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欧米に比べて対策「後手後手」の日本 モデルナの不評にも波及

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【舛添要一が語る世界と日本(129)】欧米諸国は規制緩和へ舵 日本政府の鈍さ目立つ

公開日: 2022/02/15 (政治, コロナ(国内), コロナ(国外))

CC BY CC BY /wuestenigel

 東京都の一日の新型コロナウイルス感染者数は、
  9日、1万8287人
10日、1万8891人
11日、1万8660人
12日、1万1765人
13日、1万3074人
14日、1万334人
――と、依然として高止まりではあるが、伸び率は減少傾向が定着しつつある。

 東京よりも先にオミクロン株が流行した沖縄県、山口県、広島県でも、この傾向が強い。全国では、この1週間は9万人→6万人レベルで推移している。

 欧米でも同様な傾向が見られ、北欧諸国、イギリスなどはコロナ規制を全面解除、フランス、イタリア、アメリカの10以上の州などでは大幅な規制緩和が行われている。

 過去7日間平均の1日の感染者数は、イギリスが約7万5千人、フランスが約14万3千人、イタリアが約7万3千人とまだ多いが、いずれもピークアウトしたという判断している。ドイツは、約18万9千人で、まだ収束の方向は見えていないので、規制緩和には慎重である。

 北欧諸国については、スウェーデンはピークアウトしたが、デンマークやノルウェーはまだ高い水準である。しかし、重症化しないというオミクロン株の特性を踏まえた上で、規制緩和へと舵を切っている。

 欧米諸国が大胆な規制緩和に踏み切ったのは、大半の国民が3回目のワクチン接種を終えているからである。さらに、各種の治療薬の開発も進んでいることも大きな要因である。

 日本でもメルク社の「モルヌピラビル」やファイザー社の「パキロビッド」という飲み薬が使用可能になっており、塩野義製薬の新経口治療薬ももうすぐ承認されそうである。

 しかし、わが国のコロナ対策は、欧米に比べて後手後手である。

 ワクチンの追加接種が進まない、検査キットが手に入らない、飲み薬が入手できない、海外から日本に入国できないといった「ないないづくし」である。医師に検査キットも経口治療薬もないというのは、医療先進国ではありえない状況である。

 ワクチンについては、2回目接種後8ヶ月後という最初の判断が間違っていたのであり、その政府の指示通りに動いてきた自治体にすれば、急に方針を変えられても対応できないということであろう。岸田首相は、菅前首相に習って「1日に100万回」という号令をかけ、自衛隊による大規模接種や職域接種を進めているが、まだ目標には達していない。

 3回目の接種を終えた人が全人口に占める割合は9.4%であり、これは先進国の中では最低のレベルである。モデルナのワクチンを選択する人が少なく、ファイザーのワクチンに人気が集まり、これが品薄状態になっているという。2回目、3回目に別のワクチンを接種するという交差(交互)接種の有効性については、つとにデータがあり、効果もむしろ上がるとすら言われている。

 ドイツのメルケル前首相は、首相在任時の2021年4月(1回目)にアストラゼネカ社のワクチン、6月(2回目)にモデルナ社のワクチンを接種し、それが世界に広く報道され、交差接種の有効性が示されたのである。

 日本の場合、交差接種の効果について、きちんとした情報発信が厚労省から行われてこなかったことが、モデルナ社のワクチンの不評につながっている。

 交差接種を進めて副反応などの問題が発生すると、担当の役人が責任を問われる。それを避けるためには、「何も新しいことはしない」ということになる。万事がそうで、過去2年余のコロナ対策は、その繰り返しである。

 オミクロン株は重症化せず、上気道どまりで、肺炎まで引き起こすケースは稀である。この弱毒化した変異株に対して2類感染症相当というレベルの政策対応をすれば、現実との乖離が大きくなることは当然である。そこで、普通のインフルエンザ並みの5類にひき下げるべきだという声が高まっている。

 2類だと保健所が関与し、入院勧告や就業制限が可能で、指定された病院に入ることになる。感染者が急増すると、保健所や医療機関の業務が激増し、コロナ以外の緊急患者や重症者への対応が等閑になってしまうという弊害が起こる。そこで、保健所や医療機関の負担を軽減するために、5類にせよという意見が出てくるが、5類になれば、2類なら無料の医療費が有料になる。

 今の段階で法改正をするのには賛否両論があるということで、政府は「見なし5類」という対応をしている。また、検査キットが足りないということで、患者の濃厚接種者の場合、発熱などのコロナ特有の症状があれば、医師の判断で陽性とすることができるとした。軽症者や無症状者に自宅療養を認めたのもまた、5類相当の対応である。

 さらには、市中感染が拡大し1日の感染者が9万人を超える状況では、水際対策は無意味である。ところが、日本政府は海外との人的交流を制限し、鎖国状態を続けている。来日できない留学生が14万7千人に上る。日本の国益を考えれば、これは得策ではない。

 留学生は将来の日本の良き理解者となってくれる。交換留学など、日本人学生は相手国に行っているのに、逆ができていなというのは本末転倒である。政府は、3月から1日の入国者の上限を3500人から5000人にする方針を固めたが、遅すぎる。早急に開国すべきである。

 オミクロン株の特性を念頭に置いたとき、岸田内閣のコロナ対応は柔軟性と迅速性に欠ける。

 読売新聞の世論調査(4~6日)によれば、内閣支持率は58(-8)%、不支持率は28(+6)%、政府のコロナ対策については、評価が48(-4)%、不評価が44(+3)%である。

 また、NHKの世論調査(11~13日)では、内閣支持率が54(-3)%、不支持率が27(+7)%、政府のコロナ対策に関しては、評価が60%、不評価が37%となっている。

 コロナ対策で政府の打つ手が後手後手になっていることに対して、批判が強まっているようだ。岸田首相のリーダーシップが問われている。

舛添 要一 (国際政治学者)

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