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安倍政治の清算以外に岸田首相の局面打開はありえない

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【舛添要一が語る世界と日本(171)】統一教会、杉田水脈… 安倍氏の「負の遺産」だらけ

公開日: 2022/12/06 (政治)

CC BY 杉田水脈議員のLGBT関連発言に対する抗議デモ(2018年7月27日)=CC BY /OurPlanet-TV(cropped)

 参議院選挙中の7月8日に安倍元首相が銃撃されて死去してから5ヶ月が経つ。

 このような蛮行は厳しく糾弾しなければならないが、その後の日本の政治は、この事件を引き金とする問題に終始してきた感がある。

 言うまでもなく、統一教会問題である。

 山際大志郎経済再生大臣、葉梨康弘法務大臣、寺田稔総務大臣と、わずか1ヶ月足らずの間に3人の大臣が辞任したが、山際大臣の場合は統一教会との関係についてきちんと説明しなかったことが原因である。

 統一教会に多額の寄付を要求されて家庭が崩壊したり、いわゆる「宗教2世」の権利が侵害されたりする実態が明らかになった。そのため、このようなカルト宗教による被害を救済する法案まで作成された。

 その政府案の内容については、野党からは不十分だという批判の声が上がり、与野党協議が行われたが、法案上程にまで至ったのは、統一教会問題が社会に大きなインパクトを与えたからである。

 安倍銃撃事件が起こらなければ、このような事態には至っていないであろう。その意味で、事件がパンドラの箱を開けたと行ってもよい。

 この種の救済案は議員立法で行うのが筋である。私が厚労大臣のときに、薬害肝炎被害者を救済する法律を作ったときがそうである。

 今回はそれができずに閣法となったのは、政権与党の一員に宗教法人である創価学会を母体とする公明党がいるからである。小選挙区制の下では、自民党は公明党の支援がなければ勝てなくなっている。それだけ弱体化したということだ。

 そして、選挙の公認権や人事権(自民党人事のみならず官僚人事についても)を首相官邸が独占する事態が、日本の政治を大きく歪めてきた。

 内閣人事局の設置も一因であるが、2012年12月26日から2020年9月16日まで8年近い長期間続いた安倍政権が背景にある。つまり、安倍首相の気に入られれば出世し、嫌われれば疎外されるという状況になったことである。

 その典型的な例が杉田水脈議員である。

 2016年2月にスイスのジュネーブで開かれた国連女性差別撤廃委員会に参加した杉田は、ブログに「目の前に敵がいる! 大量の左翼軍団です」とか、参加したアイヌや在日コリアンを「チマ・チョゴリやアイヌの民族衣装のコスプレおばさんまで登場。完全に品格に問題があります」と記した。まさにヘイトスピーチのオンパレードである。

 インターネット上の誹謗中傷対策を担当する総務省の政務官にこのような人物を任命するというのは、ブラックジョークである。副大臣や政務官の人事は、適材適所などということではなく、派閥間の帳尻合わせの道具であることを示している。

 彼女は古くさい20世紀の反共主義の権化であり、「個人よりも家族が大事」、「夫婦別姓、LGBT、学童保育、男女平等に反対」、「これらは全て共産主義者の陰謀」というような言辞を弄している。彼女こそ「完全に品格に問題」があり、無知蒙昧を世間に知らせている。

 日本会議などが同様な考え方を表明しており、櫻井よしこが彼女を安倍に推薦したというが、安倍も気に入って、2017年10月の第48回衆議院選挙に自民党公認で比例中国ブロック単独17位で立候補させ、当選させている。

 彼女は、2010年にみんなの党に入党し、その後に日本維新の会に鞍替えして、2012年12月の第46回衆議院選挙で兵庫6区から出馬し、小選挙区では敗退したが、比例近畿ブロックで比例復活し初当選した。

 2014年には次世代の党に参加し、12月の第47回衆議院選挙に兵庫6区で出馬したが、最下位で落選した。

 彼女のここまでの経歴を見ると、極右ではなさそうだが、右翼色、嫌韓・嫌中といった排外的ナショナリズムを打ち出すことで、右翼・保守層の支持を集めることに思い至ったのであろう。これが功を奏して、安倍にも取り入ることができたのである。

 櫻井よしこなどの保守論客は熱烈な安倍支持である。「王よりも王党的」なところがあり、彼らは安倍政権下において論壇で力を持っていった。そのあだ花が杉田水脈である。

 統一教会といい、杉田水脈といい、まさに安倍政治の負の側面である。

 自民党は保守政党であるが、右から左までウイングを広げた多様性あふれる「総花政党(catch-all-party)」であるところにその強みがあり、長期に政権を維持してきた秘密があるのである。

 しかし、2012年に政権に復帰した後の安倍政権は右に振れた形で政権運営を行ってきた。その歪みが統一教会や杉田水脈問題として露呈しているのである。

 自民党内のリベラルを代表する宏池会の代表である岸田は、この右寄り路線を修正できるのだろうか。

 12月2~4日に行われた読売新聞の世論調査によれば、内閣支持率は39%で、3%上昇している。しかし、不支持率は52%で2%増えており、内閣発足以来最高である。

 また、3,4日に実施されたJNN世論調査では、内閣支持率は34.2(-5.4)%と内閣発足以来最低で、菅内閣末期の水準の不人気である。不支持率は61.9(+4.2)%と、60%を超えている。

 岸田が今のような政権運営を続けていくならば、政権は長続きしないであろう。安倍長期政権の負の遺産を清算する覚悟で難局に当たるしか、局面の打開は期待できない。

舛添 要一 (国際政治学者)

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