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福岡政界40年抗争 麻生VS古賀VS山崎、そして武田

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【小塚かおるの政治メモ】菅対麻生の関係ぎくしゃくの一因も福岡

公開日: 2021/04/05 (政治)

Reuters Reuters

小塚かおる (日刊現代第一編集局長)

 富山、岐阜、千葉、秋田と、このところ自民党は県知事選での「保守分裂」が相次いでいる。そんな中、福岡県知事選(4月11日投開票)は、与野党相乗りで推薦する前副知事と共産党支持の元福岡市議の一騎打ちの構図だ。

 当初、自民党内には前知事とは別に元国交省局長を推す動きがあり分裂選挙の様相も呈していたが、二階俊博幹事長の「一本化が必要だ」という鶴の一声もあり3月上旬に分裂回避が図られた。

 だが、政界の実力者ひしめく福岡で、すんなり「一枚岩」ができるはずはなかった。

 「実は3月25日の告示ギリギリまで、水面下では元副知事に対抗する候補者探しが行われ、某著名人擁立という具体的な動きまであったのです」(福岡政界関係者)

 この分裂選挙辞さずの対抗馬擁立劇で主導的に動いていたのは、自民党OBの古賀誠元幹事長と山崎拓元幹事長だったという。

 福岡政界をめぐっては、最近、麻生太郎財務相VS武田良太総務相の対立がクローズアップされている。総務省の違法接待問題で、武田氏がNTTとの会食について「国民が疑念を招く会食はしていない」との答弁を繰り返した際、麻生氏は「いいかげんにしろと言おうかを思った」「あんまり仲も良くないので黙っていたんですけど」と、武田氏に対する本音をさらけ出した。

 麻生氏と武田氏は地元では知らぬ人のいない「犬猿の仲」だ。鳩山邦夫元総務相の死去にともなう2016年の衆院福岡6区補欠選挙や2019年の福岡県知事選などでことごとく対立。保守分裂選挙で全面的な代理戦争を繰り返してきた。

 そういえば、当時、官房長官だった菅義偉首相は、いずれの選挙でも武田氏サイドの候補者を支援していた。そんなことも、菅氏と麻生氏の現在のギクシャクした関係の背景にはある。

 もっとも、「VS麻生」の構図は今に始まった話ではない。それは1980年代にまで遡る。若き日の麻生氏と古賀氏と山崎氏が主導権争いを繰り広げ、それが今もって続いている、というのが福岡政界なのである。

 3人は、いずれも総裁や幹事長などの党幹部や重要閣僚を歴任し、派閥領袖にも就いた大物政治家だが、政治家としてのタイプや地盤とする地域はそれぞれまったく異なる。

 麻生氏は1979年に旧衆院福岡2区で初当選し、現在当選13回の80歳。吉田茂元首相の孫であり、〝麻生財閥〟の御曹司という世襲政治家で、選挙地盤は飯塚市や北九州市など炭鉱や工業地帯が広がる「筑豊」。

 古賀氏は1980年に旧衆院福岡3区で初当選し、2012年に引退するまで当選10回。現在80歳。参院議員の秘書からの叩き上げだ。選挙地盤は久留米市や大牟田市など農村地帯が広がる県南部の「筑後」。

 山崎氏は1972年に旧衆院福岡1区で初当選し、2009年に引退するまで当選12回。現在84歳。早稲田大学卒業後、会社員を経て福岡県議となり、国政へ転身した。選挙地盤は福岡市を中心とする「都市部」。

 「3人は常にライバルとして競い合ってきた。知事選や参院選など全県1区の選挙となれば、それぞれが候補者を連れてきて対立し、分裂選挙になったことはしばしば。時には知事候補と参院候補の住み分けで落としどころをつけたり。『敵の敵は味方』の要領で1対2の対決になることもあった」(前出の福岡政界関係者)

 特に、麻生氏と古賀氏は同年齢のうえ当選時期も近く、派閥も同じ宏池会(現在の岸田派)に属していたことから、いがみ合いは激しかった。宏池会の主導権争いで1998年に派閥が分裂した際、古賀氏は派閥に残り、その後、宏池会領袖に。

 麻生氏は河野洋平氏(元自民党総裁)とともに派閥を飛び出し、非主流派で燻っていた時期もあった。(ちなみに福岡では、麻生氏と古賀氏に太田誠一元農水相を加えた3人が、「宏池会三羽烏」と呼ばれていた。)

 麻生氏は2008年に首相としてトップに昇り詰める。旧民主党に政権を奪われる苦杯をなめたものの、第2次安倍政権以降は副総理兼財務相として今も権力を持ち続けている。加えて、福岡県議会のドンは常に麻生氏と足並みを揃える。

 一方、古賀氏と山崎氏は現役を引退。三者の権力闘争は、否が応でも麻生氏が頭一つ抜ける形となった。だが、それで終わらないのが福岡政界だ。

 2003年初当選で現在53歳の武田氏を筆頭に、「VS麻生」は継続中。今度の県知事選で、前副知事擁立を先導したのは麻生氏に近い県議会議員であり、元国交省局長の擁立を模索したのは武田氏ら「反麻生」の面々だった。

 さらには、古賀氏と山崎氏というOBも、いまだ領袖を務めた派閥議員への影響力を残し、特に地元・福岡ではまだまだ生臭い。

 前任者の病気辞職という非常事態のうえコロナ禍の下での知事選ということで、今回は醜い分裂選挙を避けた福岡の自民党だが、40年抗争に終わりは見えない。

 同時に、「VS麻生」の構図は、今後の中央政局にも少ながらず影響するだろう。
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小塚かおる(日刊現代第一編集局長)
1968年、名古屋市生まれ。東京外国語大学スペイン語学科卒業。関西テレビ放送、東京MXテレビを経て、2002年から「日刊ゲンダイ」記者。その間、24年に渡って一貫して政治を担当。著書に『小沢一郎の権力論』、共著に『小沢選挙に学ぶ 人を動かす力』などがある。
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