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安倍首相、支持率優先で唐突なスタンドプレー

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【舛添要一が語る世界と日本(27)】新型コロナで一斉休校 指導者の役目果たさず

公開日: 2020/03/03 (政治)

CC BY CC BY /ajari

 政府は、2月25日に新型コロナウイルスにどう対応するかの基本方針を決めたが、翌26日には安倍首相が大規模なスポーツ・文化イベントの自粛を要請し、さらに27日には小中高校の全国一斉休校を求めた。

 このあまりの突然の措置に、教育現場をはじめ、家庭、企業で大混乱が生じている。各学校で、期末試験、進級進学、卒業などへの対応をわずか3日間で行うのは不可能である。

 また、共稼ぎ家庭では、小学校低学年の児童を預ける場所もなく、仕事に行けない親が増える。それは企業や組織の活動に支障を来すことになる。

 とりわけ、深刻なのは医療や福祉の現場であり、医師、看護師、介護士などが職場から離れれば、医療や介護の現場が崩壊する。

 これまで対策が後手後手に回って批判を受けたためか、スタンドプレーを行ったような唐突な決定であった。政府の専門家会議も、この一斉休校については諮問を受けていないという。

 では、誰のアドバイスで動いたのか。安倍首相は、「政治決断」というが、その大前提は新型コロナウイルスの感染拡大や教育現場や共稼ぎ家庭の実情についての正確な情報である。

 まさに、教育現場などから余りに多くの批判が寄せられたからか、翌28日には、文科大臣も首相も、「各地域の事情に合わせて自主的に」と前言を覆すような発言をしている。安倍首相から指示されなくても、事態が深刻な北海道や市川市は自発的に休校措置をとっている。

 それでよいのであって、全国一律というのは問題である。

 政治指導者の役割は、「感染症拡大の防止」と「経済活動の維持」という二つの目的のバランスをとることである。

 感染者が一人も確認されていない地域も含めて同一の措置をとることは、副作用のほうが大きくなる。つまり、二つの課題のバランスがとれていないのである。

 しかも、今回の措置は、ウイルス特性とも適合的ではない。新型コロナウイルスは弱毒性で、致死率が高いのは高齢者と基礎疾患を持つ者である。子どもたちは感染しても重症化したり死亡したりするケースは希である。

 誰が感染しても良いことではないが、すでに多くの症例が報告され、そのようなウイルスの性質が分かってきているのであり、それを念頭に置いて政策を決める必要がある。

 つまり、今優先的に行うべきは、高齢者や持病のある人を救うことである。ところが、一斉休校で医療関係者が職場から離脱すれば医療崩壊が生じて、その肝腎なことができなくなる。

 優先順位の付け方が重要なのである。

 目の前で死にそうになっている人の命を優先的に考えたほうがよい。医療資源が無尽蔵にあるのなら、また新型コロナウイルス対策の予算が潤沢にあるのなら、話は別であるが、そうではない。政治の役割は、希少資源をどう配分するかを決めることである。

 国民の生命と財産を守ることよりも、下がり気味の支持率をどう上げるかにばかり腐心すると、このような対応になるのである。

 政府は、3月1日に、イベントの自粛や小中高校の休校措置に伴う緊急対策を発表したが、マスク不足に対しては、国民生活安定緊急措置法に基づいて、国に売り渡すようにメーカーに命令し、深刻な感染状態にある北海道に送るという。

 この法律は、1973年の石油危機でトイレットペーパーや洗剤が店頭から消え、パニックになったときに制定されたものである。厚労大臣として私が対応した新型インフルのときは、5月で花粉症の時期も過ぎており、中国からの観光客も少なく、幸いこの法律を適用するような事態にはならなかった。

 しかし、マスク不足は、年初から起こっており、もっと早くこの法律を使えばよかったのである。さらに言えば、北海道用にマスクが国によって買い占められれば、他の地域でますます不足する。台湾が行っているように、全量国が買って全国民に配給すればよい。

 マスク不足一つとっても、いかに安倍政権の対応が後手後手に回っているかである。これで感染症との戦いに勝てるのかどうか、いささか不安になってしまう。

舛添 要一 (国際政治学者)

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