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アメリカのCDCをモデルにすること自体、ナンセンス

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【舛添要一が語る世界と日本(49)】小池都知事による「東京版CDC」構想 対策の方向性が見当違い

公開日: 2020/08/04 (政治)

CC BY-SA 渋谷(2020年4月)=CC BY-SA /ナギ (nagi)

 都知事選挙では小池都知事が圧勝し再選されたが、東京では新型コロナウイルスの感染が再拡大し、8月1日には472人と過去最多を記録し、その後も200人以上の感染が連続する危機的な事態となっている。

 そして、感染は全国に広がり、1日に1000人を超える日が続き、沖縄県や岐阜県などでは知事が緊急事態宣言を発するまでになっている。

 今回の第二波の震源地が東京であることは確かであり、その意味で菅官房長官が言うように「東京問題」である。小池都知事の初期対応にミスがあったことは間違いない。

 「夜の街」を攻撃するだけで、PCR検査の徹底、歌舞伎町との対話など必要な手を打っていない。むしろ、吉住新宿区長のほうが積極的であった。

 8月3日から、酒類を提供する飲食店とカラオケ店の営業を夜10時までに短縮するように要請し、要請に応じた事業者には協力金20万円を支給することを決めたが、遅すぎるし、20万円では要請に応じる事業者は少ないのではないだろうか。

 小池都知事の問題点は、思いつきで政策を掲げ、その政策が実現しようがしまいが、知ったことではないという姿勢で一貫していることである。そして、簡単に言ったことを忘れ、責任も感じない。

 4年前の都知事選では、小池都知事は、「公約7つのゼロ」を掲げた。①ペット殺処分、②待機児童、③満員電車、④残業、⑤都道電柱、⑥介護離職、⑦多摩格差をゼロにしようというものである。

 しかし、達成したのは①のみである。

 このような7つの項目を脈絡もなしに掲げて、ゼロにするというのは思いつき以外の何物でもないし、4年後にはすっかり忘れ、無視している。

 今回の都知事選でも、これと同じような思いつき公約を引っ張り出してきたが、それが東京版CDCを作るという構想である。「第二波を防ぐために」というのがその創設理由であるが、もう第二波は来てしまっている。

 アメリカのCenters for Disease Control and Prevention(CDC、疫病予防管理センター)は、アメリカ連邦政府の機関である。ウイルスや細菌などの病原体は州の境を超えて移動するので、CDCがアメリカ全土に監視の目を光らせている。

 これは連邦組織だからできることなのであり、CDCは本部に7000人、支部に8500人の職員が勤務している。予算は8000億円である。感染防止、感染状況の把握、PCR検査、ワクチン開発などの課題についての司令塔である。

 日本の場合は、国立感染症研究所がアメリカのCDCに相当するが、職員数は300,予算は40億円である。つまり、CDCの50分の1のスタッフで、予算は200分の1であり、CDCをモデルにすること自体が間違っている。

 しかも、感染研の情報隠蔽体質と規制が、日本の新型コロナウイルス対応を大きく間違わせたことは否定できない。PCR検査数を1日2万件にするという安倍首相の公約すらまだ実現させないサボタージュがその典型的例である。

 今、必要なのは、この感染研を独立法人化するなど、抜本的な改革をして、十全に機能させることである。

 現在の感染状況を見ても、東京版、埼玉県、千葉県、神奈川県の一都三県が一体となっていることがよく分かる。東京版CDCを作ると言うが、その組織は、都内の会社に勤務し、埼玉県の自宅との間を往復する会社員を管理できるのか。つまり、東京だけをカバーする組織は、感染症には無意味だということである。病原体には県境はないので、CDCは全国をカバーする組織でなくてはならない。

 既存の組織もきちんと動かすことができないのに、新しい組織を作って問題が解決するわけではない。実際に、自分の衆議院時代の選挙区である豊島区を優先する態度に、歌舞伎町のある新宿区は怒っているし、保坂世田谷区長は都が動かないので、区独自にPCR検査を増やすことを決めている。

 都内にある市区町村は、保健所の人員増など、都からの支援を期待しているが、それもほとんど行われていない。パフォーマンスのためか、国との対立を演出し、GoToTravelキャンペーンで東京都だけが除外されている。

 隣接する神奈川、埼玉、千葉県と緊密に協力しなければ、ウイルスの封じ込めは不可能である。しかし、これら3県は財政力では東京都と歴然とした格差があり、その点でも東京都から何らかの支援をすべきである。

 これら3県の住民が東京に出てきて働き、東京都の富を増やしているのであるが、東京限定の東京版CDCは、このような人々には何の役にも立たない。
CDCはあくまでも、感染症に対する国全体の司令塔なのである。

 東京版CDCは10月に運用開始するというが、新しい組織を作れば、それは利権の巣窟となる。東京都は、傘下に数多くの会社や組織を抱えており、これが職員の天下り先になっている。霞ヶ関の役人よりも、都の役人のほうが、給与の面でも潤沢な天下り先についても遙かに恵まれている。屋上屋を架すような愚はやめたほうがよい。

 有権者の選択とはいえ、都民は無能な指導者を選択したものだ。感染拡大が止まないアメリカでは、トランプ大統領のコロナ対策の失敗を批判する声が高まっており、バイデン候補のほうが支持率が高くなっている。アメリカの民主主義のほうが、日本の民主主義よりも機能しているようだ。

舛添 要一 (国際政治学者)

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