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イトーヨーカ堂、「過剰なダイエット」のつけ

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40店舗閉鎖に透けるセブンーイレブン型経営移植の誤算

公開日: 2015/09/24 (ビジネス)

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角田 裕育 (政治経済ジャーナリスト)

 セブン&アイ・ホールディングスは先週末、ついにイトーヨーカ堂の2割にも該当する約40店舗を閉鎖する方針を固めた。何年も前から検討されながら、実現しなかったのはトップが認めなかったから。背景には、セブンーイレブンでの成功戦略のイトーヨーカ堂への押し付けがあったとの声が内部から漏れてくる。
 セブンーイレブンを育てた鈴木敏文氏はイトーヨーカ堂副社長時代の1980年代から「イトーヨーカ堂の業務改革(業革)」を推進し、マスコミでも注目を集めてきた。その真髄はセブンーイレブンでは成功した「単品管理理論」。「売れ筋は残し、死に筋商品は即排除する」というものだ。
 『イトーヨカー堂業務改革委員会』(秋場良宣著・講談社刊)という本のなかで、鈴木会長自ら単品管理という理論を熱く語っている。「在庫を減らすということは、死に筋を取り除くということです。売れ筋をそのままそこに残しておくということです。いいかえれば、今何が売れて、何が売れていないかということを明確に認識していくということです。したがって、在庫を減らすための基本的なやり方は、いわゆる単品管理なのです。全体としての在庫が減らせればいいのだということではありません。『売れる商品を店の中に揃えておく』ために『売れない商品を取り除く』ということなのです」。
 因みに、この単品管理理論はトヨタの「カンバン方式」と並んでハーバード大学ビジネススクール学院のテキストに採用されているという鈴木氏ご自慢の理論である。セブン-イレブン経営で成功を収めた手法で、イトーヨーカ堂でも1982年の「業務改革委員会」発足以来、しつこく適応を求めてきた。
 約40店舗の閉鎖方針を発表したプレスリリースでも、「過去のチェーンストア理論の否定」に触れながらも、単品管理による在庫削減を実行しているとしている。
 しかし、単品管理は業務改善に繋がらなかったと多くのイトーヨーカ堂関係者は指摘する。あるイトーヨーカ堂関係者は、
 「単品管理で死筋商品はいらないと言って、商品を削り過ぎて、人の体で言えば過剰なダイエットをしたようになった。かえって品揃えが中途半端になってしまった。鈴木会長のコンビニ経営理論は、イトーヨーカ堂では通用しなかったのです。西武・そごうミレニアムリテイリング、つまりデパート経営にも同じことが言えます」と語る。
 同社が合併した西武・そごうの幹部は社風の違いもあってか、セブン-イレブンやイトーヨカー堂出身者の幹部との衝突がしばしば報じられることもある。2005年の合併以来、業績は好転せず、目玉的存在だった西武有楽町店は2010年には閉店に追い込まれた。
 「コンパクトな作りのコンビニでは単品管理理論は通用するかもしれないが、スーパーやデパートではそうはいかない」というのが、記者の知る限り大方の事情通の見解だ。鈴木敏文会長は、フランチャイズ事業であるセブン-イレブン以外では目ぼしい業績は上げられていないのである。
 それどころか、イトーヨーカ堂の創業者である伊藤雅俊氏から経営権を譲り受けてからは、関東を中心に古い消費者からは不満の声ばかりがあがる。「イトーヨカー堂に行っても欲しい商品がない」というものだ。先述したイトーヨーカ堂関係者の証言と合致する「死に筋排除」の単品管理理論にこだわる余り、消費者のニーズに応えるだけの商品を供給できなくなってしまったのではないだろうか。
 にも関わらず、成功体験の理論にこだわるあまり、店舗閉鎖にもなかなか踏み込めなかった。40店閉鎖は、鈴木式経営が問い直され始めた象徴ともいえるのではないだろうか。
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角田 裕育(政治経済ジャーナリスト)
1978年神戸市生まれ。大阪のコミュニティ紙記者を経て、2001年からフリー。労働問題・教育問題を得手としている。著書に『セブン-イレブンの真実』(日新報道)『教育委員会の真実』など。
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