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マクロ経済復活でも、文政権の支持率急下降

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【経済着眼】韓国経済のウィークポイント 大統領選への影響は?

公開日: 2021/07/08 (ワールド, マーケット)

CC BY ソウル=CC BY /Francisco Anzola

俵 一郎:経済着眼 (国際金融専門家)

 韓国経済は、2020年中はマイナス成長となったが、その後、半導体輸出の好調や文政権によるコロナ対策としての財政出動から全体としては好調に推移している。

 それにもかかわらず、国民の文政権に対する不信は日増しに広がり、その多くは所得格差の拡大、経済政策への不満であると言われる。来年の大統領選を占ううえで何が問題なのかを追ってみたい。

 2020年の韓国経済を振り返ると、新型コロナ感染の拡大から実質成長率は-0.9%と1998年のアジア通貨危機以来22年ぶりのマイナス成長となった。

 その後、2020年下期以降、中国、米国などを中心に景気が急回復する中で、得意とする半導体や電気電子製品を中心に輸出や設備投資が拡大した。

 また2020年度は新型コロナ対策として4次にわたる補正予算を編成するなど財政支援策も大幅に拡大した。-0.9%となった2020年の成長率寄与度をみると、民需のマイナス(寄与度-1.9%)を政府支出(同+1.0%)が埋める形となった。さらに韓国銀行も2020年3月、5月と政策金利を引き下げ、過去最低の0.5%とした。

 2021年に入っても韓国景気は輸出主導で回復している。

 輸出品目別(2021年1~3月前年比)にみると、半導体が+13%、自動車が+32%が、地域別には中国(同+25%)、米国(+20%)向けが好調を続けている。韓国銀行では2021年中の成長率見通しを+4.0%と予想している。

 このようなマクロ経済の復活にもかかわらず、文大統領の支持率は2017年の政権発足当初こそ8割近い高支持率を得ていたが、最近では30%台の低支持率にあえいでいる。さらに昨年4月の地方選ではソウル、釜山という二大都市の市長選でも野党「国民の力」の候補に席を譲った。

 このような文政権に対する支持の急速な低下の理由は何だろうか。

 もちろん、日本と同じで新型コロナのワクチン接種の遅れが不満を募らせているのは確かだ。

 7月7日時点で少なくとも一回接種した人の割合は30%(日本も25%)とOECD諸国の中の劣等生である。何よりも政府はファイザー、アストラゼネカなどからのワクチン確保は十分な量を確保しているとしつつ、調達スケジュールを示しておらず、調達の遅れがささやかれている。

 例えば政府は、一回目にアストラゼネカを摂取した76万人に対して、アストラゼネカの調達遅れを理由に二回目はファイザーに変えると知らせたほどだ。

 しかし、根本的な要因は成長回復にもかかわらず、むしろ経済格差が広がっているためだ。その最たるものは若年失業者の増大と住宅価格の高騰だ。

 韓国では半導体や電気製品、自動車などの輸出はサムスン、LG、現代などの財閥が担っている。こうした企業に就職するために激しい大学入学試験が繰り広げられているのは有名だ。しかし、大部分の若者は財閥に職を得ることはない。韓国経済がサムスン、LGなどの半導体、電子製品輸出で潤っても大多数の国民にとっては蚊帳(かや)の外になるわけだ。

 多くの若者は、中小製造業のほか、卸小売業や飲食業で働いてきた。それがコロナ感染の拡大で仕事を離れざるを得なくなった。いまもってコロナ前の水準に達していない。

 業種別にみると、2019年末と2021年4月を比較すると、卸小売り・飲食・宿泊が-500万人、製造業でも-50万人となっている。

 文政権は最低賃金を就任時の17年における時間当たり6,470ウォンから20年には同8,590ウォンと3年間で33%という大幅引き上げを行った。皮肉なことに、人件費コストの急上昇が中小の卸小売りなどサービス業等での雇用減少を招いたと言われる。

 韓国国民の間で最大の関心を呼んでいるのは住宅価格の急騰である。

 文政権の誕生した2017年以来4年間でマンション分譲価格はソウルで+88%、全国平均でも+57%の急騰を見せた。大方の第一次取得者にとって住居を購入するのには手の届かぬ水準となっている。無理をしてマンション購入を目指した人は、住宅ローン借り入れを増やすしかない。ちなみに銀行の住宅ローン残高は2021年3月末には583兆ウォンと前年比二桁の伸びを示している。家計債務残高のGDP比は優に100%を越えている(日本は66%)。

 文政権は富裕層による資産運用や投機目的にあるとして、その場限りの整合性に欠ける住宅政策を打ち出してきた。ローンの借り入れ制限、譲渡税引き上げ、富裕層の高額マンション投機の抑制措置など、政策の発動数は20以上に上るが、実効性を伴うものは少なかった。

 さらに2021年3月、宅地開発をになう韓国土地住宅供給公社職員が内部情報を利用して不正に土地投機を行った疑惑が浮上した。住宅価格の高騰で、マンション購入などは難しくなってきた一般大衆の怒りを招いた。

 韓国の次期大統領選の最大のイシューは、住宅価格の高騰で広がる貧富の格差を防ぐために価格抑制に努めることができるかになっている。

 場合によっては劣勢を伝えられる与党は、来年3月9日に行われる大統領選の直前にも韓国銀行による利上げで資産バブルと取り組んでいるという姿勢をアピールするかもしれない。
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