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トヨタの絶滅危惧種のスポーツセダン、抽選で発売へ

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【クルマが好き】V型8気筒、全国で500台、高倍率必至?

公開日: 2022/09/05 (ビジネス)

【クルマが好き】V型8気筒、全国で500台、高倍率必至?

 トヨタ自動車は高級車ブランド「レクサス」のスポーツセダンとして北米で人気の「IS500」を日本国内にも導入することを決め、特別仕様車「F SPORT Performance First Edition(Fスポーツ・パフォーマンス・ファーストエディション)」を全国で500台、抽選で販売すると発表した。

 これは、もはや絶滅危惧種と呼べる多気筒・大排気量エンジンのモンスターだ。なぜ今、こんな稀有なクルマが日本に登場するのか?

 「工芸品の域に迫る、限定生産のスポーツセダン。500台限定抽選販売」

 インターネットでトヨタは現在、こんな刺激的な広告を展開している。

 Fスポーツ・パフォーマンス・ファーストエディションは全国のレクサス店で2022年8月25日から9月15日まで抽選の申し込みを受け付ける。「当選者には指定の販売店から連絡の上、商談を開始する」という。ファーストエディションは900万円の高価格車にもかかわらず、応募が殺到するのは必至だ。

 これには理由がある。IS500は2021年、日本に先駆け米国で発売した。これまで日本で発売してきた「IS300」が直列4気筒2.5リッターエンジン、「IS350」がV型6気筒3.5リッターエンジンなのに対し、IS500は世界的にも希少となったV型8気筒5リッターエンジンを積む。Fスポーツ・パフォーマンスの最高出力は354kW(481ps)、最大トルクは535Nm(54.6kgfm)と、レーシングカー並みだ。

 環境規制が厳しくなり、世界的に電動化が進む中、ガソリンエンジンだけのこれほどパワフルなスポーツカーを新車で所有できる選択肢はあまりなく、生産も未来永劫には続かないだろう。トヨタではレクサスIS500が最後かもしれない。

 V型8気筒エンジンは、かつて日産自動車と三菱自動車も生産していた。とは言え、日産はプレジデント、三菱自はプラウディア、ディグニティといった少量生産の最高級車に搭載しただけ。トヨタのように高級スポーツカーに積んだ実績はない。世界的に排ガスと燃費規制が厳しくなり、エンジンのダウンサイジングが進む中、日産と三菱自はV8エンジンから早々に撤退した。

 海外では伊フェラーリが「F8」や「ローマ」などの高級スポーツカーにV8エンジンを今も搭載。独メルセデス・ベンツや独BMWも旗艦モデルにV8エンジンを採用している。フェラーリやBMW、英ロールスロイスのように、さらに多気筒のV型12気筒エンジンを生産するメーカーもわずかに存在する。

 しかし、メルセデス・ベンツやBMWなどはV12やV8から直列6気筒や4気筒エンジンに次々とシフト。さらに脱炭素化に向け、電気自動車(EV)を戦略的に発売しており、燃費効率の悪いV8など多気筒・大排気量エンジンは過去の遺物となりつつある。

 トヨタもダウンサイジングと電動化に向かっているが、世界でトップ争いを演じるメーカーの威信をかけてなのか、これまで高級車の象徴だったV型8気筒エンジンを現在も生産している。ただし、搭載車はIS500のほか、同じくレクサスの2ドアスポーツクーペ「LC500」などに限られている。トヨタは1964年発売の「クラウン8」から連綿とV8エンジンを生産しており、少数派となった今も、このエンジンにはこだわりがあるようだ。

 トヨタは現在、ハイブリッドカーやプラグインハイブリッドカーはもちろん、EVや燃料電池車(FCV)を生産・販売している。さらには水素エンジンやeフューエルなど次世代燃料エンジンの開発も進める。いわば全方位で次世代車の開発を進める世界でも数少ないメーカーだ。

 もしも次世代燃料が実現すれば、V8エンジンをはじめ現行の内燃機関が生き残れる可能性がある。ユーザーにそんな期待を抱かせてくれるメーカーは、世界を見渡してもトヨタくらいしかない。

 そんなV8の大排気量エンジンの魅力とは何か。それはマルチシリンダー(多気筒)ならではのスムーズさとトルクの太さ、そして往年のアメリカ車を連想させる迫力のあるサウンドだろう。

 トヨタはIS500のV8・5リッターエンジンについて「最高出力481PS、最大トルク535Nmがもたらす伸びやかで気持ちの良い加速のエモーショナルさや官能的サウンドを追求した」と説明している。燃費規制など環境対応はEVやFCVに任せ、IS500はスポーツカーが本来もつ「官能」という趣味の領域で勝負するということなのだろう。

 気になるのは、レーシングカー並みのパワーとトルクを誇るIS500がFR(後輪駆動)であることだ。IS300にはFRのほか、AWD(4輪駆動)があるが、IS500には設定がない。

 これだけのパワーとトルクを受け止めるにはAWDが有利だが、トヨタは敢えてFRにこだわり、AWDを見送ったに違いない。安定性の高いAWDよりも操縦性の高いFRを選択したということだ。このため前後のタイヤのサイズも同じ19インチながら、フロント235/40R19、リヤ265/35R19と、後輪のグリップを重視している。

 トヨタは「ISは1999年の初代モデル誕生以降、コンパクトFRスポーツセダンとして『クルマを操る楽しさ』を追求してきた」と説明している。

 V8の高出力エンジンをフロントに搭載し、後輪を駆動するのは、フェラーリの最新のスポーツカー「ローマ」も同様だ。IS500と車格は異なるものの、フェラーリはこのエンジンとレイアウトが「比類のないパフォーマンスとハンドリングを実現している」と説明している。

 IS500は大排気量V8エンジンの存在を感じさせる専用設計のフロントフードや4連エキゾーストマフラーなど、力強さと迫力あるスタイルも魅力だ。

 IS500の通常モデル「F SPORT Performance」(850万円)の発表は2022年冬以降になるという。その幕開けとなるのが今回のFスポーツ・パフォーマンス・ファーストエディションだ。9月15日に締め切られる応募倍率が今から注目される。

岩城 諒 (経済ジャーナリスト)

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