若さと母親――女性閣僚のなかでも清潔感で群を抜いていた小渕優子経済産業大臣という目玉閣僚の政治資金での辞任は安倍政権には打撃でしょう。すでに週末に実施された共同通信や日本テレビの世論調査では内閣支持率が下がりました。共同通信で7ポイント程度も下がっています。しかし、安倍政権の屋台骨を揺るがすには、まだまだ小さい不祥事と見たほうがいいでしょう。
それというのも、野党が一本化できず、安倍政権に対抗する軸が見られないからです。安倍政権の支持率は下がり始めましたが、まだ50%近くと高いです。野党は遠く及びません。下がった支持率は無党派層を増やしているだけとみるべきでしょう。
民主党は海江田代表が野党共闘に向けて、維新の会の国会議員団へのアプローチ、とりわけみんなの党から別れて合流した江田共同代表との関係強化に動きました。しかし、党の創始者であり共同代表の橋下大阪市長に一蹴され、交渉は停滞しています。安倍政権からこぼれる支持層の「受け皿」が野党側にできていないというのが実情なのです。
もちろん、永田町(政界)は空気を読むのに敏感で、安倍政権の躓きに終わりの始まりを感じている反・安倍派も少なくありません。中国シフトで登用した谷垣自民党幹事長が力をつけ、政高・党低といわれた官邸主導の政治運営には、微妙な変化が始まっています。官邸内でも首相と官房長官の間にわずかだが、すれ違いも見え始めているようです。
野党は松島法務大臣の辞任攻勢を強めることになりそうです。国会開会中のスキャンダルは国会日程を揺るがし、政権の主導権にひびが入りやすくなります。安倍政権がこの臨時国会での重要法案としているカジノ法案も与党の一角、公明党が消極姿勢を強めており、難産となるのは確実な情勢で政権にとっての「地雷」はすくなくないと言えます。
松島法務大臣の問題の収拾や、小渕氏の後任が安定感のある手綱裁きを見せないと、政権が国会運営や政局で主導権を失いかねません。今週前半は安倍政権が事態を巧妙に収拾できるかどうか、政治から目が離せない時期になったと言えるでしょう。