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慎重すぎる日本政府、結果的に後手後手に

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【舛添要一が語る世界と日本(133)】英や北欧諸国が先行 コロナ政策転換のとき

公開日: 2022/03/15 (政治, コロナ(国内), コロナ(国外))

CC BY CC BY /Ivan Radic

 このところ新型コロナウイルスの新規感染者が順調に減少している。

 3月13日の全国の感染者は3万2471人、東京都は4836人である。第6波のピークの2月5日には10万5611人だったので、3分の1になっている。

 こういう状況を受けて、政府は、東京都など18都道府県に講じている蔓延防止等重点措置を3月21日に全面解除する方針である。感染者の減少とともに重症病床使用率も概ね低下してきているからである。

 これに対して、解除すれば感染がまた拡大すると懸念する専門家もいる。また、従来のオミクロン株(BA.1)の変異株であるBA.2(ステルスオミクロン)株は、感染力がより強いと言われている。

 ただ症状についてはBA.1とあまり変わらないし、既存の治療薬も有効だという。各地でBA.2への感染が報告され始めているが、従来型のウイルスはいずれこの変異株に置き換えられると見られている。

 デルタ株は重症化率が高く脅威であったが、オミクロン株はBA.2を含めて弱毒性であり、その点では過剰に心配する必要はなさそうである。

 しかし、軽症者や無症状者が多いので、検査を徹底する必要がある。市中感染が拡大している今、実際の感染者数はもっと多いと思われる。そのためにも、品薄の検査キットがもっと簡単に入手できるようにすべきである。

 さらには、3回目のワクチン接種を加速化する必要がある。3月14日現在で、3回目の接種を終えた人は30.2%にすぎない。他の先進国に比べると、この比率は極めて低い。たとえば、イタリアは63.28%、韓国は62.57%、ドイツは57.33%、イギリスは56.38%、フランスは53.25%、スペインは51.59%である。日本では、岸田首相の約束する1日に100万回とはほど遠い状況にある。

 内外の製薬会社が経口治療薬の開発を進めており、メルク社のラゲブリオ(モルヌピラビル)、ファイザー社のパキロビッドパックが既に承認されている。また、塩野義製薬は、2月25日に承認申請を行っており、早期承認が期待されている。

 ところで、ヨーロッパや中国で、新規感染者が増加しているという報告がある。

 イギリスが33%増、ドイツが6%増、フランスが11%増、イタリアが17%増、オランダが29%増、フィンランドが43%増などである。また、中国では感染者が倍増し、全国で3000人以上が新規に感染し、深川や長春では都市封鎖が行われている。

 イギリスでは、2月24日にコロナ対策に伴う行動規制をすべて解除し、陽性でも隔離しないことにした。また、濃厚接触者に対する検査もやめた。この背景には、3回目の接種を終えた人が先述したように全人口の過半数、成人の約8割にのぼることががある。

 この点は、日本は大きく遅れている。イギリス政府は、コロナが普通のインフルエンザ並みになったという判断である。北欧諸国もイギリスと同様な規制解除方針に転じつつある。

 WHOは、コロナの新規感染者も死者も世界的に減少していると述べており、それに応じた政策変更が必要である。しかし、中国は、相変わらず「ゼロコロナ」政策を継続している。また、日本は方針が定まらないまま漂流しているような状況である。

 病院もコロナ対応が最優先になっていて、コロナ以外の救急患者の受け入れ先が見つからず、救命できないケースも多々発生している。全ての疾病、救急医療などに医療資源が適切に配分されるべきである。介護の現場も、クラスターが多発し、入所者のみならずスタッフにも感染が拡大し、正常な施設運営ができなくなっている。

 医療や介護の現場におけるこのような問題への対処は喫緊の課題であるが、同時に経済活動の再開へのアクセルも踏まねばならない。ウクライナ戦争の影響で原材料価格が高騰し、飲食業界など、コロナとダブルパンチの厳しい状況が続いている。経済再開・日常への復帰と感染防止のバランスを、前者を優先させる形でバランスを変えるべきであろう。

 水際対策についても、政府は、3月14日から、1日当たりの入国者数の上限を5千人から7千人に引き上げる。

 しかし、そもそも上限を決める措置はもう意味がない。政府の対応は慎重すぎて、後手後手になっており、海外からの留学生も4月の新学期には間に合わない状況である。日本のイメージは低下する一方であり、ウクライナ戦争で引き起こされた経済停滞をさらに悪化させてしまう。

 正常化への努力を加速化させねば、日本は世界から取り残されてしまう。

舛添 要一 (国際政治学者)

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