ホンダeとマツダMX-30は、いずれも2019年秋の第46回東京モーターショーに参考出品したモデルだ。両車とも近距離移動を想定し、リチウムイオンバッテリーの容量を抑えているのが特徴だ。
日産やテスラが航続距離を稼ぐため、大容量のバッテリーを搭載しているのと対照的だ。大容量のバッテリーなら航続距離は伸びるが、充電に時間がかかり、かえって利便性に欠けるという判断なのだろう。
昨秋の東京モーターショーでホンダはeのバッテリー容量を公表せず、今回の先行公開でも明らかにしていない。ホンダはこれまでeについて「1回の満充電で220キロ(WLTCモード)以上走る。30分の急速充電で電池容量の80%まで充電可能」と説明している。
市販車も、ほぼこのスペックで変わらないだろう。eはフィット並みの小型車で、航続距離の長さよりも、敢えてバッテリーの容量を抑えることで、充電時間を短くすることを狙っているとみられる。
今回、ホンダはeについて「都市型コミューターとして、新しい時代になじむシンプルでモダンなデザインで、力強くクリーンな走りや、取り回しの良さをモーターと後輪駆動で実現した」とアピールしている。
このサイズのファミリーカーで後輪駆動というのは世界的にも珍しく、スポーツ心あふれるホンダらしい試みだ。EVならではの高トルクを後輪で受け止め、後輪駆動EVならではのキビキビした走りを満喫できるだろう。

マツダMX-30(マツダHPから)
今回の先行公開でマツダはMX-30の詳細を明らかにしていないが、EVのほか、直噴ガソリンエンジンを搭載したハイブリッドモデルも発売するという。
マツダはMX-30のハイブリッドモデルを今秋に発売するが、EVについては「今年度中にリース販売を開始する予定」とコメントしている。
ホンダeもマツダMX-30も、両社にとって初の量産EVとなるが、ホンダが一般のユーザー向けに市販するのに対し、マツダはリース販売とずいぶん慎重だ。MX-30の主力はハイブリッドで、EVは簡単には普及しないと考えているのだろう。
日産は2021年に発売する新型EV「アリア」に90kWhのバッテリーを積み、最大610キロ(WLTCモード)の航続距離を実現する。現行の「リーフe+」は62kWhで458キロ(同)と、いずれも大容量のバッテリーで航続距離を稼いでいる。
ホンダeとマツダMX-30の航続距離は200キロ台となっており、近所の買い物や近距離の通勤ならよいが、長距離ドライブには適さないだろう。果たしてホンダとマツダの新型EVはユーザーの支持を得られるか。今後の市場の反応に注目したい。