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ロシア国民がルーブルから仮想通貨に乗り換え

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【木内前日銀政策委員の経済コラム(116)】ウクライナ政府もドル連動のテザーを使用 危機時の仮想通貨の可能性示す

公開日: 2022/03/17 (ワールド, マーケット)

ルーブル=Reuters ルーブル=Reuters

 先進国から厳しい金融制裁を浴びたことで、ロシアは深刻な外貨不足に陥っている。特に主要国で中央銀行の外貨準備を凍結されたことは、おそらく想定外の大きな衝撃だったのだろう。

 ロシア政府の財政は破綻していないにもかかわらず、制裁がもたらす外貨不足によって外貨建て国債の元利払いができなくなるという、特殊な形でのデフォルト(債務不履行)にロシアが陥る可能性が高まっている。

 実際にデフォルトになった場合、海外の投資家の損失が拡大するが、先進国の金融市場に与える影響はそれほど甚大なものにはならないのではないか。既に金融市場は、デフォルトの可能性を相応に織り込んでいる。1998年のロシアのデフォルト時のような大きな打撃を、世界の金融市場にはもたらすことはないとみられる。

 ただし、デフォルトはルーブルの信用力を一段と低下させ、ルーブル安を一段と加速させる可能性が高い。その場合、輸入物価の上昇がロシアの国民生活を圧迫する。またロシア国民は、価値がどんどん下がるルーブルに見切りをつけて、仮想通貨(暗号資産)を購入する動きを強めていると見られる。

 先進国によるSWIFT(国際銀行間通信協会)制裁、外貨準備の凍結を受けて、ロシアは今後、独自の中銀デジタル通貨を用いた国際決済を模索し、また中国のデジタル人民元を国際決済に利用することなどを通じて、将来の制裁回避を狙うことも予想されるところだ。

 一方でロシア国民は、ルーブルを仮想通貨に換えて、自身の資産を守る姿勢を強めていくと考えられる。こうした仮想通貨の需要増加の動きが、2月末以降のビットコインの価格高騰の一因と考えられるのである。

▽戦時下のウクライナで広がる仮想通貨の利用

 ところで、仮想通貨の需要増加、利用拡大は、ウクライナでも同様に見られている。ロシアの侵攻を受けて外貨へのアクセスが難しくなっていることから、ウクライナ市民の間では、ドルに連動する仮想通貨、ステーブルコインであるテザーを購入しようとする動きが広がっている。

 ウクライナでは2月24に戒厳令が発令されたことを受け、中央銀行は現金自動預払機(ATM)からの引き出し制限や公式電子マネーの利用制限、一般市民への外貨の発行禁止などの規制措置を取ったのである。

 市民が現地通貨の安定や外貨へのアクセスに不安を抱くトルコやナイジェリアなどでも、テザーを含めた仮想通貨の人気が高まっている。

▽ウクライナでは仮想通貨による寄付が軍装備品や医療品の調達に利用される

 ウクライナでは、政府も積極的に仮想通貨を利用し始めている。それは、戦争遂行に必要な軍装備品や医療品の調達のためである。仮想通貨分析会社エリプティックによると、ロシアによるウクライナ侵攻が始まって以来、ウクライナ政府と民間支援団体には8万9,000件余りの寄付が寄せられ、約5,100万ドル(約59億円)相当の仮想通貨が集まったという。

 それが、軍装備品や医療品の調達などに使われているのである。活動家やテロ組織などが資金調達手段として仮想通貨を利用するケースは世界でも増えていると見られるが、政府が利用するのは珍しいケースだろう。

 このように、銀行による国際決済システムに支障が生じても、仮想通貨を用いて人道支援や戦費調達のため、世界中の個人から直接資金を集められることが証明されたと言えるだろう。

 先進国では、価格変動が大きい仮想通貨が送金手段として広く利用されていくことは想定できないが、ウクライナのように戦時下にある国が、内外からの寄付を受け入れる手段として仮想通貨を利用することは、仮想通貨の持つ潜在力の一つを明らかに指し示すものであろう。

木内 登英 (前日銀政策委員、野村総研エグゼクティブ・エコノミスト)

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木内 登英(前日銀政策委員、野村総研エグゼクティブ・エコノミスト)
1987年野村総研入社、ドイツ、米国勤務を経て、野村證券経済調査部長兼チーフエコノミスト。2012年日銀政策委員会審議委員。2017年7月現職。
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