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コロナ禍で過剰債務 債権放棄は必須だが3つの壁

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【コロナ下の資金繰り(上)】「新しい資本主義」会議で多数決の債権放棄へ法改正掲げるが

公開日: 2021/12/27 (ビジネス)

Reuters Reuters

森岡 英樹 (経済ジャーナリスト)

 ポストコロナを見据え、企業が抱え込んだ過剰な債務をどう解消するかが課題となっている。

 「実質無利子・無担保融資など政府の資金繰り支援策で企業の倒産件数は低水準で抑えられているものの、今後倒産が急増したり過剰債務に陥った企業が設備投資等を抑制するなど、経済回復の足かせとなりかねないと危惧されている」(大手信用情報機関)ためだ。

 法人企業統計によれば、2021年3月末の借入金および社債は前年比で45兆円増加している。但し、同時に法人の現預金も34兆円増加しているため、「この数字をどう見るかは判断が分かれるかもしれないが、負債のみならず資産も含めた両面から見ると、ネットで11兆円、昨年度末の総債務残高対比で2.1%の増加にとどまっており、企業セクター全体をマクロで見ると、決してレバレッジが過大になっているという状況ではない」(髙島誠・全銀協会長)と指摘される。

 だが、負債の水準は業種により異なり、コロナ禍で大きな痛手を負った飲食や宿泊、小売りなどでは過大な債務を抱えていることは間違いない。

 政府が11月8日に公表した「新しい資本主義実現会議」の緊急提言でも、「コロナ禍が始まって2年となる中、債務の過剰感を持つ事業者が増えている。本年8月に民間調査会社が行ったアンケート調査では、『債務の過剰感がある』と回答したのは大企業が16.7%、中小企業が35.7%となっている」と言及されている。

 その上で、「新たな成長に向けて企業の事業再構築を進めていくためには、債務を軽減すれば新たな投資が可能であるとメインバンク等が判断する場合には、早期に債務の軽減措置がとれるような法制度を整備する必要がある。現在の法制度では、全ての貸し手の同意がなければ、債務の軽減措置が決定できない。このため、事業再構築のための私的整理円滑化のための法整備の検討を進め、関連法案を国会に提出する」と明記された。

 現在の法制度では、すべての貸し手の同意がなければ債務の軽減措置(債権放棄)を取れないが、これを「債権者の多数決」で可能にできるよう法制度を改正するというものだ。

 また、コロナ禍で過剰な債務を抱えた中小企業の救済策として「中小企業版:私的整理ガイドライン」の策定も俎上に上っている。金融機関同士の話し合いで返済猶予や債務減免を行う「私的整理」を利用しやすくなるよう対応策を検討するもので、私的整理ガイドラインの活用条件緩和など企業が事業再生や再構築に踏み出しやすい環境を整えるのが狙いだ。

 金融機関同士の話し合いで返済猶予や債務の減免を行う「私的整理」はすでに存在するが、中小企業には使い勝手が悪い。現状の私的整理ガイドラインでは債権放棄を受けた企業の経営者は退任することが原則になっているが、中小企業では経営者の経験やノウハウ、人脈に依存する傾向が強い。

 このため、「債権放棄を受けても経営者は退任しなくていいとするなど中小企業の実情に即した形での見直しが想定されている」(メガバンク幹部)という。

 しかし、具体的に企業の債務整理に踏み切るにはいくつかの壁が立ちはだかる。

 「企業の債務整理には3つの壁がある。まず最大の壁と目されているのが税制。そして、憲法上の財産権の侵害懸念、債権者である金融機関の足並みの乱れである。これらの課題をクリアするのは容易なことではない」(メガバンク幹部)とされる。

 オミクロン株の登場もあり、コロナ禍が収束に向かうのかはいまだ予断を許さないが、感染者数は急速に低下してきており、経済の本格的な回復に期待が高まっている。その前提となる企業の債務整理は経済回復に必要な条件と言っていい。
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森岡 英樹(経済ジャーナリスト)
1957年生まれ、 早稲田大学卒業後、 経済記者となる。
1997年米国 コンサルタント会社「グリニッチ・ アソシエイト」のシニア・リサーチ ・アソシエイト。並びに「パラゲイト ・コンサルタンツ」シニア・アドバイザーを兼任。2004年 4月 ジャーナリストとして独立。一方で、「財団法人 埼玉県芸術 文化振興財団」(埼玉県100%出資)の常務理事として財団改革に取り組み、新芸術監督として蜷川幸雄氏を招聘した。
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