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菅首相 実は選挙に強くない

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【小塚かおるの政治メモ】かかわる選挙は連戦連敗

公開日: 2020/11/03 (政治)

Reuters Reuters

「大都市制度に一石を投じたのではないかと思う」

 多くを語らない中で、菅義偉首相が精一杯の意地を見せた一言だった。

 大阪維新の会が全力を挙げて推進してきた「大阪都構想」が、住民投票の結果、再び「否決」されたことは、菅首相にとって少なからぬ打撃だ。

 安倍晋三政権時代から、安倍前首相と官房長官だった菅氏、元大阪市長の橋下徹氏、大阪維新の会代表で現大阪市長の松井一郎氏の4人は定期的に会食するなどしてきた。首相官邸と維新との親密さの実態は、菅氏と松井氏の個人的な信頼関係がベースにある。

 菅氏は2025年の大阪万博実現をバックアップし、国政政党の日本維新の会の代表でもある松井氏は、国会で維新が「菅別働隊」と言われるほど政権に協力してきた。そういう意味で菅首相は、安倍氏からバトンタッチを受けた菅政権においても、ますます維新に政権運営の安定のために寄与して欲しいと願い、今回の住民投票でも水面下で維新に肩入れしてきた。

「公明党の山口那津男代表が告示後に大阪に入って、維新の松井市長や吉村洋文大阪府知事とともに街頭に立った。世論調査で『反対』が伸びてきて維新が苦しくなったので、菅首相が、個人的なパイプでつながる創価学会の佐藤浩副会長に頼み込んだのでしょう。5年前の住民投票で『反対』だった公明党は今回『賛成』に寝返り、自民党大阪府連と敵対する形となりましたが、国政では自公連立なので、当初、山口代表は住民投票に距離を置いていました」(自民党関係者)

 公明・創価学会を動かしても負けたのである。菅首相の敗北、と言ってもいい。

 実は、菅首相は選挙が強くない。

 過去に自民党で選挙実務を取り仕切る選挙対策総局長や選挙対策副委員長を歴任してきた菅首相は、いわゆる〝選挙好き〟で選挙に対する関心が強く、「勝負師」と評される。

 安倍政権時代も、官房長官という政府の役職に就いていながら、国政選挙だけでなく、数多くの地方選挙に首を突っ込んできたが、候補者擁立など主導的に関わった選挙で連戦連敗している。

 第2次安倍政権が発足した翌2013年の川崎市長選挙。地元、神奈川県の首長選挙ということもあり、政令市という規模ながら、県連会長(当時)の菅氏は自民党推薦候補と一緒に街頭演説に立つほどの熱の入れようだったが敗北した。

 2014年の滋賀県知事選挙では、「卒原発」を訴えてきた嘉田由紀子知事の後継候補に自民党推薦候補が敗れた。菅氏は自ら応援に入っただけでなく、橋下徹氏(当時は大阪市長)に支援を要請するも及ばなかった。

 2016年の東京都知事選挙。小池百合子旋風に自民党が吹き飛ばされた選挙だったが、自民党推薦候補として増田寛也元総務大臣を擁立したのは菅氏だった。

 そして2018年の沖縄県知事選挙。翁長雄志氏の死去に伴う選挙で、米軍辺野古基地建設に反対する翁長後継の玉城デニー氏が勝利し、自民党推薦の前宜野湾市長が敗れた。

 自民党は秘書などのヒトもカネもふんだんに投入する総力戦を展開。沖縄基地負担軽減担当大臣を兼務していた菅氏は、公共事業をエサに沖縄県の建設会社などを締め上げ、前述の創価学会の佐藤副会長とも連携して票の上積みを図ったが大敗を喫した。

 沖縄のローカル選挙にも関わらず、なぜか自民党候補が「携帯電話料金の4割値下げ」を掲げる不思議な選挙で、菅氏の影響力が大きかったのは間違いない。

 直近では昨年8月の埼玉県知事選挙だ。自身が親しいスポーツライターの青島健太氏を落下傘で擁立。当初はトリプルスコアで楽勝と見られていたが、どんどん追い上げられ、想定外の敗北となった。菅氏は超多忙の中、2度も埼玉入りし、「令和おじさん」人気を引っさげ客寄せパンダまで演じたものの勝てなかった。

 今夏にあった都知事選では、実は菅氏はスポーツ庁長官(当時)の鈴木大地氏の擁立を模索していた。しかし、党独自の情勢調査で「小池知事には勝てない」という結果が出て、断念した経緯がある。つまり不戦敗だ。

 もちろん、勝利した地方選挙もあるが、政権与党の官房長官が本気でテコ入れすれば勝って当然。そう考えると、菅氏の連敗の記録は際立つのである。

 そのうえ、菅氏にとっては不吉な兆候も……。

 「菅政権になってまだ1カ月半ですが、10月18日投開票だった愛知県の岡崎市長選挙で推薦した現職が敗れ、10月25日には保守分裂の富山県知事選挙でも推薦した現職が敗れ、自民党は立て続けに首長選を2つ落としてしまった。菅首相が直接関わったわけではありませんが、嫌な現象です」(自民党関係者)

 1年以内には行わなければならない解散総選挙について、菅首相は「まず仕事」と慎重姿勢を崩していない。地方選挙と国政選挙は単純に比べられないが、勝負師の深層心理に選挙に対する自信のなさが潜んでいるということだろうか。

小塚かおる (日刊現代第一編集局長)

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小塚かおる(日刊現代第一編集局長)
1968年、名古屋市生まれ。東京外国語大学スペイン語学科卒業。関西テレビ放送、東京MXテレビを経て、2002年から「日刊ゲンダイ」記者。その間、24年に渡って一貫して政治を担当。著書に『小沢一郎の権力論』、共著に『小沢選挙に学ぶ 人を動かす力』などがある。
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