史に幕を閉じる」と報じた。
『毎日新聞』は、同日付朝刊で「ヤマハSR400国内生産終了 排ガス規制強化」の見出しとともに、写真入りで報道。SRの生産終了は「排ガス規制が強化され、2022年11月以降は販売ができなくなるため」と伝えた。同紙は「近年も好調な販売を維持していたが、排ガス規制に対応するには多額のコストがかかるため、国内向けの生産を終了する。タイ向けの生産は継続する」と詳報した。
毎日新聞のこの記事は共同通信が配信したものだ。「SR400は初代からほとんど変わらない昔ながらのシンプルな外観が人気で、累計11万台以上生産された」とも伝えている。いずれも新聞記事として的確な内容だ。
大手マスコミがこれほど手厚くバイクの生産終了を伝えることは稀だろう。それほどヤマハSR400の生産終了がバイク好きにとって大きなニュースということだ。
ヤマハSR400は1978年のデビュー以来、基本設計を変えぬまま、熟成と進化を重ねてきた。そこに自身の青春や人生を重ね合わせるライダーも多いに違いない。
ヤマハ発はSR400の生産終了に当たり、「ビッグシングルの心地よい鼓動感、シンプルなスタイル、キックスターター方式など不変のSRらしい個性により、エントリーライダーからベテランライダーまで、年齢を問わず幅広いお客様から支持されてきました」と自画自賛した。多くのライダーに異論はないだろう。
ヤマハSR400はこれまでも排ガス規制などの影響でカタログから一時消えたことがあった。そのたびにヤマハ発はエンジンの改良でなんとか復活させてきた。ヤマハ発は今回、今後の見通しについては何もコメントしていない。果たして数年後、SR400の復活はあるのだろうか。
私自身、かねてから「ヤマハ」の音叉エンブレムがついたSR400を所有したいと思ってきた。本当に最後となるかもしれない「 Final Edition」を購入すべきか、私同様、真剣に悩むライダーは全国にたくさんいることだろう。