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欧州防衛産業がアジア緊張に熱い視線

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兵器市場拡大見込み 日本初の国際兵器見本市を幕張で

公開日: 2019/11/20 (ワールド, ビジネス)

ロンドンのDSEI会場(主催者提供) ロンドンのDSEI会場(主催者提供)

谷口 長世 (国際ジャーナリスト、在ブリュッセル)

 日本初の国際総合兵器見本市「DSEI Japan2019」が11月18日から20日まで、千葉県の幕張メッセで開催されている。世界最大級の国際総合兵器見本市であるDSEI(ロンドンで隔年開催)が初めて英国外で催されるもので、日本企業約50社、外国企業約100社が参加し、ミサイル、戦車、戦闘機、ドローン等のさまざまな最新兵器が展示されている。

 同時に各国の政府、軍、兵器メーカー関係者が幕張や都内で兵器の取引・交渉そして契約成立にしのぎを削る。幕張「DSEI Japan2019」は、第二次大戦後、民生分野中心で繁栄を築いてきた日本が、戦争依存型経済国へと着々と重心を移し始めた重要な節目として歴史に刻まれるだろう。

 毎年世界各地で開催される主だった国際兵器見本市は数十に上る。その中、DSEIは、パリで同じく隔年開催されるユーロサトリと比肩する代表的な総合兵器見本市だ。DSEIとユーロサトリは交互に催される。2019年9月にロンドンで開かれたDSEIは1700以上の軍事・安保企業や国・団体が参加、35000人以上が訪れた。

 ユーロサトリも同規模だが、中国​軍事企業​が堂々と展示スペースを確保し参加しているのがDSEIとの最大の違いである。DSEIもユーロサトリも、先が霞むほどの会場にロッキード・マーティン、レイセオンなど圧倒的なスペースを占める米国勢をはじめ、英国のBAE System、ドイツのラインメタルなど世界各国の兵器メーカーが各々の展示コーナーに実物の兵器を並べ、「製品」説明​や商談が行われている。

 なぜ世界の兵器見本市の老舗・英国DSEIが日本を初の海外展開先に選んだのか。

 「DSEI Japan2019」の案内サイトの「アジアの防衛市場への入り口です」という見出しが​その​答えだ。ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が2019年4月に発表した世界軍事支出動向によると、アジア太平洋諸国の軍事費合計は、冷戦末期の1988年に世界の軍事費合計の9%だったのに比べ、2018年には28%に増え、合計5070億ドルに上った。

 中東以外、世界各地で軒並み軍事費が減少あるいは微増にとどまる中、アジア太平洋地域だけが毎年増加を続け、今後も増加が確実視されている。アジア諸国間及び米中の緊張関係は、軍事産業界には成長市場を約束する朗報なのだ。

 各メーカーの展示場には商談用の仮設オフィスが設けられているが、商談は東京都内のホテルや各国大使館、「DSEI Japan2019」を後援する防衛省、防衛施設庁、外務省、経済産業省やメーカー社屋などでもこっそり行われる。

 兵器の調達、共同研究・開発、価格設定の形と、交渉内容は多岐にわたるが、煎じ詰めれば防衛予算の使い道だ。おカネという観点に立てば、23日に失効の迫るGSOMIA問題も、幕張のDSEI Japanも、そしてそれと相前後し​タイで開催された​拡大ASEAN国防相会議、日米韓三カ国防衛相会議、日米防衛相会談、さらに米韓防衛相会談(ソウル)のそれぞれが多角的に複雑につながりあっているとみるのが自然だろう。

 今年9月に開催されたロンドンのDSEIでは、各種の攻撃・偵察ドローン兵器に加え、IT企業群が一層存在感を増した。DSEIに参加した小さな欧州のIT企業は、兵器見本市に抗議する平和活動家の動きや仲間との連絡状況をソーシャルメディアの自動解析により常時監視する恐るべきシステムを売っていた。展示用のシステム画面の監視対象者たちは匿名だが、システムは​すでに​実用段階という。

 そういえば今年のロンドンのDSEIは、これまでに比べ見本市開催反対の市民の姿が分散し、はるかに少ないと、報道陣が首を傾げていた――。幕張の兵器見本市は、海外派兵、東アジアの緊張を含む、21紀の安全保障の舞台裏をビジュアルに垣間見れる貴重な機会だ。
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谷口 長世(国際ジャーナリスト、在ブリュッセル)
毎日新聞ブリュッセル支局長を経て1998年、独立。ブリュッセル在住、安全保障&国際問題を中心に月刊「世界」など内外の雑誌に多数寄稿。著書に「アンネ・フランク 心の旅路」(講談社)、「NATO 変貌する安全保障」「サイバー時代の戦争」(共に岩波書店)。「アンネ・フランクに会いに行く」(岩波ジュニア新書) 現在、世界第2の規模の外国特派員組織・国際記者連盟(ベルギー)財務理事。
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