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日本経済 ますます回復が遅れている

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【木内前日銀政策委員の経済コラム(96)】コロナ前に戻るのは2023年後半にずれ込み

公開日: 2021/06/10 (マーケット)

Reuters Reuters

木内 登英 (前日銀政策委員、野村総研エグゼクティブ・エコノミスト)

 6月8日に内閣府が発表した2021年1-3月期GDP統計・2次速報値で、実質GDPは前期比年率-3.9%となった。一次速報値の同-5.1%から上方修正となったものの、マイナス成長は変わらない。国内最終需要は、実質住宅投資を除けばすべて前期比マイナスであり、内需総崩れの感がある。

 一次速報値では、実質設備投資がマイナスとなったことが予想外であった。今回の二次速報値でも前期比-1.2%と、引き続きマイナスだ。輸出が回復基調を辿る中での設備投資の異例の弱さは、国内消費活動の現状及び見通しの弱さを反映したものだろう。

 さらに、需給ギャップの悪化が長く続く中、収益性が低下した企業が設備ストックを抑制する、資本ストック調整が本格化した可能性も考えられる。その場合、設備投資が回復するまでには時間がかかるだろう。

 内閣府は、1次速報段階での1-3月期GDP統計に基づいて、需給ギャップを-4.7%としている。マイナスは6四半期連続で、マイナス幅は2020年10~12月期の-3.5%(2次速報後)から一段と拡大した。

  「悪い物価上昇」で家計は防衛的な消費行動に

 海外では、エネルギー関連を中心に商品市況が上昇しており、金融市場ではインフレ懸念も浮上している。しかし日本では、景気の回復が遅れ、需給ギャップの悪化が著しい状況だ。そのもとで賃金上昇率も低迷を続けており、価格が幅広く持続的に上昇するような環境にはない。

 しかし、景気回復が先行している国がけん引する形で国際商品市況などが上昇すると、その影響は日本のように景気回復が遅れている国を直撃する。これは、景気回復を反映した物価上昇、いわゆるディマンドプル型インフレではなく、コストプッシュ型インフレだ。それはまた、「悪い物価上昇」ともいえるだろう。

 日本では携帯通信料金の引き下げの一時的な影響もあり、基調的な消費者物価はほぼ前年比横ばいの状態にある。しかし、原油価格上昇の影響を受けた電気・ガス料金、ガソリン価格の上昇が続いており、先行きも上昇観測が根強い。国内で賃金上昇率の低迷が続く中、海外から押し付けられた悪い物価上昇は、家計の消費行動を一段と防衛的にするだろう。

  緊急事態宣言で4-6月期もマイナス成長に

 3月にかけて一度持ち直した個人消費は、4月から5月にかけて再び落ち込んだ。感染の再拡大とそれを受けた3回目の緊急事態宣言の影響である。現在、緊急事態宣言は、10都道府県を対象に6月20日まで発令されている。その経済損失の試算値は、3兆1,790億円だ。過去2回の緊急事態宣言による経済損失の半分程度の規模にまで達する。その結果、失業者数は12.6万に増加する計算だ。

 この経済損失は4-6月期の実質GDP成長率を、年率換算で9%も押し下げる計算だ。4-6月期の実質GDP成長率は、1-3月期に続いて2四半期連続でのマイナスとなり、景気がいわゆる「三番底」に陥る可能性は高い状況だ。

 日本でも足元でようやくワクチン接種のスピードが上がってきた感はあるが、欧米諸国に比べて遅れた経済状況は直ぐには挽回できない。経済の回復の遅れが需給ギャップの悪化を長引かせ、その結果、雇用や設備投資など、企業のストック調整圧力を高めているだろう。

 また、他国と比べてコロナショックの後遺症が長引き、景気回復にはより時間がかかる。現状では、実質GDPがコロナショック前のピークの水準を取り戻すのは、2023年後半と予想される。
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木内 登英(前日銀政策委員、野村総研エグゼクティブ・エコノミスト)
1987年野村総研入社、ドイツ、米国勤務を経て、野村證券経済調査部長兼チーフエコノミスト。2012年日銀政策委員会審議委員。2017年7月現職。
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