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コロナが浮き彫りにした社会的「職業格差」

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【医学者の眼】大切なエッセンシャルワーカーは本当に大切にされているか

公開日: 2021/05/31 (未分類)

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 生活に不可欠な仕事をする人をエッセンシャルワーカーと言って、コロナパンデミック下での感染の危険などの中で、感謝や敬意をこめて使われることが多くなっているとされています。医療、看護、介護の他にも食料品、物流・輸送、警察や消防など色々あります。

 何となく分かったような気がしないでもないのですが、一方で違和感もあります。

 こうした職種におおむね共通していることは、低賃金・過重労働、人手不足などですが、いわゆる3K(きつい、汚い、危険)、肉体労働のブルーカラーなどにも通じる職種で、いまさら呼び名を変えてもしっくりこないという感じもあります。

 ただ、エッセンシャルワーカーと呼ぶことがこれまでと違うところは、コロナ下という条件ではありますが、社会にとって不可欠な要素は何かということに改めて目を向けるようになった点だろうと思います。そしてぎりぎりの制限の中で、世の中の仕組みを考えるようになったということではないでしょうか。

 一方、地球温暖化等の環境問題は深刻さを増しており、SDGsの掛け声のもとに、各国政府や産業界も積極的に取り組みを始めています。我が国政府も2021年4月に2030年の温室効果ガス排出の13年度比46%削減目標を打ち出しました。

 しかし、こうした動きに懐疑的な意見もあります。

 一つはそもそもの地球温暖化等の原因に対する見解の相違ですが、科学論争も含めて、ここではそれは別問題とします。

 もう一つは、現在世界で進められている対策の有効性に関するものです。

 端的には、現在の経済成長を目指す資本主義体制の中では、いくらSDGsなどと言って科学技術なども動員して頑張っているふりをしても、それではとても間に合わないという危機感です。

 最近、「人新生の「資本論」(斎藤浩平著 2020年9月)」という本が、この種の本としては大きなベストセラーとなって読まれています。著者は経済、社会思想の若手研究者ですが、K.マルクスの晩年についての研究の中で、資本主義による経済成長を肯定しつつもその行きつく先は共産主義であるというこれまでのマルクスについての定説を覆し、資本論出版後には脱成長コミュニズムという思想に変化していたことを述べています。

 そして、マルクスの時代とは背景が異なるものの、地球環境問題や富の格差拡大などに曝されている現代社会においても、その解決のためには経済成長を止め、脱成長コミュニズムが必要だと過激に主張しています。

 詳細は本を読んでいただくとして、資本主義あるいは時に新自由主義の現在においては容易に賛同される意見とは思われませんが、米国民主党の左派や欧州のグレタ・トゥーンべリの環境問題などへの取り組みに加え、我が国でもこの本が短期間で多くの読者を獲得していることなどを見れば、必ずしも極論、暴論とは言い切れない状況だとも言えます。

 今回のコロナパンデミックも、行き過ぎた資本主義、グローバリズムの結果だという見方もあり、人新生(完新世の後、人類が地球の生態系に重大な影響を与える地質時代上の名称)の変化は予想以上に早く進んでいるのかもしれません。

 エッセンシャルワーカーは、脱成長コミュニズムの中でも不可欠で中心的な役割を占めますが、ではその対極の仕事はなんというのでしょうか?

 どうも現在は「ブルシットジョブ(デヴィッド・グレーバー ロンドン大学教授)」と言うのが流行っているようです。ブルシット(Bullshit)というのは牛の糞ということで、でたらめとかバカバカしいなどを表す言葉ですから、意味のないクソ仕事という事にでもなるのでしょうか。そしてそういう仕事(金融・投資・管理などのオフィスワーク等)程、給料が高い傾向があります。

 人新生を人類最後の時代にしないためには、地球環境問題を是非とも何とかしなければならないのでしょうが、コロナパンデミックがワクチンで落ち着いたとしても、エッセンシャルワークとブルシットジョブが対立しているようでは、はたして脱成長コミュニズムの実現はどう進んでいくのでしょうか?

中島 正治 (医師、医学博士、元厚労省局長)

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中島 正治(医師、医学博士、元厚労省局長)
1951年生。76年東大医学部卒。外科診療、医用工学研究を経て、86年厚生省入省。医政局医事課長、大臣官房審議官(医政局、保険局)、健康局長で06年退官。同年、社会保険診療報酬支払基金理事、12年3月まで同特別医療顧問。診療、研究ばかりか行政の経験がある医師はめずらしい。
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