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コロナ対策融資が急増、融資全体でバブル以来の伸び

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優良顧客開拓や既存融資の肩代わりが横行、進む顧客選別

公開日: 2020/06/22 (政治, ビジネス)

Reuters Reuters

森岡 英樹 (経済ジャーナリスト)

 新型コロナ感染拡大に伴う行動の制限、営業自粛、インバウンド需要の激減から事業会社の売上が急減、収益悪化に伴う資金繰り確保が社会問題化している。

 政府は2次にわたる補正予算を組み、政府系金融機関を通じた実質無利子・無担保の特別融資に乗り出しており、さらに5月からは民間金融機関に対しても実質無利子・無担保の融資実行と既存借入の条件変更等に柔軟に対応するよう繰り返し強く要請。官民金融機関ともに貸付残高が急増している。

 日本銀行の調査によると全国銀行の5月末の貸出残高は、前年同月比で5.1%増の491兆4685億円となり、伸び率はバブル崩壊直後の1991年8月以来の高さとなった。また、政府系金融機関では、日本政策金融公庫が5月末までに実行した実質無利子・無担保融資は約36万件・約6兆2000億円。商工中金が同1万3000件・約1兆円まで積み上がっている。

 民間金融機関の実質無利子・無担保融資の仕組みは、都道府県の制度融資を活用し、国が借入に係る利子を当初3年間補給するもので、保証料も半額またはゼロとなる。また、最大で5年間にわたり返済を据え置くことができるほか、融資上限も第2次補正予算の成立を受け3000万円から4000万円に引き上げられた。まさに至れり尽くせりの特別待遇だ。

 一方、融資する金融機関にとっても特別融資は貸出金利が得られる(企業は利子補給で実質無利子)ほか、大半は信用保証協会の100%保証が付されるため、不良債権化しても信用リスクはゼロ。このため優良顧客を取り込み、貸出残高を積み上げる格好の機会となっている。

 金融機関の中には、手元資金に余裕がある企業に対しても、「この先、コロナ感染の影響がどこまで続くのか分からないので、無利子期間の3年間だけでも特別融資を利用し、現金を多めにもっておきませんか」と勧誘するところもある。

 さらに、悪質なケースでは、既存のプロパー融資を特別融資に振り替えることで、信用リスクをゼロに切り替える動きもみられる。いわゆる「旧債振替」に該当するグレーな取引で、金融庁も問題視している。「特別融資を受けさせ、その資金で既存借入を返済させる事例も見受けられる」(金融庁関係者)という。

 このため金融庁は、プロパー融資の増減についても特別融資と同様に報告徴求し、不自然に減少している金融機関に対しては特別検査を実施する意向だ。

 優良顧客については、融資の勧誘が強化される半面、融資実行や条件変更について門前払いする動きも顕在化している。金融庁や各地の財務局に設けられた「新型コロナウィルスに関する専用相談窓口」には、
①金融機関の担当者に条件変更を依頼した際に、「今回条件変更を行えば将来の借入のハードルが高くなる」と言われた。
②金融機関に新規融資について相談したところ、当社が一時休業明けで決算期は未到来であることを理由に謝絶された。
③新型コロナウィルス感染症による今後の影響を見据えて、早い段階で金融機関に条件変更を求めたが、「現状は黒字であるので、条件変更には対応しない」と言われた。
④普段から連絡している担当者に、改めて新型コロナウィルスの影響を踏まえて資金繰りの相談を行おうと連絡したが、多忙を理由に公庫の制度を案内され、金融機関と相談する時間をもらえなかった。
⑤金融機関に条件変更を求めたところ、金融庁の要請は「円滑化法のように法律的な根拠がないため、金融機関として応じる義務はない」と回答されたーといった苦情が寄せられている。

 金融機関が既存融資の条件変更に消極的なのは、金融機関にとって不利な条件への変更で収益圧迫要因になるためだが、信用リスクがゼロの新規融資にも一部消極的な金融機関があるのは、「特別融資を契機に、本来淘汰されておかしくないゾンビ企業との取引を呼び込みかねない」(中小金融機関)と危惧されているためだ。「特別融資はゾンビ企業の延命策」(同)と指摘する声も聞かれる。

 新型コロナの影響が解消された後、これらゾンビ企業向け融資の多くは不良債権化し、求償債権として信用保証協会に移されることになろうが、残る融資先との取引は継続される。潜在的な不良企業を抱え込むリスクは残る。「都内のS信用金庫の融資残高はコロナ禍で減少している」との情報もある。水面下では顧客の選別が進んでいる。
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森岡 英樹(経済ジャーナリスト)
1957年生まれ、 早稲田大学卒業後、 経済記者となる。
1997年米国 コンサルタント会社「グリニッチ・ アソシエイト」のシニア・リサーチ ・アソシエイト。並びに「パラゲイト ・コンサルタンツ」シニア・アドバイザーを兼任。2004年 4月 ジャーナリストとして独立。一方で、「財団法人 埼玉県芸術 文化振興財団」(埼玉県100%出資)の常務理事として財団改革に取り組み、新芸術監督として蜷川幸雄氏を招聘した。
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