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ルーブル売りは止まったが

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【経済着眼】ロシア政府はルーブル防衛姿勢を強めたが、ファンダメンタルズ弱体化要因には変化が見られない 村田 雅志 

公開日: 2014/12/25 (マーケット)

【経済着眼】ロシア政府はルーブル防衛姿勢を強めたが、ファンダメンタルズ弱体化要因には変化が見られない 村田 雅志 

村田 雅志 (ブラウン・ブラザーズ・ハリマン通貨ストラテジスト)

 欧米各国による経済制裁と原油安で暴落したロシア・ルーブルが、12月後半から買い戻されている。クリスマス休暇前の12月23日のルーブルは対ドルで54を割り込み、12月11日以来の高値に回復。本日(25日)も54を下回る水準を維持している。ルーブルは12月16日に一時的とはいえ80ちょうど近辺まで下落したので、わずか1週間で3割以上も反発したことになる。
 ルーブル買い戻しの原動力は、ロシア政府がルーブル防衛姿勢を強めたことだ。ロシア政府は23日、政府系の輸出関連企業に対し、外貨建て資産の純保有高に上限を設定。一部メディアは、当局筋や銀行関係者の話として、ロシア中銀は大手国営銀行の外為取引デスクに監督官を派遣したと報じた。また翌24日にはロシア中銀が外貨建ての債務の返済期限が迫っている企業の借り換えを支援するため、金融機関に外貨建ての融資を行うと発表。ロシア当局が、ルーブル安によるロシア経済危機に本腰を入れたことでパニック的なルーブル売りの動きは後退した。
 ロシアの外貨準備は12月12日時点で4146億ドルと2009年9月以来の低水準に減少。しかし、1998年の通貨危機時(8月末時点で125億ドル)と比べると33倍の規模に達する。これだけの外貨買いの原資があれば、ロシア当局がルーブル安を力づくで防ぐことも可能といえ、同当局が本気の姿勢を見せればルーブル売りポジションが巻き戻されるのも、ある程度予見できた。
 今後もロシア当局は、ルーブルが大きく下落する場面では、本気の姿勢を示すことでルーブル売りの動きをけん制するだろう。ただ、欧米各国による経済制裁や原油安といったロシアのファンダメンタルズを弱体化させる要因に大きな変化が見られないのも事実。ルーブルが今後も買い戻しが続き、対ドルで40台や30台に戻るという展開は考えにくい。
 ロシアのプーチン大統領は18日の会見でウクライナの通信社からの質問に対し、ウクライナの危機の過程で我々は正しかったと思う。欧米のパートナーこそ正しくなかったと言明。ウクライナ危機は、政治的手段を用い解決されるのであって、経済封鎖や軍事力行使といった圧力によるものではないとも発言し、今後もウクライナの実効支配を弱めることなく、欧米各国との対立姿勢を続ける意向を示した。
 原油安も当面は続くとの見方が根強い。アラブ首長国連邦(UAE)のマズルーイ・エネルギー相は、原油価格が1バレル40ドルに下落しても、OPECは直ちには減産せず、少なくとも3カ月間は状況を見ると発言。一方、需要面では世界最大の原油消費国である中国の景気が弱含んだまま。ユーロ圏や日本の景気も低迷が続いており、日量200万バレルとも言われる供給過剰状態が早期に解消されるとは考えにくい。
 昨日(24日)に発表された12月22日までの週のロシア週次CPIは前週比+0.9%と前週の同+0.4%から大きく加速。ロシア中銀は、原油価格が1バレル60ドルだと、来年の成長率は4%を超えるマイナスとなるとの見通しを示した。
 インフレ加速と景気後退を背景に格付け機関もロシアの格下げを視野に入れている。S&Pは23日、ロシア債を「クレジットウオッチ・ネガティブ」に指定し、格付けを引き下げる方向で検討すると発表。ロシア債の格付けは投資適格級のなかで最低の「トリプルBマイナス」であるため、実際に格下げされればロシア債は投機的等級(ジャンク級)となる。ロシア債がジャンク級となれば、インデックス投資家を中心にルーブル売りの動きが再び強まると考えるべきだろう。
 過度なルーブル売りはロシア当局が止めにかかるものの、ファンダメンタルズから考えればルーブルは買いにくい、となると、ルーブルの今後の水準は、ロシア当局が容認するルーブルの水準次第、考えるべきなのだろう。前述したように23日からルーブルは対ドルで54を下回る水準での推移が続いている。仮にロシア当局が本日(25日)に何らかのアクションを起こさないのであれば、ロシア当局が容認する水準として1ドル54ルーブル近辺は有力となる。この水準はルーブル売りが加速する前の12月3日から10日の水準に合致する。
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村田 雅志(ブラウン・ブラザーズ・ハリマン通貨ストラテジスト)
東京工業大学工学修士、コロンビア大学MIA、政策研究大学院大学博士課程単位取得退学。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社にてアナリスト、エコノミスト業務に従事。2004年に株式会社GCIアセットマネジメントに移籍。2006年に株式会社GCIキャピタル・チーフエコノミスト。2010年10月よりブラウン・ブラザーズ・ハリマン通貨ストラテジスト。2009年より2013年まで専修大学経済学研究科・客員教授。日経CNBCでは「夜エキスプレス」レギュラーコメンテーターを務めている。

著書に「景気予測から始める株式投資入門」、「実質ハイパーインフレが日本を襲う」、「ドル腐食時代の資産防衛」など。
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