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菅首相VS小池都知事 これまで菅氏が3連敗

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【小塚かおるの政治メモ】「最終ラウンド」は来夏 の都議選

公開日: 2020/09/28 (政治)

小池知事(左)と菅首相=NHKより 小池知事(左)と菅首相=NHKより

 菅義偉新政権が発足したのに合わせ、東京都の小池百合子都知事が9月23日、首相官邸に挨拶に出向いた。来夏に延期された東京五輪・パラリンピックは国との連携が不可欠。首相と知事は「グータッチ」でにこやかに写真に納まった。

 安倍政権下の新型コロナウイルス対策で、官房長官だった菅氏と小池氏の微妙な関係が表面化した。2人はしばしば意見対立し、感染者の増加について菅氏が「圧倒的に東京問題」と言えば、小池氏が「これは国の問題」と返し、菅氏が旗振り役となって「Go To キャンペーン」を進めると、小池氏は「冷房と暖房の両方をかけるようなもの」と冷や水を浴びせた。

 そんな2人の久しぶりの顔合わせ。菅氏の立場は官房長官から首相に昇格した。面会は小池氏サイドが自民党の二階俊博幹事長を通じて申し込んだというから、今後のコロナ対策や五輪を見据えて、小池氏が一歩引いての「和解演出」「関係改善への布石」などと解説されている。

 だが、両者のバトルはまだ続く。来夏の都議選が「最終ラウンド」になる。

 小池氏が自民党衆院議員だった頃から、菅氏はパフォーマンス好きな小池氏にあまり良い感情を抱いていなかったと言われる。安倍晋三前首相が2度目の自民党総裁に就いた2012年総裁選を巡っても菅氏と小池氏は確執があったとされるが、最初に両者が激しく全面対決したのは、16年の都知事選だ。

 自らが所属する自民党東京都連と対立する形で都知事選への出馬を決めた小池氏に対し、都連は増田寛也元総務相を擁立、党も推薦した。実はこの擁立劇は、都連というより菅氏主導で行われたのだった。

 知事選での小池氏の戦略は、自民党都連や自民党都議会議員(都議会自民党)を「都政改革を妨げる守旧派」と訴え、都民にアピールすることだった。都連を「ブラックボックス」と批判し、中でも「都議会のドン」を徹底的に攻撃することで小池氏は勝利を収めた。

 この小池氏の手法が、菅氏にとって許しがたいものに映ったのは想像に難くない。「都議会のドン」と呼ばれた内田茂氏(元都議、前自民党都連幹事長)に、菅氏は恩義を感じているからだ。

 月刊誌「文藝春秋」(2020年9月号)で、菅氏本人が内田氏との関係を語っている。総務大臣だった07年、東京都の法人事業税を地方に回そうと動いた際、当時の石原慎太郎都知事が猛反発する中で、都議会の実力者が内田氏であることを調べ上げ、会いに行くと、内田氏は「大臣の立場として当然だろう」と理解を示した。

 そして、内田氏が賛成すると、都議はもちろんのこと国会議員の反対者は誰一人いなくなったという。「以来、内田さんには感謝していて、先生の選挙の応援に行ったりもしました」と菅氏は明かしている。

 この都知事選で、自民党都連と小池氏は修復不可能なほどに反目し合うようになり、同時に「菅氏VS小池氏」の構図も決定的になったのだった。

 第2ラウンドはその翌年、17年の東京都議選。小池知事は世論人気を引っさげて地域政党「都民ファーストの会」を立ち上げ、都議会第1党に躍り出る大勝利を収める。自民党は歴史的大惨敗を喫した。

 改選前から34議席も減らす23議席しか獲得できず、後の都議補選で議席を増やすまでは公明党に次ぐ第3党に甘んじた。

 第3ラウンドは今夏に行われた都知事選だ。早くから小池氏に対抗できる候補者を探すも、独自調査でことごとく「小池氏には勝てない」という結果が出て、結局、自民党は勝負を断念。候補者を擁立せず事実上、小池氏を支援する形で都知事選を戦った。

 小池氏と懇意な二階幹事長が早くから支援の姿勢を見せていたことが少なからず影響したが、菅氏はギリギリまで独自候補擁立にこだわる都議会自民党の立場に理解を示していたという。

 つまり、ここまで菅首相は小池知事に3連敗していることになるのである。

 そんな2人の形勢は「逆転した」というのが、今度の菅政権誕生での大方の見方。実際、小池氏は首相官邸で菅氏と会った1週間前の9月16日に、4年前の都知事選以来、初めて自民党都連と正式に面会している。

 国の来年度予算に対する東京都の要望についての協力要請だったが、これまでは文書のみで行われてきていた。

 自民党都連関係者は、「我々はずっと都議会で野党だった。しかし今夏の知事選を経て野党ではなくなったので面会要請を受け入れることにした。今後はもちろん『都の政策決定に自民党も加えて下さいよ』ということです」と話した。

 菅氏は、総裁選告示前日の9月7日、わざわざ都議会まで出向いて自民党都議らの会合に出席し、総裁選での支援をお願いした。この4年間で、菅氏と都議会自民党との関係はさらに深まった。結果、東京では菅氏が3票を総取りした。

 自民党は来夏の都議選で第1党へ復帰することが絶対的な目標だ。菅氏は自民党総裁として全力で都議会自民党を応援するだろう。そして、第1党になれば、もはや小池氏は都議会自民党の意向を無視して都政運営は担えない。

 最近の小池氏の行動は、そうなる可能性を見越して、自民党都連や菅首相への接近を図っているようにも見える。

 一方で、世論の支持を集めるパフォーマンスに長けたシタタカな女帝が、簡単に白旗を上げるのだろうか。前述した今夏の都知事選で小池氏は、自民党の推薦を受けるように見せかけながら、土壇場で「政党の推薦を求めない」と表明して、自民党の梯子を外した。

 加えて、事実上、小池氏が率いる「都民ファーストの会」は今も50人の都議を抱え、同党の代表である荒木千陽都議は小池氏の元秘書という愛弟子。

 「荒木さんは主戦論者。常に小池知事を鼓舞しています。当然、来夏の都議選では自民党としっかり戦うべきと考えている」(都民ファーストの会関係者)

 さて、小池氏はどう出るのか。

 都政に詳しい選挙のプロは、「都議選で都議会自民党が第1党に返り咲けば、小池氏は『市中引き回しの刑』にさらされるようなもの。それならば、自民党の軍門に下らないで、捨て身で戦った方が、世論の支持を得られるのではないか。

 たとえ都議選で『都民ファーストの会』が敗れても、子飼いの都議を見捨てなかったという方が綺麗な負け方になる」と分析する。

 小池氏が再び国政に打って出ない限り、現状では来夏の都議選が菅首相VS小池知事の最終ラウンドとなり、3連敗中の菅氏が初勝利を収める可能性が高い。

 ただ、使い古された言葉ではあるが、選挙はやってみないと分からない。

小塚かおる (日刊現代第一編集局長)

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小塚かおる(日刊現代第一編集局長)
1968年、名古屋市生まれ。東京外国語大学スペイン語学科卒業。関西テレビ放送、東京MXテレビを経て、2002年から「日刊ゲンダイ」記者。その間、24年に渡って一貫して政治を担当。著書に『小沢一郎の権力論』、共著に『小沢選挙に学ぶ 人を動かす力』などがある。
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