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日産の内田社長、ゴーン体制を批判 日本市場に回帰は本当か

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内田社長のスピーチに見る、日産の危機感と決意

公開日: 2020/06/04 (ビジネス)

CC BY-SA 日産の広告(テキサス、2008年)=CC BY-SA /Alicia-Lee-07

岩城 諒 (経済ジャーナリスト)

 日産自動車は果たして復活できるのか。

 前会長のカルロス・ゴーン被告が新興国に工場を新設し、規模拡大を目指した日産は、日本や北米市場で新車開発が遅れ、販売が低迷した。その結果、2020年3月期連結決算はリーマン・ショック後の2009年3月期以来、11年ぶりの最終赤字に陥った。

 5月末、日産は相次ぎ、対応策を打ち出した。まず日産、三菱自動車、フランス大手ルノーの3社連合として5月27日、生産や販売を地域ごとに分担するほか、技術開発でもそれぞれが得意分野を主導する連携強化策を発表した。

 日産は中国・北米・日本、ルノーは欧州・ロシア・南米・北アフリカ、三菱自はアセアン・オセアニアでリーダー役を務めるという。いずれも各社が得意とする市場だからだ。

 主要技術の開発では、
①自動運転など運転支援技術は日産
②コネクティッドカー(インターネットでつながる車)技術や電動化は日産とルノー
③プラグインハイブリッド車(PHV)は三菱自

――と、それぞれリーダーを務める。3者はアライアンスの強化で新モデル開発の投資額を最大40%削減するという。

 こうした発表は、いずれも想定の範囲内で、大きなサプライズはなかった。それよりも注目すべきは、翌28日に日産が決算とともに発表した2023年度まで4カ年の中期経営計画だ。

 日産が同日発表した2020年3月期連結決算は、最終損益が6712億円の赤字(前期は3191億円の黒字)となった。それだけにオンラインで登壇した内田誠社長のスピーチには危機感と復活への決意がにじみ出ていた。

 「ホームマーケットである国内市場には改めて力を入れていく。1999年以降、グローバル投資を優先し、国内への新モデルや新技術の投入に空白期間が生まれ、長年ご愛顧頂いているお客さまの期待に沿えない結果となった」

 内田社長はこう反省を述べ、国内市場を軽視したカルロス・ゴーン前会長の路線と決別する姿勢を明確にした。日産は今後、日本と中国、メキシコを含む北米を主要市場と位置づけ、経営資源を集中するという。

 内田社長は具体的な商品ラインアップについて「コアなモデルに絞り込む」と明言した。「グローバルに魅力と競争力を発揮できるモデル、つまりC、Dセグメント(*1)、電気自動車、スポーツカーに集中する」という。

 「これらのセグメントには先進技術を搭載し、より価値の高い、競争力を持った商品として開発し、当社のリソースを集中する。商品のライフサイクルについても、車齢を4年以下にし、刷新を図る」と述べた。

 この内田社長の言葉が本当なら、今後の日産に期待が持てるかもしれない。かつて日産にはブランド力の高い看板車種が複数存在した。

 1960~1980年代にかけての「スカイライン」と「ブルーバード」は輝いていた。

 スカイラインは日産と合併した旧プリンス自動車から引き継いだモデルだが、ブルーバードとともに日産を代表する高性能セダンで、ライバルのトヨタを技術と販売の両面で圧倒する存在だった。

 特にスカイラインは4年ごとのフルモデルチェンジが近づくたび、自動車雑誌が次期モデルをスクープ合戦で抜き合うほどの人気ぶりだった。そんなクルマは当時、トヨタにもホンダにも存在しなかった。

 1980年代後半~1990年代前半にかけての日産には、このほか「2代目シルビア」「初代プリメーラ」など、今も記憶に残る人気車、名車が存在した。

 ところが、トヨタが1997年に世界初の量産ハイブリッドカー(HV)「プリウス」を市場に投入し、世界的に人気となって以降、日産の影はどんどん薄くなり、ルノーの経営支援を受けざるを得なくなった。

 日産も2000年に「ティーノ」にHV仕様を追加してトヨタに対抗したが、コストがかかるHVの開発にカルロス・ゴーン氏がストップをかけ、この分野で大きく出遅れた。その後、電動化の遅れを電気自動車(EV)「リーフ」で挽回しようとしたが、航続距離などに課題を抱えるEVは思うように普及していない。

 現在の日産の売れ筋は、電動化技術「eパワー」が人気の「ノート」や「セレナ」だ。スカイラインは今も残るが、軽快かつスポーティーで、若者が憧れたかつてのスカイラインとは大きく変貌してしまった。

 内田社長は国内市場について「2023年までに電気自動車2車種とeパワー搭載車4車種を追加する」と語った。今の日産に必要なのは、かつてのスカイラインやブルーバードのように、クルマ好きを納得させる高性能なモデルを開発することだろう。失いかけているブランド力を新商品で取り戻すしかない。

 果たして、それができるのか。かつてのトレードマーク「技術の日産」の復活を今度こそ期待したい。

*1:
セグメントは主に欧州の自動車業界で発展した区分けで、通常は車の全長により分類される。「Cセグメント」が4.2~4.6m程度のフォルクスワーゲンゴルフなど主に中高級ハッチバック、「Dセグメント」は4.5~4.8m程度のBMW3シリーズなど主に中級セダン。こうしたサイズに対応した販売価格により分類されることもある。
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