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勝負にならない参院選 争点なく自公優勢

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【舛添要一が語る世界と日本(145)】岸田首相は「何もしないからボロもでない」

公開日: 2022/06/07 (政治)

G7首脳会合に出席した岸田首相(2022年3月24日)=cc0 G7首脳会合に出席した岸田首相(2022年3月24日)=cc0

 参議院選挙は、6月22日に公示され、7月10日の投票である。しかし、争点が明確ではなく、盛り上がりに欠けている。

 岸田内閣の支持率は高く、国会の論戦でも野党は攻めあぐねている。

 5月27~29日に行われた日経新聞の世論調査では、内閣支持率は66%と発足後最高を記録した。不支持率は23%であった。政党支持率を見ても、自民党が51%、立憲民主党が7%、日本維新の会が6%であり、参院選比例代表の投票先を問われると、自民50%、維新8%、立民7%という回答である。

 また、6月3~5日に実施された読売新聞の世論調査では、内閣支持率が64%、不支持率が23%となっており、これも高い水準である。政党支持率は、自民43%、立民4%、維新5%、参院選比例代表投票先は自民45%、維新9%、立民7%となっている。

 これでは選挙は勝負にならず、自民党勝利という結果になるであろう。なぜ、このような状況になっているのか。

 何よりもウクライナ戦争が大きな影響を及ぼしている。連日、戦争の惨状がマスコミで伝えられ、国民の関心が集中している。国際法違反のロシアを批判し、欧米とともに制裁に参加することに国民は賛成している。読売新聞の世論調査でも、岸田首相のロシアへの対応を適切だと思う人が62%にのぼっている。

 問題は、戦争が長引いていることで、ガソリン、小麦をはじめ物価が高騰している。しかし、それは岸田政権の責任ではなく、ロシアが元凶だと言い逃れができる。

 円安もまた物価高に拍車をかけている。これも、日銀が頑なに量的緩和政策を続けていることが理由であって、金融政策の独立性の観点から、岸田首相が黒田総裁に政策変更を迫るわけにはいかないという理屈を展開できる。

 5月31日には総額2.7兆円の補正予算が成立したが、野党は、予備費中心の補正では物価高対策としては不十分だと批判している。しかし、ウクライナ戦争も円安も、岸田政権が対応できる課題ではなく、インフレを争点にして参議院選を戦うのは無理がある。

 次に、安全保障政策であるが、岸田首相は、バイデン大統領との首脳会談で「防衛費の相当な増額を確保する決意」を明らかにした。欧米諸国は、GDPの2%を国防予算に充てることを目標にしているが、日本の防衛予算は5.4兆円で、GDP の0.96%である。

 読売の調査では、防衛力の強化に賛成が72%、反対が21%であり、防衛費については、増額が53%、現状維持が35%、反対が6%である。

 ウクライナに侵略したロシアのみならず、ミサイル発射実験を繰り返す北朝鮮、軍拡を続ける中国を隣人に持つ日本人が、防衛力強化に賛成するのは当然であり、この問題もまた争点にならない。今の国際情勢では、空想的な平和主義を唱えても、有権者は相手にしないであろう。

 菅内閣は、新型コロナウイルス対策を批判され退陣したが、このところコロナ感染者数は減少し続けている。マスク着用、水際対策などの感染防止策も緩和されつつある。読売の調査では、政府のコロナ対策について、「評価する」が64%、「評価しない」が31%であるが、そもそもコロナそのものが話題にならなくなっている。

 岸田首相は「新しい資本主義」を唱えているが、その中身がはっきりしていない。そのような現状で、「分配」か「成長」かといったテーマを持ち出したところで、有権者の関心をひかない。

 岸田政権は、何らかの目に見える実績を上げたわけではない。何もしないから、ぼろも出ない。与野党とも、争点を設定できないような凪の状態である。参議院選の投票率を上げるのは至難の業である。

舛添 要一 (国際政治学者)

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