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ソロバン勘定よりも、まず血気

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【起業家列伝】日本エレクトライク、電気3輪自動車でビッグビジネス目指す㊥

公開日: 2015/08/31 (ビジネス)

日本エレクトライクの松波登社長 日本エレクトライクの松波登社長

森 一夫:「わが経営」を語る (経済ジャーナリスト、元日経新聞論説副主幹)

 ベンチャービジネスはソロバン勘定よりも、まず何としてもやりたいという血気がなければ始まらない。電気3輪自動車の事業化に乗り出した日本エレクトライク(本社神奈川県川崎市)の松波登社長もその例にもれない。

 1948年生まれの松波社長の幼年時代は、モータリゼーションがこれから始まろうとするころだった。町に自家用車はまだ珍しく、商用車といえばオート3輪が主流で、自動車に大人も子供も憧れた。

 松波少年は中学3年のころから、友達の家にあったオートバイを乗り回していた。根っからの車好きだったわけである。小中学校は東京学芸大学附属世田谷だったが、本人によると「遊んでばかりいたので落ちこぼれて、高校は東海大学付属相模高校に入った」そうだ。

 早速、自動車部に入ると、ダイハツの小型オート3輪「ミゼット」があった。今の電気3輪自動車事業につながるような出会いである。東海大学工学部動力機械科に進み、後に自動車耐久レースのラリードライバーとして名を成す篠塚健次郎氏と知り合う。

 大学の自動車部は堅苦しいので敬遠して、自動車評論家の山崎英一氏が主宰するラリークラブに入って、ラリーの練習に励んだ。卒業すると三菱自動車系の販売会社に就職して仕事をしながら、ラリーを続けた。「ラリークラブの友達がみんな車を買ってくれたので、トップセールスマンでした。歩合給のおかげで初任給の倍も稼ぎがあって、ラリーの費用をまかなえました」という。

 しかし2年足らずで退職し、父親が経営するガス警報器メーカーの東科精機を手伝わされる。その後もトヨタ自動車のラリーチームのドライバーなどをやり、内外のラリーに参戦して活躍した。ところが30歳の時に、父親が逝去して東科精機の社長を継ぎ、業績が悪くて倒産の瀬戸際に追い込まれ、立て直しに苦労した。

 業績をようやく安定させて、3輪車とのもう一つの出会いがあった。ガス警報器の営業で訪れたタイで、町を走り回る小型の3輪タクシー、トゥクトゥクを見たのである。輸入しようと「サムロ・ジャパン」という会社をつくった。40歳の時である。「サムロ」は3輪車という意味だ。

 しかしあっけなく挫折した。「輸入してみたら、とんでもない車で、日本で走らせるのは無理だと、あきらめました」。20年余り後に、電気3輪自動車として装いも新たに事業化したわけだが、その間に松波社長は別の起業に挑戦した。トラックなどの後方を視認する装置「リアヴューモニター」である。

 父親が亡くなって病院から戻ってきた5㌅テレビを車で見たいと思ったのが一つのヒントになった。後部座席の肘掛を引き出したあとのくぼみにテレビをはめ込み。ルームミラーの所にミラーを付けて、見られるように工夫した。

 こうして楽しんでいるうちに、ある夜のことだ。「夢の中で車を運転していると、横にテレビがあって、後方の景色が見られるんです」。これは面白いとひらめいた。後方をハンディーカメラで撮り、後部座席に付けた液晶テレビに画像を映し出して、ミラーで見れば、後方を常に確認できる。大型トラックに使えば、後ろから突然脇に飛び出してくるオートバイなどに注意できる。早速、休眠化していたサムロ・ジャパンを「日本ビューテック」に改め、50歳で事業化した。

 しかし当初はさっぱり売れず、10年あまり苦労した。今では液晶モニターで直接見られるタイプで、安定した利益を上げている。こうした悪戦苦闘があって、電気3輪自動車「エレクトライク」になるのだが、そこにも様々なドラマと出会いがあった。
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森 一夫:「わが経営」を語る(経済ジャーナリスト、元日経新聞論説副主幹)
1950年東京都生まれ。72年早稲田大学政経学部卒。日本経済新聞社入社、産業部、日経BP社日経ビジネス副編集長、編集委員兼論説委員、コロンビア大学東アジア研究所、日本経済経営研究所客員研究員、特別編集委員兼論説委員を歴任。著書に「日本の経営」(日経文庫)、「中村邦夫『幸之助神話』を壊した男」(日経ビジネス人文庫)など。
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