読売新聞が消費者委員会と消費者庁に対し、委員会運営に関し見解を求める書簡を24日に再度送付していたことが明らかになった。同社は、6月半ばに専門委員会の運営などに関して謝罪を求める抗議書を出していたが、運営担当の消費者委員会のみが一括で回答したことに反発し、再度の書簡(今回は抗議書とせずトーンダウン)では山口俊一消費者庁担当相と消費者委員会、消費者庁に別々に見解を回答するよう促している。消費者委員会の周辺からはそのしつこさに「ちょっと大人気ない」という声が上がっている。
読売新聞の一度目の抗議書は、6月10日に消費者委員会が開いた第六回専門委員会の運営に関すること。同委員会と消費者庁は「迷惑勧誘お断り」のスティッカーを張った家屋には訪問販売を禁止する法改正をめざしており、この日の専門委もそれが議題だった。新聞界、とりわけ読売新聞はこの規制強化に猛反対している。
参考人として反対の論陣を張ったひとりが、読売新聞東京本社社長に9日に就任したばかりの山口寿一氏だった。山口氏は渡辺恒雄主筆、グループ本社社長の白石興二郎(日本新聞協会会長)氏に次ぐ、読売のナンバー3。やがては読売グループを率いるとうわさされる大物だ。
この委員会で山口氏は失笑を買ってしまう。それというのも、山口氏が「いったん断られても、とっていただくというところまでこぎつけることも多々あるというのが、新聞という商品の現実」と発言したからだ。
この発言は、現行の特定商取引法で「契約締結をしないという意思表示したものには勧誘してはならない」(再勧誘禁止規定)に問われかねないことをしていると、新聞界の代表自らが認めたと受け取られかねない内容だった。この発言に委員から笑いが起こった。
ニュースソクラがこの発言を捉えて、笑いにつながった理由として「法律に抵触しかねない行為をしていることを認めたことになる」としたところ、読売新聞グループ本社広報部から「半年後にまた来てください」「考えておく」などと再訪問した場合に関して説明しており、再勧誘禁止規定に抵触するものでないとの指摘を受けた。
確かに委員長代理が「いまの話はあれですか、断ってもその意思を尊重していただけないということですか」と聞き返すと、山口氏は「断られ方にもさまざまあって」と話し、あまり顧客が言いそうもない「半年後にまた来てください」と言われたとする例を上げて、発言を補強している。その発言をあわせて聞けば、再勧誘禁止規定に抵触するとまではいえないだろう。ただ、当初の発言は舌足らずで、そこで笑いを誘ってしまっている。
読売の1度目の抗議書は、山口俊一消費者庁担当大臣、消費者委員会委員長、坂東消費者庁長官あてに6月15日に送ったもの。この専門委で山口氏など新聞界からの参考人の意見に対して委員が6回も大笑いしたのは、公正な委員会運営とはいえないというクレームだった。
笑いを誘うのにはわけがあると思えるのだが、専門委を主催した河上正二消費者委員会委員長が24日の専門委で、参考人に不快な思いをさせたなら遺憾という趣旨の発言をした。回答書も送って沈静化に努めた。だが、ニュースソクラや週刊誌などが多数、この問題を取り上げたことが気になったのだろうか、2度目の書簡となった。それも回答を催促する書。
消費者委員会が回答書で「委員は参考人の意見に真摯に耳を傾けていた」と記述しているのに対して、6回も大笑いしているのはビデオでも明確だ、などと再度、クレームをつけている。
1回目の抗議書と同様に、今回の書簡も大臣、委員長、長官宛で、官房長官へもクレーム文書を届けているらしい。こうした経緯をみれば、大新聞が消費者庁に書簡を出すことで圧力をかけている、と捉える読者も少なくないだろう。かえって新聞界の主張に世の中が耳を傾けなくなるのではないか、気になるところだ。