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中韓の歴史攻勢は終わらない

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安倍首相は「孤立」気味だった日中韓3カ国首脳会談

公開日: 2015/11/02 (政治)

Reuters Reuters

五味 洋治 (東京新聞論説委員)

 3年半ぶりにソウルで開かれた日中韓首脳会談は、会談の定例化などで一致した。2日には日韓首脳会談も行われ、全ての日程を終えたが、「中韓蜜月」がいっそう鮮明となった。中韓から安倍政権への歴史をめぐる攻勢は、収まるどころか激しくなりそうだ。

 「あれだけオバマから言われても、やっぱり朴槿恵さんは中国が好きなんだな」。日韓関係を専門とする日本の学者は、こう話す。 朴槿恵・韓国大統領と、訪韓した李克強・中国首相との蜜月ぶりのことだ。

 韓国の新聞は、安倍首相より李首相の訪韓を大きく取り上げた。李首相は10月30日付の韓国紙、朝鮮日報に寄稿し「中韓は長い歴史で喜びと悲しみ、栄辱の歳月を共にした」と、まるで同盟国のような表現を使った。つい数年前まで、中国は北朝鮮との間で似たような表現を使っていただけに、その変わりようには驚く。

 さらに李氏は31日に開かれた朴氏との会談の中で、中国が、新たに検疫検査基準を設けたと明らかにし、これまで厳しく制限されていた韓国産のキムチや参鶏湯、コメの中国への輸入が可能になると伝えた。さらに李氏は、「朴大統領の努力のおかげで(中国人の)食卓に上るようになったと国民に伝える」と花を持たせた。 キムチは年内、コメは来年1月、参鶏湯は来年前半にも輸出が可能になる見通しだという。

 両首脳はまた、中国の株式・債券市場に対する投資限度を800億元(約1兆5300億円)から1・5倍に拡大することや、上海にウォン・人民元の直接取引市場を開設することを決めた。

 まだある。両首脳は「韓中パンダ保護協力共同推進に関する了解覚書」も締結した。これにより、2016年初めには、中国からパンダのつがい1組がソウルに送られ、一般公開される予定だ。

 韓国は今年に入って景気減速が鮮明になっている。産業通商資源省が1日に発表した「2015年10月の輸出入動向」によると、10月の輸出額は前年同月比15.8%減の434億7000万ドルに落ち込んだ。輸出減少は10カ月連続で、10月の減少幅は、「金融危機直後の2009年8月(-20.9%)以来最大」(ハンギョレ新聞)という。そんな中で、経済協力を全面に打ち出した中国を、朴大統領は歓待せざるをえないだろう。

 両首脳は大統領府で開かれた中韓首脳による夕食会でも和気あいあいだった。李首相は、「(韓国は)まるでご近所に出かけておしゃべりするような親近感があり、とても楽しい」と応じたという。

 朴大統領は10月の訪米の際、オバマ米大統領から、中国が国際ルールに背く行動を取った場合は、韓国も意見すべきだと釘を差されたが、もう忘れてしまったらしい。朴氏は会談の日程中、李氏に中国が一方的に進める南シナ海の埋め立て問題について、直接言及しなかったようだ。

 これは朴氏だけの考えで行っていることではない。日本の言論NPOが今年10月にまとめた日中韓米4カ国意識調査によれば、アジアにおける中国の影響力が今後10年でさらに増加すると見る国民は、中国で82.5%、韓国も80%と8割を越えている。日本は60.3%、米国でも52%だった。

 「多少リスクはあっても、今から中国に寄り添えば、必ず恩恵がある」というのが、韓国人の本音なのだ。中国は、韓国の心理をよく把握している。

 今回の日程は、31日に中韓首脳会談が行われた後、3カ国首脳会談を挟み、最終日の2日に日韓首脳会談が開かれるという、変則的になった。

 「仲間外れ」気味の安倍首相に対し、朴氏は日韓首脳会談で、関係悪化の最大の原因となっている慰安婦問題の早期解決を求めた。

 2日昼前、会談を終えてメディアの短いインタビューを受けた安倍氏は、具体的な会談の内容には言及しなかった。代わりに、「課題」を3回、「懸案」という単語を6回も使い「率直な意見が言えた」と話したが、最後まで表情は硬いままだった。
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五味 洋治(東京新聞論説委員)
1958年生まれ。中日新聞社入社後、韓国延世大学留学。ソウル支局、中国総局勤務を経て、米ジョージタウン大学にフルブライトフェローとして在籍。著書に「父・金正日と私ー金正男独占告白」など。
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