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自民党に手痛い黒星だが、野党共闘にも影

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【舛添要一が語る世界と日本(113)】参院補選の結果をどう見るか

公開日: 2021/10/26 (政治)

CC BY-SA 岸田氏(2017年)=CC BY-SA /切干大根

 10月24日、参議院の山口選挙区と静岡選挙区で補選が行われた。

 31日の衆議院選の前哨戦であり、岸田政権にとっては初の国政選挙である。

 山口では、自民党の北村経夫候補(公明党が推薦)が当選したが、これは事前の予想通りである。立憲民主党など野党5党が統一候補擁立を目指したが、話し合いが纏まらず、共産党の河合嘉代候補の単独立候補となり、北村氏が圧勝した。もう1人、へずまりゅう候補がNHK党から出馬したが、選挙の帰趨には無関係であった。

 山口県はもともと保守の牙城であり、投票率は36.54%で低迷し、無党派層が関心を持つような選挙ではなかった。自民党にとっては、勝って当然の選挙だったのである。

 静岡では、自民党の若林洋平候補(公明推薦)と立憲民主党と国民民主党が推薦する山崎真之輔候補が激しく競り合ったが、山崎氏が650,789票を獲得して、602,780票の若林氏に勝利した。自民党は議席を奪われたのである。投票率は45.57%であった。実は、静岡県も保守の強い地域であり、それだけに、この敗北は自民党にとっては痛い。

 ここでも、野党は候補者を一本化できず、共産党の鈴木千佳候補も立候補したが、それにもかかわらず山崎氏が勝ったのである。朝日新聞の出口調査によれば、無党派層の69%が山崎氏に投票したという。共産党の協力がなくても山崎氏が勝てたのは、この無党派層の動向も影響している。

 岸田首相は2回も静岡に行って応援したが、その甲斐もなく敗北したことは、大きな打撃である。
今回の補選の結果、参議院では自民党は1議席減らし、110議席となる。単独では過半数の123議席に達していない状況であり、来年夏の参議院選挙への影響も懸念される。

 2009年夏の総選挙では、与党の自民党と野党の民主党が対決したが、「政権交代」を唱えた民主党が圧勝し、まさに政権交代が起こった。民主党は、「非自民・非共産」を売り物にし、それが功を奏した面もある。

 今回の静岡は、この路線が、自民党にも共産党にも拒否感を抱く有権者を惹きつけたのかもしれない。

 今回の衆院選では、立憲民主党、共産党、社民党、れいわ新撰組の4党が共通政策に合意しているが、国民民主党は参加していない。政権をとった場合には、共産党は閣外協力を行うと明言している。

 自民党政権を批判しても、共産党を拒否する有権者は一定の割合でいる。その意味で、2009年の政権交代のときのように、民主党が大きな塊として存在し、共産党の協力が必要なかったときよりは、立憲民主党は遙かに難しい状況にある。

 連合の芳野友子会長は、立憲民主党と共産党の閣外協力については、「非常に残念」と不快感を示し、「共産党の考え方は、連合としては到底受け入れられない」と述べている。

 これに対して、政権交代を実現させるには、野党共闘しか手はないという戦略論もある。そこで、思い出すのは1981年のフランスの大統領選挙である。社会党のミッテランが当選したが、そこに至るフランス社会党の戦略が参考になる。

 1968年の5月革命への対応に失敗した社会党は、1971年のエピネィの党大会で新しい社会党に衣替えし、左翼全体の力を強化するために、1972年には共産党とともに共同政権綱領を採択する。その結果、1974年の大統領選では、ジスカールデスタンに敗れたものの左翼統一候補のミッテランが躍進する。

 しかし、その後、左翼内部で分裂し、共産党が社会党と袂を分かつが、社会党は勢力を拡大していく。こうして、社会党は単独で政権を狙うことができる政党になり、遂に1981年5月に政権を獲得するのである。

 まさに、ホップ、ステップ、ジャンプと三段跳びで政権の座に就いてのである。今の立憲民主党に、このような緻密な戦略があるのだろうか。無ければ、共産党に拒否反応を示す有権者を取り込むことはできないであろう。

 23、24日に行われた共同通信社の世論調査では、野党共闘に対して、与党や日本維新の会は「評価しない」が多く、野党は「評価する」が多いが、無党派層では「評価する」が44.8%、「評価しない」が45.0%と二分されている。

 今回の参院補選は、実は野党共闘のあり方にも一石を投じることになっているのである。

舛添 要一 (国際政治学者)

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