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「夫婦別姓」の文言削除、右寄りに舵切った自民党の象徴

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【小塚かおるの政治メモ】26年前にも夫婦別姓の取材をしていた私

公開日: 2021/01/01 (政治)

撮影ソクラ 撮影ソクラ

 入社3年目、報道1年目の駆け出しのテレビ記者だった1994年2月、夕方ニュースの企画特集で「夫婦別姓」をテーマに取材した。

 1991年に法制審議会で「民法の婚姻・離婚制度見直し審議」が始まり、1994年春には有識者会議の試案がまとまるというタイミング。1985年に日本政府が女性差別撤廃条約に批准し、1986年に男女雇用機会均等法が施行されるなど、日本社会における「男女平等」や「男女共同参画」という意識の芽生えの延長線上に、「選択的夫婦別姓」の議論もあった。

 当時は、会社勤めの女性の「旧姓使用」もまだ珍しい時代。国立大の女性教授が仕事上での旧姓使用を求めて裁判を起こしていたが、「同じ姓で夫婦の一体感が高まる」として東京地裁は1993年11月に訴えを棄却していた。

 取材では様々なカップルに話を聞いた。結婚式場の予約に訪れていた男性は、「日本は結婚によって、その家の者になるという風習がある」と答え、女性は「名前を変えることはあまり気になりません」と当たり前のように答えた。

 その一方で、旧姓を通称として使って働く百貨店の女性社員は、「名前は上下セットでつながって1つのものになっている。別々の名前を名乗っていても夫婦という事実は変わらない」と話していた。

 それから26年。「選択的夫婦別姓」をめぐる日本の風景はまったくと言っていいほど変わっていない。民法の改正がいまだ実現していないことには驚くしかない。女性の社会進出が進み、政府は女性の労働力に期待し、「指導的地位に女性3割」という目標まで掲げているのに(2020年の目標達成は未達)、夫婦別姓についてはいまだ「同じ姓で夫婦の一体感が高まる」という主張が大手を振っている。

 政府が12月25日に閣議決定した第5次男女共同参画基本計画は、原案にあった「選択的夫婦別氏制度の導入」という文言が、自民党内の猛烈な反発で削除され、「夫婦の氏に関する具体的な制度のあり方」という玉虫色の文言に修正された。

 「自民党内の保守系議員が日本会議などの支持層を意識して反対した」(自民党議員)ということのようだが、そうした一部支持層にしか目を向けない今の自民党の体質こそが、「変われない日本」「世界から遅れた日本」という悪しき側面を形づくっているのではないか。

 今や世論調査をすれば6~7割が「選択的夫婦別姓」の導入に理解を示している。自らの生活に関係する若い世代になればなるほど、その傾向は高い。それにあくまで「選択的」なのだから、現実に法改正されても過半数の夫婦は同性を選ぶ可能性が高いとみられている。

 「選択的夫婦別姓」を認める方針を打ち出している連立与党の公明党から「自民党も社会の変化などを直視して時代に合った判断をすべきだ」(山口那津男代表)と促されているのは皮肉でしかない。

 自民党は長らく自分たちのことを「国民政党」と呼んでいた。特定の組織の利益を代表するのではなく、国民全体の利益を代表することを標榜し、右から左まで幅広く包括する政党だった。

 それは自民党イコール政府という時代が長かったのだから当然の立ち位置だったとも言えるが、2009年に旧民主党に政権を奪われると、右寄りに舵を切る。労働組合を主体とする民主党政権に対峙するため、戦略的に保守系支持層の取り込みに走った。

 世界的に分断社会が加速するという時代背景も相まって、自民党は2012年に再び政権に返り咲いても、保守系支持層を重視する姿勢は変わらず、かつての国民政党の姿から遠ざかった。

 自民党は「保守」を勘違いしてはいないか。

 右を意識した今の自民党で当選したある若手議員は、「保守とは、旧来の伝統や風習、考え方などを重んじて守っていこうとすること」と言った。しかし、自民党の大先輩、保守本流の例えば故宮澤喜一元首相はかつてこう言った。

 「保守とは、ただ守るだけではない。大事なのはその制度がなぜ作られたか、慎重に議論したうえで、変えていくこと。保守とは、改革していくこと」

 今の日本の政治に、ただ立ち止まっているだけの余裕はないはずだ。

小塚かおる (日刊現代第一編集局長)

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小塚かおる(日刊現代第一編集局長)
1968年、名古屋市生まれ。東京外国語大学スペイン語学科卒業。関西テレビ放送、東京MXテレビを経て、2002年から「日刊ゲンダイ」記者。その間、24年に渡って一貫して政治を担当。著書に『小沢一郎の権力論』、共著に『小沢選挙に学ぶ 人を動かす力』などがある。
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