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退陣表明した菅首相は、自民党の救世主

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【舛添要一が語る世界と日本(106)】菅首相不出馬 きな臭い安倍、麻生、二階の動き

公開日: 2021/09/07 (政治)

Reuters Reuters

 9月3日の朝、菅首相は自民党総裁選に出馬しないことを突然表明し、内外に大きな衝撃を与えた。これで、総裁選は全く予想外の展開となった。

 菅首相が退陣を決意した最大の理由は、支持率の低下である。マスコミ各社の世論調査で、支持率の低下に歯止めがかからず、昨年9月の政権発足以来の最低を更新し続けた。

 その最大の理由は、新型コロナウイルス対策の失敗である。

 全国で感染が拡大し、重症者も増えているにもかかわらず、自宅療養者が13万5千人にのぼるなど病床不足が深刻になっている。入院できず自宅で死亡する患者のニュースが連日報じられれば、支持率が低下するのは当然である。また、若い世代へのワクチン接種も遅々として進まず、これも国民の大きな不満となっている。

 このような状況に、自民党議員、とくに若手議員は「菅首相では選挙は戦えない」という危機感を持ったのである。これが自民党内の「空気」となり、既に手を挙げてる岸田文雄前政調会長との一騎打ちとなった場合に、菅首相は勝利する確証は持てなくなった。

 菅首相は無所属であり、自らの派閥を持たない。安倍前首相、麻生財務大臣、二階幹事長の支援を受けて首相になった、いわば「雇われマダム」である。使い途がなくなったら捨てられる運命にある。いち早く菅支持を打ち出した二階とは違って、安倍や麻生は菅続投には固執していなかった。

 そのような中で、菅は、総裁選よりも解散総選挙を先に行うという奇策を打ち出した。そもそも首都圏などを対象にする緊急事態宣言を9月12日(日)までとしたのは、その可能性を残すためだったのであるが、9月17日告示、29日投票という総裁選の日程は既に決められており、党内から反対の声が高まった。

 そこで、次に打った手は人事である。二階幹事長など党役員を交代させ、内閣も改造してイメージを一新し衆議院選に臨むという戦略である。しかし、菅続投が確実ではない状況で、党役員や閣僚に就任しようとする議員はいない。短命に終われば、マイナスのほうが大きいからである。

 こうして、万策尽きた感じて、不出馬を菅首相退陣のは決断したのである。

 4,5日に行われた共同通信世論調査では、菅首相の退陣意向表明に対して、「退陣は当然だ」が56.7%、「退陣するべきでなかった」が35.3%である。また菅首相の1年間にわたるコロナ対策については、「評価する」が40.4%、「評価しない」が56.3%であった。

 オリンピック・パラリンピックが開催され、メダルラッシュとなったことは、政権の支持率回復にはつながらなかった。

 共同通信の世論調査では、内閣支持率は30.1(-1.7)%で、2012年に自民党が政権復帰して以来の最低を記録した。不支持率は58.5(+7.9)%である。3日の退陣表明を受けての調査であるが、仮に自民党総裁選不出馬を表明していなくても、やはり支持率は低下していただろう。

 同じ日に行われた読売新聞社の世論調査でも、内閣支持率は31(-4)%で、菅政権発足以来最低である。不支持率は57(+3)%である。

 ただ、政党支持率については、自民党は36(+4)%、立憲民主党が7(+2)%、公明党が3%(±0)%、共産党が3(±0)%、無党派が43(−6)%である。

 共同通信の調査でも、自民党が46.0(+6.5)%、立憲民主党が12.3(+0.7)%、公明党が3.8(-7)%、共産党が3.6(-1.1)%、日本維新の会が4.3(-1.7)%である。

 いずれの調査でも自民党支持率は増えており、これは菅首相の退陣表明効果とも言える。マスコミや世間は、自民党総裁選一色となり、野党の存在感は失せてしまった。その意味で、菅首相は自民党にとっての救世主となったのである。

 今のところ、岸田に加えて、高市早苗前総務大臣、河野太郎行革大臣、石破茂元幹事長、野田聖子幹事長代行も出馬すると見られている。

 17日の告示日まで、候補者の顔ぶれがどうなるかは分からないが、候補者よりも背後で糸を引く長老たちの動きがきな臭くなっている。とくに、安倍、麻生、二階である。しかし、彼らの意向通りに自らの派閥が動くかどうかは分からない。

 岸田派(46人)は岸田で纏まるだろうが、石破派(16人)は全員が石破支持とはかぎらない。石破は出馬せずに河野支持に回るとという観測もある。また、細田派(96人)は、安倍が高市支援の旗を振っても、皆はついてこないだろう。

 麻生派(53人)は河野支持で派内が一致団結するわけではなく、岸田に流れる票も多いだろう。二階派(47人)と竹下派(52人)は全方位外交で、様子見である。谷垣グループ(17人)、石原派(10人)も態度を決めていない。無派閥の48人は自由投票となるだろう。

 これから29日の総裁選投票日まで、候補者間、派閥間で様々な駆け引きが行われるだろう。しかし、これは次期首相を決めるレースである。理想を言えば、政策論争で雌雄を決してほしいものである。

舛添 要一 (国際政治学者)

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