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米連銀2総裁のスキャンダル辞任 FRBは大荒れ

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【木内前日銀政策委員の経済コラム(104)】議長も地方債を保有、再任に赤信号が点滅

公開日: 2021/09/30 (マーケット)

FRB議長=Reuters FRB議長=Reuters

 米ボストン連邦準備銀行のローゼングレン総裁とダラス連銀のカプラン総裁は、27日に任期途中でともに辞任すると発表した。

 両者が行った金融投資が、金融政策を決める職務の中立性の観点から問題と批判されていた。両氏は、FRBの倫理規定には反していないと説明していたが、最終的には辞任に追い込まれたのである。タカ派のローゼングレン総裁の辞任は、今後の金融政策にも影響してくる可能性があるだろう。

 FRB(米連邦準備制度理事会)による大規模な金融緩和が実施された2020年に両氏は、RIET(不動産投資信託)や株式を売買していたことが資産公開で明らかになった。カプラン総裁は、2020年当時はFOMC(米連邦公開市場委員会)で金融政策決定の投票権を持っていた。

 FRBの倫理規定では、銀行株の保有禁止、FOMC直前と開催中の取引禁止、金融商品の売買や保有についての開示などが、FRB高官に求められている。このうち、情報開示の規定に抵触する可能性があるのではないか。

 先日のFOMC後の記者会見でパウエルFRB議長は、両者の取引がFRBの倫理規定に反するかどうかの調査を指示したことを明らかにした。さらに、今後、状況を徹底的に精査し、規定を厳しくするか検討する、と述べている。

▽パウエル議長の地方債保有も問題視

 パウエルFRB議長自身についても、問題が指摘されている。同氏が昨年、個人として行った投資記録に関する文書によると、地方債を保有していることが判明した。

 問題なのは、2020年にFRBが打ち出した施策の中に、地方自治体が確実に機能を継続できるよう、最大5,000億ドル相当の地方債を買い入れる「地方自治体流動性ファシリティー」も含まれていたことだ。こうした施策は、地方債を保有するパウエル議長個人に利益をもたらす可能性がある。

 議長は「個人として長年、地方債を保有しており、2019年にこれを凍結した」と語っている。現在のFRBの倫理規定に抵触することはないだろうが、金融政策によってその価値が大きく影響を受ける金融資産を政策当事者が持つことの問題を、改めて浮き彫りにした。今後は、FRBが保有する金融資産がより厳しく制限されていく可能性が高い。

▽日本銀行でも過去に村上ファンド問題が浮上

 日本でも、2006年に当時の福井日銀総裁が、就任前に村上ファンドに1,000万円投資をし、就任中にそれを解約したことが明らかになり、問題となった。解約によって利益が確定するため、これが利殖行為にあたるとして道義的責任を問う声が上がったのである。

 この事件を受けて、日本銀行は金融政策を決定する政策委員(総裁、副総裁、審議議員)の資産保有について、厳しい内規を作ったのである。銀行預金以外の金融資産や投資用不動産の取得は禁じられ、就任以前から保有する場合には売却か凍結が求められた。

 この際に日本銀行は、FRBなど海外の中央銀行の規定を参考にして資産保有に関する倫理規定を作ったが、結果的にFRBよりもかなり厳しい規定となった。今回の件で、FRBもより厳しい規定に修正される可能性が高く、それが国際的なスタンダードになっていくだろう。

▽求められる政策当事者の高い倫理観

 今回のFRBの投資問題を受けて、民主党急進左派はFRB批判をより強める可能性が高い。彼らは、FRBによる金融緩和が金融商品、不動産価格を押し上げ、資産格差を拡大させた、と今までも批判してきた。

 この点から、民主党ウォーレン上院議員などは、過去の金融規制政策が不適切だったとしてパウエル議長の再任に反対しているが、今後は反対姿勢を一段と強める可能性もあるだろう。今回の問題は、パウエル議長の再任にも影響することは避けられない。

 世界的に格差問題への注目が高まる中、金融政策の当事者には、個人の投資に関するより厳しい倫理観が問われることになる。

木内 登英 (前日銀政策委員、野村総研エグゼクティブ・エコノミスト)

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木内 登英(前日銀政策委員、野村総研エグゼクティブ・エコノミスト)
1987年野村総研入社、ドイツ、米国勤務を経て、野村證券経済調査部長兼チーフエコノミスト。2012年日銀政策委員会審議委員。2017年7月現職。
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