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無意味だった豊洲移転延期 「熟慮せず思い付き」軽さの小池知事

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【舛添要一が語る世界と日本(43)】デマゴーグのお先棒かついだマスコミにも責任

公開日: 2020/06/23 (政治)

Reuters Reuters

 都知事選が始まった。小池都政の4年間をきちんと検証して、その問題点を指摘する必要がある。4年も経つと、有権者は忘れてしまうが、空虚な言葉とパフォーマンスで多くの時間とエネルギーと税金を無駄にした小池政治の原点は豊洲にある。そして、それを厳しく批判するどころか、デマゴギーのお先棒をかついで、国民を扇動したマスコミにも大きな責任がある。

 2016年7月31日に小池都知事が誕生し、8月16日に築地・豊洲市場を視察している。そして、同年11月に予定されていた豊洲市場の開場を延期することを表明したのである。

 前年の12月17日、当時都知事の私は、都議会で、以下のように述べている。

 「都は、施設の整備に全力を挙げるとともに、市場業界の意見や要望に対し、真摯に耳を傾け、コミュニケーションを密にしながら、さまざまな調整を行ってまいりました。その結果、本日午前、新市場建設協議会を開催し、市場業界と合意いたしました。このことを受けまして、都として、開場時期を平成二十八年十一月上旬といたします。
 豊洲新市場への円滑な移転、開場を成功させるために、都と市場業界が一丸となり、さらに精力的に取り組んでまいります」

 まさに、様々な努力を積み重ねて、開場まで漕ぎ着けたのだが、小池都知事の突然の延期表明に、3ヶ月後の移転の準備をしていた業者は大混乱に陥った。小池知事とマスコミの煽動に乗った都民は、業者への補償をはじめ、移転延期に伴って巨大な額の税金が浪費されることには気づかなかったようだ。ツケは、後に都民が払うことになる。

 市場移転延期の発表にとどまらず、2016年9月10日には、小池知事は、豊洲市場で全て盛り土をしているのではなく、一部厚めのコンクリートを敷いていると発表した。この情報は、一大スクープとして大々的に報道され、大騒ぎとなった。一部の記者が、小池都知事の手先として、油に火をつけて回ったのである。

 コンクリートで掩われた空間のほうが、安全性も高いし、メンテナンス作業を容易にするという意見は、デマゴギーによってかき消されてしまった。「盛り土なし」という単純化された言葉が一気に拡散し、東京都に対する不信感がさらに高まっていった。

 その後も、豊洲騒動が続き、翌年の2017年3月11日には都議会で百条委員会が開かれ、元副知事、元東京ガス幹部らが証人として喚問された。18日には元市場長、19日には浜渦元副知事、20日には石原元知事が証人喚問された。

 特に新しい事実は出てこなかったし、豊洲用地の売買をめぐる「疑惑」も解明されなかった。小池都知事とマスコミの扇動に都議会までも乗ってしまった愚行である。国会も酷いが、都議会のレベルの低さには閉口する。

 法的に見ても、科学的に見ても、豊洲への移転は何の問題もなく、安全も担保されていた。小池知事や多くのマスコミは、「安全だが安心ではない」とか、「地下と地上は切り離すことはできない」とか主張したが、その認識は間違っている。

 それは、食品衛生や環境工学の専門家が明確に指摘しており、たとえば、関澤純氏は、「ベンゼンでは、基準値相当の地下水を毎日2リットル、70年間飲み続けた場合、がんの発生確率が10万分の1だけ高まる可能性を回避するレベルだ。・・・予防的な衛生管理に対応しやすい構造と体制を考えれば、築地より豊洲が適当」と記している(2017年1月28日『朝日新聞』)。 

 小池都知事が行ったことは、科学的データに基づく政策決定ではなく、前任者の仕事にケチをつけて人気を博しようとするデマゴーグの政治である。

 結局、ただ時間を浪費しただけで、豊洲市場は2018年10月11日に開場した。約2年の遅れである。付属の千客万来施設にしても、小池都知事が、築地残留を望む業者の歓心を買うために、「築地市場の再整備を行い、物流と食の観光拠点とする」と発表してしまった。

 そのため、事業予定者の万葉倶楽部が採算が取れなくなると撤退を表明するなど、多くの混乱を招いたのである。

 熟慮せずに、何でも思いつきで言ってしまうこの軽さが、彼女を嘘でまみれさせることになる。後で辻褄を合わせねばならなくなるからである。まさに学歴詐称問題の構図と同じである。

 豊洲騒動で、東京五輪の際に選手村と競技場を結ぶ環状2号線の全面開通が遅れてしまった。また、築地の再開発も展望の見えないままである。東京五輪は来年に延期されたが、それも新型コロナウイルスの感染拡大状況次第で実現されるかどうかは不明である。

 コロナ騒動の陰に隠れてしまったが、空虚な小池パフォーマンスの原点をもう一度振り返ってみるべきだ。

舛添 要一 (国際政治学者)

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