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津賀パナ 売上目標10兆円は本物か

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【企業探索⑦】前社長も掲げて失敗した10兆円の壁。無謀に見えるが… 森一夫

公開日: 2015/03/30 (ビジネス)

パナソニックの津賀社長=Reuters パナソニックの津賀社長=Reuters

森 一夫 (経済ジャーナリスト、元日経新聞論説副主幹)

巨額の純損失を出してリストラを続けてきたパナソニックがようやく、成長路線に舵を切ると宣言した。創業100周年を迎える2018年度の売上目標10兆円達成に向けて、津賀一宏社長はこのほど「1兆円の戦略投資を実行する」と発表した。

 11年度、12年度に合わせて1兆5000億円を超す純損失を計上し、12年6月に就任した津賀社長は「当社は負け組」と認め、これまで経営の立て直しに努めてきた。2015年3月期の売上高は7兆7500億円の見込みで、あと2兆2500億円増やさなければ、目標の10兆円に届かない。

 大坪文雄前社長も同じ目標に挑戦したが、看板倒れに終わっている。昨年、津賀社長が再び打ち出した時も、現実味の薄い目標との見方がメディアには多かった。「売上10兆円は、マスコミやアナリストに『できるわけがない』とぼろくそに言われた目標だが、我々はそれに反発するように一生懸命、様々な取り組みをしてきた」と、津賀社長は26日の記者会見で述べている。

 今回は、1兆円の戦略投資でM&A(合併・買収)も実行して、必達を目指す。津賀社長は「15年度から1年、1年が勝負」と意気込む。周囲が半信半疑なのは、成長を引っ張るコアビジネスが見当たらないからだ。かつて同社はVHSビデオテープレコーダーやテレビなどをテコにして伸びてきた。しかしこうした路線はプラズマテレビ関係への大投資の失敗でつまずいた。

 またぞろ売上10兆円を何が何でも達成しようと無理して、同じテツを踏むのではないか。そんな皮肉な見方もできるが、もしプラス面を探すとすれば、経営の考え方を切り替えた点だろう。同社は現在、伝統の家電以外に、住宅や自動車関連、業務用機器・システム、電子部品などを同じく柱とする事業構造に変わっている。

 松下幸之助創業者の「多角化よりも専業化をはかっていくべき」(『実践経営哲学』)との教えに反し、下手をすれば互いにもたれ合う、非効率な事業の寄せ集めになりかねない。しかし津賀社長は、多様な事業を単に積み上げるのではなくて、絶えず新陳代謝をはかる方針だ。森は古い木が倒れると、その上に若木が芽吹き、森全体として活力を維持する。今パナソニックが目指すのは、このいわば「倒木更新」の経営である。

 昨年、津賀社長はこう語っていた。「今回、多くの事業を見直して一番学んだことは、成長のために投資をする場合、早めに出口を考えながら進めるべきだということだ」。事業には寿命がある。終息を考えずに手を広げるのは危険だと、身にしみて知ったのである。26日の会見では「過去の大投資の多くが減損につながったことを反省して、資産効率にもしっかりと目を向けながら、負の遺産を作らないようにする」と言っている。

 新たな種まきをする一方で、競争力が落ちた事業や見込み違いの新規事業を、素早く撤収できるようになるのか。「倒木更新」の経営が風土としても根づき、当たり前に機能するようになった時が、津賀改革の完成である。それはパナソニックにとって第2の創業といえる。果たして売上10兆円に向けて、目論見通り行くだろうか。
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森 一夫(経済ジャーナリスト、元日経新聞論説副主幹)
1950年東京都生まれ。72年早稲田大学政経学部卒。日本経済新聞社入社、産業部、日経BP社日経ビジネス副編集長、編集委員兼論説委員、コロンビア大学東アジア研究所、日本経済経営研究所客員研究員、特別編集委員兼論説委員を歴任。著書に「日本の経営」(日経文庫)、「中村邦夫『幸之助神話』を壊した男」(日経ビジネス人文庫)など。
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