先日の独自記事でも扱いましたが、SMバー問題は宮沢経産相の資金管理団体・宮沢会の収支報告書から明らかになりました。収支報告書ってどんなものなのか。実際に読んでみました。
SMバーの名前が見つかった宮沢経産相の収支報告書は、実はネット上で誰でも簡単に閲覧できます。総務省のページから、各政治団体の収支報告書をダウンロードすることができるのです。報告書は翌年の11月30日までに公表する決まりとなっているので、現在閲覧できるのは2012年のものが最新です。
開いてみると、最初のページには団体の名称、代表者名などの情報が記載され、収支の総計と収入の内訳、支出の内訳が続きます。
実際に、問題のSMバーへの支出の箇所を見てみましょう。支出の細かい内訳のページでは、支出の目的、金額、日付、支出先の店名・人名やその所在地・住所までも確認することができます。あのSMバーは広島市のマザンという店です。いまでは報告書には二重線が引かれて訂正済みでした。
この店について調べてみると、男性4000円、女性2000円で飲み放題が注文できるようなので、支払い金額からすると3、4人で訪れたということでしょうか。それとも延長料金が加算されたのか。さらに前後を見てみると、参院選があったこの年、宮沢議員の事務所がある広島市中区およびその周辺の飲食店に対して頻繁に支出記録があるのが分かります。
交通費支出を確認すると、航空券はほぼ全て全日本空輸(ANA)から購入しています。東京~広島間のANAとJALの便数や発着時間帯はほぼ同じですから、ANAがごひいきであるのは間違いありません。日本航空(JAL)の再建を民主党が主導していたことと関連して考えたらうがちすぎでしょうか。それとも、国有化された日航はサービスが落ちたってことでしょうか。それともやっぱりマイレージは固めたほうがいいって? まさか、そんなわけはないでしょうが。
他の団体の報告書も見てみましょう。「うちわ」問題で辞任した松島前法相の資金管理団体・みどり会の収支報告書では、組織活動費がずいぶん少ないことが分かります。議員が代表者となる資金管理団体から直接の支出を抑えるため、他の関連政治団体へ寄付などの形で資金を移動させ、資金管理団体からは細かい支出はしないという政治家もいるようですが、2012年の各資金管理団体の組織活動費を見てみると、安倍首相の3692万7040円、谷垣自民党幹事長の856万6867円など、大物政治家もけっこう管理団体から支出しています。
それに比べれば、松島議員は22万4650円と、ずいぶん少ない。松島事務所に連絡を取りましたが、渦中ということなんでしょうか、応答がありませんでした。支出先・年月日などの細かい情報を見てみると、この年の松島議員の組織活動費は社団法人・実践倫理宏正会の会費と、ハガキ代のみでした。実は松島さんってクリーン?
小渕元経産相は、資金管理団体・未来産業研究会がベビー用品や化粧品を計上していたことが取り上げられましたが、このように細かい支出の内容を確認するには、総務省に情報開示請求を行い、領収書のコピーを取り寄せる必要があります。しかし、収支報告書からも、例えば2011年に「こんにゃく代」として15750円が群馬県の会社へ支払われているのが分かります。支払先会社の340g500円(税別)の商品として換算すると、合計30袋で10kg以上。ねぎと同様に贈答したんでしょうか。また国会議事堂の土産店おかめ堂で、何度か書籍などを購入していることも分かります。
ネットで簡単に閲覧できる情報からだけでも、けっこういろんなことが分かります。きちんと資料にあたっていれば、SMバーの問題も報告書が公表された2011年の年末には明らかになっていたかもしれません。政治への無関心が相次ぐ「政治とカネ」の問題の透明性の妨げになっていた面があるなら、メディアはもとより、有権者も反省しなければならないのかもしれません。