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衆院選で負けない方法があるのに、それができない自民党

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【小塚かおるの政治メモ】野党が最も警戒するのは石破氏

公開日: 2021/08/09 (政治)

Reuters Reuters

 「永田町の常識は世間の非常識」とはよく言われるが、コロナ禍でその傾向は顕著になった。最近でこそ衆議院の任期満了を目前に控え、選挙のために必死に地元回りをしている議員が多いものの、昨年のコロナ禍以降、「地元に戻るな」という党幹部からの号令をいいことに、ウイルスに対する〝城壁〟のような国会議員会館の中で安住し、感染の恐怖に怯える一般国民から、ますます感覚が乖離してしまった。

 自粛破りで飲食をしていた自民党議員が離党したり、公明党議員が辞職したのがその一例だが、東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗前会長についても、永田町は当初、女性蔑視発言を軽く見て、森氏を擁護していた。

 9月末の任期満了にともない、これから本格化する自民党総裁選を巡っても、自民党は世論とズレまくっている。

 「菅総理は頑張っている。国民にも党内にもしっかり続投していただきたい声の方が強いのでは」

 自民党の総裁選挙管理委員会が立ち上がった8月3日、二階俊博幹事長がこう発言すると、「その国民の中に私は入っていない」「その声は幻聴なのでは」などSNS上で散々な反応だった。

 二階発言はいつもの「観測気球」の可能性もあるが、二階氏だけでなく、安倍晋三前首相や麻生太郎財務相など党主流派幹部も、これまでに菅首相の続投を支持する発言を繰り出している。

 だが、菅内閣の支持率は一部調査で「危険水域」とされる20%台に突入し、新型コロナウイルス対策を「評価しない」が過半を超える状況が続いている。第5波の感染拡大で医療体制がひっ迫してくると、菅首相は唐突に感染者の「入院制限」を打ち出し、医療現場を混乱させるだけでなく、国民の不安を増幅させた。

 「原爆の日」の広島での「平和祈念式典」で挨拶文の原稿を読み飛ばしたことも、世間を唖然とさせている。

 それなのに、自民党は菅首相を続投させるのだろうか。

 自らを「国民政党」と称し、国民全体を代表する気概があった頃の自民党は、もっと世論に敏感だった。

 派閥領袖ではないものの世論人気の高かった小泉純一郎氏が、2001年の総裁選で、多くの派閥が推し本命とされた橋本龍太郎氏を破ったのは、前任の森氏が支持率1ケタに沈んでいたことへの地方議員の反発と決起を受けた危機感の現れだった。

 福田康夫氏の任期途中での辞任に伴う2008年の総裁選で麻生氏が勝利したのも、参議院で民主党が多数を持つ「ねじれ国会」の下、翌年に衆議院の任期満了を控え、「選挙に勝てる総理」として選ばれた側面があった。

 今でこそ、「落選して欲しい政治家ランキング」で圧倒的トップ(「週刊女性」8月10日号)の麻生氏だが、当時は「漫画好き」やべらんめえ調の喋りが親しみやすさとなり、自民党議員では誰よりも人気が高かったのだ。

 ましてや今回は、衆院選は遅くとも3カ月以内に確実にやってくる。選挙は無党派層の動向が鍵を握る。このまま菅首相で選挙に突入なら、自民党の単独過半数(233議席)割れが視野に入り、自公で過半数維持も危うい情勢になりかねないことを、自民党内も様々な情勢調査から十分意識しているはずだ。かつての自民党なら、世論に敏感に反応して「選挙の顔」を選んだものだ。

 直近の世論調査のデータでは、国民が望む「次の首相」は明確だ。時事通信では、石破茂元幹事長が14.9%でトップ。2位は河野太郎規制改革担当相の14.5%。菅首相は6位で3.9%。日経新聞では1位が河野氏、2位が石破氏。ともに19%で、小数点以下の差で河野氏が上回ったという。

 ただ、前月比で見ると、河野氏が4ポイント減なのに対し、石破氏は6ポイント増だった。菅氏は5%で5位だ。読売新聞では、河野氏(20%)、石破氏(18%)、菅氏(4%)。産経新聞でも河野氏(18.1%)、石破氏(16.0%)、菅氏(9.1%)である。

 立憲民主党など野党議員と話すと、誰もが「選挙は菅首相を相手にして戦いたい」と熱望する。自民党の看板が河野氏に変わるのは「痛い」が、野党が最も警戒するのは石破氏だ。

 「まだ河野氏なら、政府のコロナ対策の失敗やワクチン政策の失敗などを争点に訴えやすいが、内閣に入っていない石破氏では批判しにくくなる。石破氏は菅政権とは異なる政策を掲げてくる可能性があり、野党として違いを出しにくい」(立憲民主党中堅議員)

 ところが、それでも石破氏は、「総裁選出馬のための推薦人20人を集められるかどうか」というのが、新聞などの政局記事の一般的な論調。総裁選の帰趨を決するのは「数」であり、最大派閥の細田派に影響力を有する安倍氏や麻生派領袖の麻生氏を筆頭に、「3A(安倍氏、麻生氏、甘利明氏)」や「F(二階氏)」の意向次第ということなのだ。

 「選挙に勝つ」「選挙で票を減らさない」という党全体の利益より、個人や派閥の利益が優先されるのがいまの自民党だ。

 もちろん、世論の人気が全てとは言わない。リーダーとしての実行力、日本を将来どんな国にするのかのビジョンや国家観が必要なのは言うまでもない。それを踏まえた上で、もう菅氏は代わった方がいいのでは、ということ。

 筆者は別に、自民党に党勢を挽回して欲しいと思っているわけではない。目前に迫る総選挙を考えれば「答え」は明快なのに、それをしない、それをできない自民党にどうしようもない劣化を見るのである。これほどまで徹底的に世論と乖離してしまったのか、と。

 党利党略どころか私利私欲だけの政党に、国の舵取りをこれ以上任せて大丈夫なわけがない。

小塚かおる (日刊現代第一編集局長)

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小塚かおる(日刊現代第一編集局長)
1968年、名古屋市生まれ。東京外国語大学スペイン語学科卒業。関西テレビ放送、東京MXテレビを経て、2002年から「日刊ゲンダイ」記者。その間、24年に渡って一貫して政治を担当。著書に『小沢一郎の権力論』、共著に『小沢選挙に学ぶ 人を動かす力』などがある。
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