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ワクチン接種後死亡例 ほとんど因果関係不明

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【医療の裏側】100万回あたり12人死亡、補償が必要

公開日: 2021/06/30 (未分類)

Reuters Reuters

山岡淳一郎 (作家)

 東京は新型コロナ感染症のリバウンド局面に入った。ウイルスのデルタ株への置き換えと、ワクチン接種の競争が続いている。

 東京五輪を開催して、仮に人流を「10%増までに抑えても、7月後半から8月前半に宣言の再発令が必要になる可能性がある」と厚生労働省の専門家組織「アドバイザリーボード」は6月16日会合で指摘した(京都大・東北大・国立感染症研究所のシミュレーション)。

 デルタ株の広がり方次第では医療提供体制がまた崩れ、感染者が発症しても病院に入れず、自宅待機を強いられて亡くなる事態が生じるかもしれない。一方で高齢者への接種が完了すれば重症化の割合が下がり、医療体制が持ちこたえる可能性もある。

 どう転ぶにしても、菅義偉首相自身が「俺は勝負したんだ」と側近にいうようにギャンブル状態だ。政府はワクチン接種に拍車をかける。

 しかし、接種が進むほど増えるのが副反応。いまのところ「接種の利益のほうが副反応のリスクを上回っている」として問題視されていないが、情報が十分に開示されているとは言い難い。前回は重いアレルギー症状の「アナフィラキシーショック」の判定の曖昧さを指摘した。今回は「接種後の(一定期間内の)死亡」に焦点を当ててみよう。

 6月23日、「第62回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会」に接種開始の2月17日から6月13日までの接種後の死亡事例が「医療機関または製造販売業者」から報告された。

 米ファイザー社のメッセンジャーRNAワクチン「コミナティ」の筋肉注射については、この間、2324万5041回(推定)打たれ、死亡事例は277件。100万回の接種で12人が亡くなる計算だ。

 その後、6月14日~18日の5日間で78件の死亡が報告されており、死亡者数は355人に増えた。ちなみに2019年のインフルエンザのワクチン予防接種では、100万回接種で0.11人の死亡にとどまっている。

 コミナティ筋注後の死亡時期は、接種の即日から数日後が多く、遅くとも4週間以内に収まる。驚くことに277件の死亡例(6月13日まで)を対象にした専門家の評価は、「情報不足等によりワクチンと症状名との因果関係が評価できないもの(γ)」が275件。

 「ワクチンと症状名との因果関係が認められないもの(β)」が5件。件数の合計が277より多いのは、3症例については専門家の評価がγとβに分かれたためだという。「ワクチンと症状名との因果関係が否定できないもの(α)」はゼロである。

 死亡した人の年代は、65歳以上が全体の約9割を占めるが、20~50代の働き盛りの人も含まれる。たとえば、3月19日に初回の接種をして4日後に亡くなった26歳の女性は基礎疾患がなく、死因は脳出血と診断されている。専門家は次の評価コメントをつけた。

 「死亡時画像診断(CT)にて、小脳半球から小脳橋角部にかけて石灰化を伴う血種を認めており、脳動静脈奇形や海綿状血管腫の存在が示唆されるが、特定のためには剖検などのより詳細な情報が必要である。脳出血による死亡とワクチン接種の因果関係は評価不能である」

 荼毘に付された後で解剖、検査が必要だといわれても……因果関係は永久に不明だ。

 4月21日に初回接種し、2週間後に亡くなった34歳男性も基礎疾患はなし。下肢深部静脈血栓症による肺塞栓症、肺血栓症が死因とされる。解剖が行われたが、接種と死亡の因果関係は「不明」。専門家のコメントは「既往歴、嗜好歴、併用薬、剖検結果など情報がなく因果関係の評価は困難」と記されている。

 基礎疾患のある人は、コロナに感染したら生命にかかわる危険があるのでワクチン接種を薦められる。しかしながら接種にもリスクが伴うと考えられる。

 4月27日に初回接種し、5日後に亡くなった47歳女性は、子宮腺筋症の基礎疾患があり、昨年5月28日より 10月30日まで月1回リュープロレリン(抗がん剤)を計6回投与されていた。死因は肺塞栓症。専門家は、こうコメントをつけている。

 「ワクチン接種2日後に子宮出血及び性器出血を来たして、ワクチン接種5日後に肺塞栓症で突然死している。時間的な経過から、ワクチンと各事象の因果関係を完全に否定することは難しい。他方、月経に関する情報がないこと、子宮出血は出血量不明であり、子宮腺筋症による可能性があること、血栓塞栓症はリュープロレリンとの関連や大量出血によるDICの可能性まで考えられる。以上より、因果関係を評価するための情報が不足しており、因果関係について判断できない」

 首都圏でコロナ患者を診ている総合内科・血液内科の専門医に、あらためて基礎疾患があった47歳女性と、なかった34歳男性について再診断を依頼した。

 「基礎疾患のある方は、ワクチンによる発熱などが間接的に影響を与えた可能性も完全に否定はできない。ただし、このような方々にも一般的に接種推奨しますし、私もコロナに罹患した場合のリスクを考えて接種すべきだと言っています。基礎疾患のない34歳の方ついては情報が少な過ぎます。年齢を考えると何もなく死亡に至るのはかなり稀なので、報告されていないコントロール不良の肥満や糖尿病などのベースにあったのかもしれません」と返ってきた。いずれにしても情報不足で因果関係はわからない。

 接種後に働き盛りの人が亡くなっても「不明」のままでは補償、救済の道は断たれる。

 日本ではワクチン接種の健康被害に対し、「予防接種健康被害救済制度(1976年制定)」が設けられており、死亡は一時金約4400万円が支給される。

 ただし、給付は因果関係を厚生労働大臣が認めた場合に限られており、その審査には4か月~1年かかる。審査内容は開示されず、給付申請への諾否のみが公表される。

 この救済制度は、40年以上運用されているが、死亡一時金が支給されたのはわずか148人にとどまる(2019年末現在)。

 前述のようにコミナティの接種後の死亡頻度は100万回当たり12人とかなり高い。厚労省は、このワクチンを「特例承認」で認め、本来、承認前に必要な大規模な第三相臨床試験を省略している。公益重視の特例承認は致し方ないにしても、実質的にはいま国内で第三相試験が行われているようなものだ。

 治験ならば因果関係が不明なケースでも補償される。コロナワクチン接種後の死亡や重篤事例についても補償が必要ではないだろうか。とくに働き盛りの死亡例には支援が求められる。
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山岡淳一郎(作家)
1959年愛媛県生まれ。作家。「人と時代」「21世紀の公と私」をテーマに近現代史、政治、経済、医療など旺盛に執筆。時事番組の司会、コメンテーターも務める。著書は、『後藤新平 日本の羅針盤となった男』『田中角栄の資源戦争』(草思社)、『気骨 経営者 土光敏夫の闘い』(平凡社)、『逆境を越えて 宅急便の父 小倉昌男伝』(KADOKAWA)、『原発と権力』『長生きしても報われない社会 在宅医療・介護の真実』(ちくま新書)、『勝海舟 歴史を動かす交渉力』(草思社)、『木下サーカス四代記』(東洋経済新報社)、『生きのびるマンション <二つの老い>をこえて』(岩波新書)。2020年1月に『ゴッドドクター 徳田虎雄』(小学館文庫)刊行。『ドキュメント 感染症利権』(ちくま新書)、『コロナ戦記 医療現場と政治の700日』(岩波書店)刊行。
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