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菅政権の先行きは明るいか?

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【舛添要一が語る世界と日本(54)】消去法で選ばれた「菅義偉首相」

公開日: 2020/09/08 (政治)

CC BY-SA 自由民主党総裁選挙の応援演説をする菅氏(右から2人目、2006年)=CC BY-SA /Ogiyoshisan

 自民党総裁選は、9月8日が告示である。しかし、もう決着がついたような感じである。

 マスコミも国民も菅政権誕生を前提に動き始めており、総裁選は消化試合で、第2位になるのは石破茂か岸田文雄かということくらいしか関心事はなくなっている。

 テレビは次に権力を掌握する者に媚びるかのように、菅が秋田県から出てきて苦労した「美談」などを作り上げる。これでは、一気に世論調査の支持率で3位からトップに躍り出るのは当然である。

 議員票で言えば、党内の細田派(98人)、麻生派(54人)、竹下派(54人)、二階派(47人)という大派閥は、自らの派閥からは候補者を出さず、菅を担ぐことにした。石原派(11人)もそれに乗る。無派閥の中からも多くが菅を支持する。

 岸田は、岸田派(47人)、石破は石破派(19人)にどれだけ無派閥から加えることができるかである。各47都道府県に割り当てられた3票が全て反菅でも、結果は変わらない。

 菅義偉の選出は、一言で言えば、「消去法の選択」である。

 石破は、安倍政権後半に、安倍批判を強めた。安倍はこれを許さない。何としても、石破の選出は拒否する。所属派閥の細田派は反石破となる。

 岸田文雄は、幹事長ポストを二階から奪おうとした。二階は、これを不愉快だと思い、岸田を拒否する。岸田は宏池会の先輩である古賀誠と親しいが、私の出身地である福岡県では麻生太郎、古賀誠、山崎拓という3人の大物政治家が県政をめぐって争ってきた。麻生は、古賀と親しい岸田を拒否する。

 森喜朗、青木幹雄という今でも自民党に対して絶大な影響力を持つ長老は、どうすれば自民党が政権を維持できるかのみを考えている。安倍が禅譲を考えていた岸田では、インパクト弱すぎて到底「選挙の顔」にはなりえず、その点で、長老は岸田を拒否する。

 結局、安倍政権7年8ヶ月を官房長官として支えてきた菅が、誰も拒否権を発動しない無難な選択肢だということに落ち着いたのである。あとの課題は、石破に比べて国民的人気のない菅のイメージをどう上げるかという課題のみである。

 次期首相が確実となると、黙っていてもNHKをはじめマスコミは菅を褒めたたえる。また、使い勝手のよい御用記者や御用政治評論家もいる。安倍首相や菅はSNSの操作に詳しい専門家もかかえている。付和雷同する世論を動かすくらい朝飯前なのである。

 こうして消去法で生まれる菅政権の先行きは明るいのか。

 まずは、この政権の位置づけである。安倍首相が持病の悪化で辞任するという緊急事態での登板であり、安倍首相の残りの任期期間のみを担当するということである。つまり急場を凌ぐためのリリーフである。

 政権の正統性を高め、本格政権への道を歩むためには、早期に解散総選挙を行い、大勝する必要がある。合流した野党新党もまだ力を蓄えていないし、国民の野党への期待も低い。今すぐにでも総選挙をすれば、安倍退陣への同情票も集まって勝てる可能性は大きい。

 しかしながら、新型コロナウイルス対策、台風などの自然災害対応と、課題が山積している。解散総選挙など行っている場合ではないという声が高まるであろう。とくに台風被害の続く九州では、災害復興もままならない状況である。

 安倍首相のピンチヒッターなら、組閣に際しては、その布陣を変えないというのが定石である。ただ、そうした場合には、変化が感じられなくなり、国民の期待感はしぼんでしまう。

 無事にリリーフを終え、短期間に次の本格政権(そもそも誰が首班なのかはまだ不明だが)に引き継ぐのか、それとも菅政権そのものが総選挙での勝利を経て本格政権になるのか、こればかりはやってみなければ分からない。

 いずれにしても、消去法で選ばれる首相の行く手には茨の道が待っている。

舛添 要一 (国際政治学者)

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