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「感染症村」に牛耳られた専門家会議

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【舛添要一が語る世界と日本(101)】ワクチン敗戦に見る日本の危機管理能力の欠如

公開日: 2021/08/03 (政治)

CC BY-SA 渋谷(2021年7月15日)=CC BY-SA /f097653195013

 新型コロナウイルスの感染拡大が続き、7月31日には、全国のコロナ感染者は1万2341人にのぼった。

 東京都は4058人と4千人を超え、神奈川県は1580人、埼玉県は1036人、千葉7県は92人、群馬県は36人、栃木県は170人、新潟県は58人、静岡県は168人と、いずれも過去最多となった。東京から周辺に感染が拡大している。

 京都府の199人、沖縄県の439人も過去最多である。大阪府の1040人、兵庫県の329人、福岡県の504人も多い。感染の拡大に打つ手がない状態で、緊急事態宣言を拡大・延長しても効き目がない。

 夏休みということもあって、各地で人出が増えている。

 7月30日の菅首相の記者会見も、コロナと戦うという断固たる決意を印象づけるどころか、むしろ国民を不安にさせてしまったようだ。一方で東京五輪を開催しながら、他方で外出を自粛しろと言っても、あまり説得力がない。

 小池都知事は「五輪がステイホーム率を上げている」と詭弁を弄したが、五輪関連施設や沿道での応援など、多くの人が集まり、感染のリスクを高めている。

 何度も繰り返される緊急事態宣言で人々の行動に大きな変化が起こるとは思えず、感染抑止の決め手にはなっていない。

 急激な感染拡大の原因は、デルタ株の蔓延であり、東京ではすでに8割がこの変異ウイルスだという。

 感染力が強く、米CDCの内部報告書によれば、水疱瘡並みだという。つまり、1人が平均して8〜9人に感染させるという。そのため、ワクチン接種済みの人もマスクを着用することを推奨している。

 今や救いの手はワクチン接種しかない。幸いなことに、ファイザーやモデルなのようなmRNAワクチンは変異株対応も可能である。その他の手法によって製造されたワクチンも、それなりの効果を上げている。

 しかし、日本では若い世代へのワクチン接種が進んでいない。

 接種率は、高齢者が74%、64歳以下はわずか4%である。これでは若い世代に感染者が急増するはずだ。ところがワクチン不足で、若い世代は自衛隊や職域などで接種した者以外はまだ恩恵に浴していない。

 1日の接種が100万回を超えたと豪語する菅首相の地元の横浜市の開業医から、ワクチンが予定の8分の1しか入らないという苦情が私の許に届いている。64歳以下の世代が自分の住む自治体で接種予約をしようにも、電話やネットも繋がらない状況が続いており、上手く接続できても、秋以降にしか枠がないという。

 こういう大都会の状況を菅首相は分かっているのであろうか。

 なぜ、こういう状況になるのか。そもそもワクチンの在庫はどうなっているのか。海外からの供給が不足しているのか、それともどこかに滞留しているのか、国民に対する情報の開示が少なすぎる。河野担当大臣の存在意義が見いだせない。

 大きな問題は、政府の専門家会議が「感染症村」に牛耳られており、国際的に通用するワクチンの専門家が不在なことである。そのために、ワクチン戦略が間違ってしまっている。

 1日でも早く、1人でも多くの人に接種することがウイルスとの戦いに勝つ道である。ところが、官僚は、副反応によって死亡したり重い障害が残ったりした場合に誰が責任をとるかという観点からしか物事を考えない。

 かつて担当の役人が刑事責任を問われたことがあり、それが悪夢のように頭の中にあるのである。

 そこで、100%の安全を考えるような発想になり、迅速性が無くなる。治験による承認プロセスも、すでに海外で治験済みでも日本での実施が要件となっている。そのようなルーティンを変えるために政治家がいるのに、彼らも動かない。やはり保身である。

 1回目にファイザー、2回目にアストラゼネカというワクチンの交差接種のほうが、2回とも同じワクチンよりも効果があるという。メルケル独首相は、これを実行している。

 また、ジョンソン&ジョンソンは1回の接種で済むし、1回しか接種しないのならアストラゼネカのほうがファイザーやモデルナよりも効果がある。これらは、ワクチン専門家が既に結論を出している。しかし、日本政府は専門家不在のためか、旧套(きゅうとう)墨守で前に進まない。

 これでは、ワクチン後進国を脱することはできない。周回遅れで、今更mRNAワクチンの開発に乗る出すのは金と時間の無駄である。中国製のワクチンでも一定の効果があり、接種しないよりはしたほうがよい。

 毎年のインフルエンザのように、新型コロナウイルスも、定期的にワクチン接種をして免疫力を失わないようにせねばならないようである。欧米、イスラエルなどは、ファイザーの3回目の接種を行う方針である。

 需給バランスから、値上げ、入手の困難が予想されるが、今のような後手後手の政府対応では心配である。いつになったら、ワクチン後進国から脱却できるのだろうか。

舛添 要一 (国際政治学者)

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