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60歳で起業、挫折乗り越え

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【起業家列伝】日本エレクトライク、電気3輪自動車でビッグビジネス目指す㊤

公開日: 2015/08/24 (ビジネス)

日本エレクトライクの松波登社長 日本エレクトライクの松波登社長

森 一夫:「わが経営」を語る (経済ジャーナリスト、元日経新聞論説副主幹)

「今はニッチ(隙間)ですが、新しい市場を創造しますから、ビッグビジネスになりますよ」。大きな夢を大真面目に語るのは、電気3輪自動車メーカーの日本エレクトライク(本社神奈川県川崎市)の松波登社長である。同社は6月に国土交通省の自動車型式認定を取得して、自動車メーカーとして正式にスタートを切ったばかりである。

 初年度の生産計画はわずか100台だが、同社の設立は松波社長が60歳になった2008年で、既に7年近く経過している。同社が開発した電気3輪自動車は1人乗りでミニサイズとはいえ、自動車に変わりはない。商品化にこぎつけるまで困難の連続だった。しかしもっと大変なのは事業として確立するこれからだろう。

 遅咲きのベンチャー経営者である松波社長が、新しい自動車メーカーとして名乗りを上げるまでの経緯は、起業の容易ならざる現実と醍醐味の両面を示す。「よせばいいのに、バカなことをして苦労ばかりです。金融機関からは『やってはいけないことをやっている』と言われています」。こう語る松波社長は自動車オタクである。車を作りたいというアニマルスピリットが原動力である。

 しかし血気だけでは、ことは進まない。松波社長はほかにガス警報器メーカーの東科精機とトラックなどの後方確認を可能にする「リアヴューモニター」の日本ヴューテックの2社を経営している。だから電気3輪自動車の開発を続けられたわけだ。「車の開発費はリアヴューモニターの開発とはケタ違い。型式認定を取るのに年間1億2000万円の赤字です」と言う。

 実は松波社長は過去に、経営危機や挫折を乗り越えてきた。こうした経験から事業の勘所を承知しているのだろう。着想がいかによくても、とんとん拍子には行かない。計算を尽くしても、その通りにならないのは当たり前である。そんなことは百も承知だから、試行錯誤をいとわない。

 完成した車は、新製品の難しさを知るだけに、売るための工夫がこらされている。名称は会社名と同じ「エレクトライク」で、エレクトリックと3輪車を意味するトライクの合成語だ。スタイルは昔懐かしい小型のオート3輪だが、電動でハンドルを切った時に左右の後輪の力を別々に制御して安全に曲がれるようにした点が一番のセールスポイントである。

 昔の三輪車はカーブでスピードを出すと横転しやすいという欠点があった。特に2人乗りを1人で運転するとバランスがよくなかった。エレクトライクは運転者が真ん中に乗り、オートバイハンドルで運転するので、より安定性が高い。最高速度は時速50㌖で、後の荷台に150㌕の荷物を積める。

 ヘルメット、シートベルトが不要で、ドア無しなので乗り降りが簡単。排ガスを出さず、小回りがきくため、宅配に向いている。価格は、1回の充電で走行距離60㌖のものが160万円、同30キロメートルの者が130万円で、国の補助金を使えば30万円安くなる。

 「引き合いは海外も含めてすごいですよ。タイから、安ければ5000台ほしいという話が来ています。カナダからは500台の見積もりを出してくれと言われています。今すぐは無理なので待ってもらっていますがね」。松波社長は手ごたえを感じている。今は取らぬ狸の皮算用だが、潜在需要は海外にも目を向ければかなりありそうだ。

 ここに至る松波社長の原点は、車に熱中した青少年時代にあった。プロのラリードライバーなど長い紆余曲折をへて、自動車ベンチャーにたどり着いたのである。(㊥は来週月曜日に掲載予定です)
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森 一夫:「わが経営」を語る(経済ジャーナリスト、元日経新聞論説副主幹)
1950年東京都生まれ。72年早稲田大学政経学部卒。日本経済新聞社入社、産業部、日経BP社日経ビジネス副編集長、編集委員兼論説委員、コロンビア大学東アジア研究所、日本経済経営研究所客員研究員、特別編集委員兼論説委員を歴任。著書に「日本の経営」(日経文庫)、「中村邦夫『幸之助神話』を壊した男」(日経ビジネス人文庫)など。
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