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令和の徳政令 ゾンビ企業を延命へ

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【経済診断】残高42兆円のゼロ・ゼロ融資を政府が借り換え保証

公開日: 2023/03/09 (ビジネス)

Reuters Reuters

森岡 英樹 (経済ジャーナリスト)

 大手信用情報機関である東京商工リサーチが2月8日に発表した23年1月の「実質無利子・無担保融資(ゼロ・ゼロ融資)」を利用した後の倒産は、48件で前年同月の6倍と急増した。

 「ゼロ・ゼロ融資は中小企業の資金繰り緩和に大きな効果を発揮したが、一方で過剰債務も誘発した。業績回復の遅れと過剰債務で、新たな資金を調達できない企業の息切れが押し上げている。さらに、返済開始に加え、最長3年間の利子補給が終了する企業もあり、今後は返済猶予を要請する企業も増えるとみられる」(東京商工リサーチ)という。

 ゼロ・ゼロ融資の倒産は、昨年8月から6カ月連続で40件を上回り、20年7月から今年1月までの累計は633件に達している。

 ゼロ・ゼロ融資は、新型コロナ感染拡大に伴う行動制限、営業自粛、インバウンド需要の激減から事業会社の売上が急減、収益悪化に伴う資金繰り確保が社会問題化したのを受け、政府系金融機関を皮切りに2020年から実施された。

 仕組みは、都道府県の制度融資を活用し、国が借入に係る利子を当初3年間補給するもの。保証料も半額またはゼロとなる。また、最大で5年間にわたり返済を据え置くことができる。20年5月からは民間金融機関もゼロ・ゼロ融資をスタートし、中小企業を中心に利用が促進された。

 一方、融資する金融機関にとってもゼロ・ゼロ融資は貸出金利が得られる(企業は利子補給で実質無利子)ほか、大半は信用保証協会の100%保証が付されるため、不良債権化しても信用リスクはない。

 このため優良顧客を取り込み、貸出残高を積み上げる格好の機会となった。金融機関の中には、手元資金に余裕がある企業に対しても、「この先、コロナ感染の影響がどこまで続くのか分からないので、無利子期間の3年間だけでもゼロ・ゼロ融資を利用し、現金を多めにもっておきませんか」と勧誘するところもあったほどだ。

 だが、信用リスクがゼロの融資にもかかわらず、当初より消極的な金融機関もあった。「特別融資を契機に、本来淘汰されておかしくないゾンビ企業との取引を呼び込みかねない」(中小金融機関)と危惧されたためだ。その危惧が融資開始から3年を経過して現実のものとなりつつある。

 「ゼロ・ゼロ融資の無利子期間は最大3年間だけ。民間金融機関がゼロ・ゼロ融資を本格化したのは20年5月からなので、今年5月以降、返済が本格化することになる」(メガバンク幹部)とされる。しかも業況の厳しい企業ほど、返済開始時期を後に設定しており、5月以降、返済に苦慮する企業が多発しかねない。

 実はこうした状況を見据え、政府は救済策を準備している。今年1月から開始された政府による借換え保証だ。業績の厳しい中小企業が民間金融機関からゼロ・ゼロ融資を借り換える際、収支の見通しや返済計画をまとめた書類を作成し、金融機関が伴走支援することを条件に、1億円まで政府が保証を提供する制度だ。政府が民間企業の信用を補完する「令和の徳政令」と言っていい。

 ゼロ・ゼロ融資は昨年9月までに約42兆円が実行されたが、「緊急性の高い融資だっただけに審査が甘かった点は否めない」(地銀幹部)という。新型コロナ禍が解消されつつあるいま、これら甘い審査によるゼロ・ゼロ融資の多くは不良債権化し、求償債権として信用保証協会に移されることになりかねない。ツケは国民に跳ね返ってくる。
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森岡 英樹(経済ジャーナリスト)
1957年生まれ、 早稲田大学卒業後、 経済記者となる。
1997年米国 コンサルタント会社「グリニッチ・ アソシエイト」のシニア・リサーチ ・アソシエイト。並びに「パラゲイト ・コンサルタンツ」シニア・アドバイザーを兼任。2004年 4月 ジャーナリストとして独立。一方で、「財団法人 埼玉県芸術 文化振興財団」(埼玉県100%出資)の常務理事として財団改革に取り組み、新芸術監督として蜷川幸雄氏を招聘した。
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