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科学を欠いた日本の感染症対策・・感染症 関連法の改正を

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【舛添要一が語る世界と日本(50)】小池知事の自己顕示劇は有害無益

公開日: 2020/08/11 (政治)

Reuters Reuters

 新型コロナウイルス感染の再拡大が止まらない。東京都、大阪府、愛知県、福岡県など大都市を抱える地域で連日100人を超える感染者が出ている。アメリカでも、患者数が500万人を超え、死者も16万人以上となっている。

 一方で、ニュージーランドでは、100日間感染者ゼロを達成している。中国、台湾、韓国、ベトナム、タイなども、感染が再拡大しても、すぐに鎮圧している。この違いはどこから来るのか。

 第二波の到来は、政府や東京都の明白な失敗である。

 読売新聞の世論調査(8月7~9日調査)によれば、内閣支持率は37(−2)%、不支持率は54(+2)%であり、不支持率は第二次安倍内閣発足以来で最高となっている。政府のコロナ政策については、評価する者は27%のみで、評価しない者が66%と高い。

 GoToTravelキャンペーンに関しては、「適切」が10%で、「不適切」が85%である。緊急事態宣言を再発令することには、「速やかに」が49%、「慎重に」が48%で、これは意見が分かれている。

 この調査を見ても、政府の対策に対する国民の不満と不安が高まっていることがよく分かる。

 私が一貫して主張しているように、PCR検査の手抜きをしてきたことが、この厳しい第二波の原因となっている。沖縄県では9日の感染者数が159人となったが、那覇市松山地区の歓楽街から数多く患者が出ている。

 8日、沖縄県医師会は、那覇市松山地区の飲食店従業員ら2064人に、8月1、2日にPCR検査をしたところ、86人の感染が確認されたと発表した。県外から来たホストやキャバクラ嬢が、数日松山で遊んで感染を広げたという。

 小池都知事が、「夜の街」を批判するだけでなく、PCR検査を安価で手軽に行えるようにし、歌舞伎町などで徹底的に実行していれば、無症状の感染者が都外に移動して感染を広げることも避けることができたのではないか。

 首相に次ぐ第二の権力を持つと言われる首都東京の知事が行うべきは、厚労省や感染研の規制を解除し、保険適用などPCR検査を安価で簡単に受けられる状況にすることである。そのためには、安倍首相に対して、改革の断行を要求すべきなのである。

 また、都内の市区町村の支援を行う必要がある。保健所などの現場を抱える市区町村は、人手不足などで疲弊しきっている。言葉の応酬やパフォーマンスを繰り返すことは、自分の注目度を上げるかもしれないが、都民や国民にとって有害無益である。

 しびれを切らした世田谷区の保坂区長は、区独自のPCR検査拡大策を提案している。

 ニューヨークのクオモ知事やデブラシオ市長は、トランプ政権と対決してでも、感染防止と経済維持のために独自の政策を実行している。そのような意欲も能力もないのが小池都知事である。

 酒類を提供する飲食店の営業を夜10時までに短縮するように要請しても、協力金20万円では、それに応じない店も多い。財政調整基金9500億円もほぼ使い切って、財源がないからだろうが、これだと実効性は伴わない。

 今回の新型コロナウイルスの特色は、潜伏期間が長いことに加えて、感染しても無症状者が多いことである。若者の4分の1がそうだと言われている。これまでの病原体では経験していないことであり、既存の感染症関連法では対応できない。
 
 厚労省の対応の失敗は、感染者の濃厚接触者であっても、無症状者は検査対象から除外したことである。ウイルス特性が分かってきているのに、このような科学に反することを行ってはならないのであり、この非常識が通用する国は日本以外にはない。

 保健所が濃厚接触者として指示してPCR検査を行えば、本人の費用負担はない。そのために、無症状者を排除していたとしたら、本末転倒も甚だしい。保険適用も、感染研の疫学調査の業務委託という形をとっているために、現実には拡大しないようにしてある。

 感染症法の第3章(12条〜16条)「感染症法に関する情報の収集及び公表」の規定は、感染症の疑似症患者などに「行政検査」をし、濃厚接触者などに「積極的疫学調査」をするとしている。対象者の検査費用は公費負担である。

 医師や看護師などがPCR検査を受けようとすると、感染症法上の規定がないため、感染者や濃厚接触者でないかぎり自己負担となってしまう。スーパー、郵便や宅配便の配達、公共インフラの維持などに携わるエッセンシャル・ワーカー(代替の効かない職)については、公費でPCR検査を行うような法改正が必要である。

 さらには、営業自粛などに強制力を持たせ、その分、きちんと補償する法的根拠も必要である。お盆の帰省についての、各都道府県知事の主張がバラバラになり、国民が戸惑っている。それは、「強制力と補償」という仕組みが法的に担保されていないからである。

 以上のような観点から、感染症法や新型インフルエンザ特措法を改正して、一本の新感染症法にまとめあげるべきである。国会も閉じており、政府も動こうとはしていないが、そうする間に事態は深刻さを増していく。

舛添 要一 (国際政治学者)

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