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オミクロン株の日本到達は時間の問題

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【舛添要一が語る世界と日本(118)】新型インフルエンザの経験から完璧な水際対策は無理

公開日: 2021/11/30 (未分類)

コロナ株=Reuters コロナ株=Reuters

舛添 要一 (国際政治学者)

 ヨーロッパなどで新型コロナ感染者が急増する中で、また厄介な変異株が南アフリカから出てきた。WHOは、これをデルタ株と同様に「懸念される変異株」に指定し、オミクロン株と命名したが、南部アフリカ地域のみならず、イスラエル、イギリス、ドイツ、ベルギー、オランダ、デンマーク、イタリア、香港、オーストラリア、カナダで、すでに感染が確認されている。

 この変異株は、変異が激しく、従来のワクチンが効かない可能性もあり、また感染力が強いとも言われている。そのため、各国は南部アフリカ諸国からの入国を禁止するなど、規制を強化している。イスラエルは、全ての外国人の入国を14日間禁止することを決めている。

 岸田首相も、30日午前0時から全ての外国人に対して入国禁止の措置を決めた。この新変異株の流行は、世界経済にも大きな影響を及ぼしつつある。感謝祭休日明けの26日のニューヨーク株式市場では、株価は一時1000ドルを超す下落となった。

 また、週明けの29日の東京株式市場は、一時400円以上の株価の値下がりを記録した。世界経済の回復基調にマイナスになる可能性があり、心理的にも重苦しい事態となる。

 欧米では、夏の感染ピークが収まり、経済や日常生活が正常化し始めた矢先に、またオミクロン株の脅威である。ワクチン接種が進んでいるので、重症化したり、死亡するケースは減っている。南アフリカの患者も軽症だという。

 しかし、この新変異株に対して従来のワクチンが有効ではないとなると、話は違ってくる。既存のワクチンが効かなくても、ファイザーやモデルナはmRNAの活用で100日もあれば新ワクチンの開発は可能だという。過剰に恐れる必要はないが、油断してはならない。

 韓国では、11月に感染防止策を緩和したら、また感染が再拡大してしまっている。日本だけは、世界が注目するくらいに感染者数が激減している。それだけに、オミクロン株の流入を阻止すべく、岸田首相は強力な対策を決断したのだが、水際作戦は100%完璧とはいかない。

 2009年に新型インフルエンザが流行したとき、厚労大臣の私は、到着した乗客を航空機内に閉じ込めたまま検疫官に検査させるなど、徹底した水際対策を講じたが、最初に確認された陽性者は海外渡航経験の無い人であった。

 ウイルスは、日本のような島国でも、簡単に国境を越えて行く。オミクロン株が日本に到来するのは時間の問題だと思う。

 日本の感染者数激減は、マスク着用など感染防止策を全国民が徹底していること、ワクチン接種完了率は76.89%(11月29日現在)と高いこと、まだ本格的な冬の寒さが到来していないことなどが理由であろう。

 しかし、感染の第6波が、いつ、どのような形で来るのか予測することは難しく、オミクロン株という新しい要因も見通しを不透明にしている。ワクチンの効果も6ヶ月だと言われており、欧米でブレイクスルー感染が増えているのも、それが原因の一つである。

 杓子定規に「8ヶ月後が原則」などと言わずに、ブースター接種を急ぐべきである。新たな変異株が発生した南アフリカでは、ワクチン接種を完了した人は人口のわずか24.1% である。しかし、これはアフリカでは高いほうで、アフリカ全体の接種率は6%と極めて低い。

 このようなワクチン格差が変異株発生の温床となっているのかもしれない。世界中に感染が拡大しているからパンデミックなのであり、日本だけが感染が収束してもパンデミックが終わるわけではない。先進国から発展途上国へのワクチン支援を強化しないと、WHOが終息宣言を出せる状況にはならないであろう。

 経口治療薬の開発など、明るいニュースもあるが、新型コロナウイルスとの戦いはまだまだ続くことを前提に、長期的な対応策を準備することが肝要である。仕事、買い物、娯楽、授業など、あらゆる分野で新しい様式が定着しつつある。ポストコロナの世界の光景はコロナ前とは大きく異なるであろう。
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