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突然現れた「筆頭株主」に驚愕

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【ヤマダ電機の憂鬱㊤】突然の46店閉店。後押ししたのは、旧村上ファンドの「残党たち」だった

公開日: 2015/06/01 (ビジネス)

都内のヤマダ電機店内=共同通信社 都内のヤマダ電機店内=共同通信社

会澤 正視 (ジャーナリスト)

 日本最大の家電量販チェーンであるヤマダ電機が5月25日、突然「スクラップ&ビルド」と称して46店舗の閉鎖を発表した。拡大一辺倒できたヤマダのビジネスモデルが崩れつつあるからなのだが、そんな構造改革を後押ししたのは、実は旧村上ファンドの残党たち――エフィッシモだった。

 ヤマダ電機は傘下に収めたベスト電器を加えて全国に1000店を有する。2011年3月期決算は売上高が過去最高の2兆1532億円を突破、当期損益は705億円の黒字という過去最高益を更新した。「いずれは3兆円に」。東日本大震災後の暗い空気の中にあっても、創業社長である山田昇は怪気炎を上げていた。

 ところが、である。ヤマダの業績はこの年を境に坂道を転げ落ちる。翌12年3月期には売上高2兆円の大台を割り、14年3月期には当期黒字が186億円に。そして、この5月7日発表の15年3月期は売上高が1兆6643億円とピーク時の4分の3の水準に低下し、当期黒字(純利益)に至っては前期比で半減の93億円となり4期連続の減益である。こうした窮状を打開しようと不採算店舗の閉鎖に踏み切ることを発表したのだが、いたずらに規模のみを追ってきたヤマダの“改革”への取り組みは、アマゾンや価格コムなどのネット通販の台頭と比べて、“時すでに遅し”の感がある。地方の郊外に大規模店を構え、メーカーからの大量調達による低価格を実現し、販売はメーカー各社の派遣である「ヘルパー」にゆだねて低人件費にするという「勝利の方程式」がとっくに揺らいでいたのだ。

 そんなヤマダ電機の苦境をエフィッシモはとっくに見破っていた。過去最高の売上高と利益を記録した11年3月期から、一転して減収減益になった12年3月期以降、エフィッシモはヤマダの株の買い付けに着手している。

 エフィッシモにとってヤマダは狙いやすいカモであった。創業時、銀行融資を拒まれることの多かった山田は大の銀行嫌い。1989年に株式を公開すると、新株予約権付社債の発行など積極的なエクイティ・ファイナンスで資金調達し、新規出店の原資を確保している。当然、新株を発行することになるため、発行済み株式数は増加し、創業者である山田(およびその資産管理会社であるテックプランニング)の持ち分比率は低下してゆく。そうなれば、圧倒的な大株主が不在となり、ヤマダの大株主は外資系の金融機関名義の「信託口」や内外の投資ファンドばかりが名前を連ねることになる。経営者である山田の意のままに操れる「安定株主」が少ないのだ。しかも、買収防衛策はまったく講じていなかった。有価証券報告書を見ると、ライツ・プランの欄は「なし」。これでは狙ってくださいと言っているようなものである。

 2012年3月期以降、明らかに業績は低迷し、これまでの業態が維持しにくくなっているにもかかわらず、ヤマダは従来の大量出店・大量販売の呪縛から抜け切れないでいた。業績は次第に悪化していくので株価は低落し、一時は200円台をさまよった。

 するとエフィッシモの買い攻勢は激しくなる。当然と言えば当然と言えよう。低株価。防衛策なし。大株主なし。株主は利にさとい外国人投資家が主とあれば、高値を指せば確実に手放してくれる。ヤマダの大株主には、ブラックロック(7・47%)、アライアンス・バーンスタイン(3・78%)、ジーエルジー・パートナーズ(3・32%)といった投資ファンドや、ゴールドマンサックスインターナショナル(8・90%)、チェースマンハッタンバンク(2・48%)などといった外資系金融機関が「代理人」を務める機関投資家(おそらくは年金基金や投資信託だろう)が、ずらりと並んでいる。

 12年から買い進めていたエフィッシモは昨年10月、関東財務局に提出した大量保有報告書によって、初めてヤマダ株の取得を宣言する。7071万株余。発行済み株式総数に対する保有割合は7・32%だった。このとき初めて山田はエフィッシモの登場を認識した。それまで水面下で株を買い進めていた彼らの存在には、このときまで毫も気づかないでいた。

 このときは平穏を装って「受け流し」ていた山田だったが、今年1月22日に提出されたエフィッシモの「第2報」に驚愕する。エフィッシモの保有割合は13・16%に達した。それはエフィッシモが「筆頭株主」になったことを意味していた。 投下資金は423億円。1株平均333円という安値で彼らは株を買い占めていた。
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